日常2
そして僅かに、向こうの世界が僕の世界を侵食しはじめる。
澪はよく、髪を一つにくくる。長い髪をあれこれいじるのも好きだけど、めんどくさい時はこうするらしい。僕が見るときはいつも澪は一つにくくってるように思える。
「あーーー、これこれ、こんなの欲しかったんだ!」
雑貨屋で蝶々模様のペンダントを前にかざし、澪。
「いいんじゃない?いいと思うよ。」
「んもう、それ本気?、、、あ、これもいい!どうだろ?」
「いいんじゃないか。」
あれこれとアクセをかざしては喜ぶ澪、それに適当に相槌を打つ僕、、、
そして。ふと、一つのアクセに僕の目がとまる。
「あー、このコサージュめっちゃかわいくない?、、、ん?アイチ、どうした?」
僕の顔は相当青かったんだろう、澪がそれまでの上機嫌を忘れてまで聞いてくる、、、
だって、僕は見てしまったんだ、ここで。
癖のあるアクセの一つだった、それは。そう、、、その剣は、、、、、
「なんで、、、、」
つぶやく。
あの時、破裂した剣、それとまったく同じ作りのピアスが、そこには置いてあった。
「・・・どうしてここに?」
そういわずにはいれなかった。何でこの剣が?あっちだけでの話ではなかったのか?僕は普段は使わない頭を猛スピードで、回転させていた。
そこへ、澪が心配そうに僕の顔をみてきた。
「アイチ、顔が真っ青だよ?大丈夫?」
「え・・・あ、うん。大丈夫だよ安心して」
予想は当たってた。この石の剣をみた瞬間僕は真っ青になっていたんだ。
でも本当になぜだろう。
「ん?アイチ、こういうの好きだったっけ?ってゆーか、アクセなんか付けたっけ?」
僕の見てるその石の剣のピアスに目を向け澪が聞いてくる。
「だったら、買ったげよーか?」
「いや、いい、いい、いいって!」
ぶんぶん、と首を振る僕。
「そんな首振るホド、好きなんだ?じゃぁ買ってあげるよ、なんか最近アイチにはもらってばっかだったしねぇー。」
言いながら、澪はちょん、とそのピアスを持ち上げた。
それから、すごく澪に断り続けたが、もう、レジについてしまった。
「これくださ~い!」
澪が言う。ああ、これから、どうなるんだろう。。。そして、会計を終え、帰り道。
「これ、買ってあげたんだから。明日から、付けていきなさいよ~・・・。
髪。長いんだから、ばれないっての。。。」
「え。。。」
これ以上言い訳をすると、めんどくさくなる、気がしなくもないんで。
はいはい。と、適当に言っておいた。