悪魔の美酒。ETA ホフマン原作、 Die Elixiere des Teufels その4 副題、カロー風幻想曲の作者によって出版されたカプチン会修道士メダルドウスの手記より。
それから幾日か私はオイフェーミエとの邪悪な享楽の日々を人目を忍んで過ごしたのだった、
『あなたの剃髪した頭、ひげ、そして修道士的歩き方、全てびっくり、なんらかの手違いでほんとのカプチン坊主が来てしまったのかと思ったわ」オイフェーミエはそういって驚いて見せた。
ヘルモーゲンは相変わらず姿を見せなかった。遠くで見かけるとさっと姿を隠してしまうのだ。
そんなある日庭園の遊歩道でふとヘルモーゲンにであった、
私はさっと手をつかんで、回心と懺悔を得々と説教したのである。
ところがヘルモーゲンは
『何を言う、お前こそ悪魔に魅入られてるんじゃないか?
この人殺しめ。
やがてお前は苦しんでみぐるしい死にざまをするんだ。
気がくるって破滅して喘ぎながら、助けてくれと叫びながら、、、」
というと、立ち去って行ったのだった。
私は本当のことを言い当てられて呆然としたのだった、
その時オイフェーミエが現れた、
庭園の奥の植え込みで二人は熱いキスを交わした。
『あたしはすべてを支配したいの、人々をこの手で支配する。
意のままに、これほど楽しいことってある?
だから男爵に取り入り、たぶらかしたわ。そしてめでたく奥様に収まったわ。
それはあなたにも言っておいたわね?
あなたへの愛は変わらないって。
そして、今ではもう反吐が出るほど男爵が鼻に就くのよ、
そして、あの私の求婚を拒否したヘルモーゲンにも仕返ししたのよ。
それはね、うまくヘルモーゲンを誘惑して、不義の関係を作り出したってわけよ。
それからヘルモーゲンは罪の意識から憂鬱症になってしまったってわけ。
さあ、ところで最初の計画通りに、
ヘルモーゲンを修道院送りにして、それから男爵は、うまく処分してしまいましょう。
アウレーリエ?あの子はただの子供っぽい信心家ですよ。
ほっといても害はないわよ。
私とあなたでこの馬鹿なお人形さんたちを支配してやりましょうよ。」
だが私は内心『お前こそ俺の術中にはまった哀れなでく人形じゃないか?」という思いが湧き上がってくるのだった。
私はオイフェーミエとの情事に浸りながら
なお本命であるアウレーリエを自分のモノにしようと策略を練った。
それは信仰の授業をアウレーリエに教えるというものだった。
私は二人きりになって熱心に授業をした。
彼女を見ると私の情火は燃えさかった。
いっそ力づくで犯してしまおうと思うのだが、
彼女の周りには、いつも、天使が守護していてどうしても手を出せないのだった。
そんなある日とうとう私は
信仰に熱中したあまり、彼女の手を取り、胸に押し当てたのである。
彼女の体温と髪の毛が私を興奮させて私は抱きしめて熱いキスをしたのである。
すると電気に打たれたようにアウレーリエはさっと逃げ出して部屋を出て行ったのである。
私は男爵に言いつけれられて、首になるのではと心配したのだ。
そのことをオイフェーミエに言うと、
『大丈夫よあの子はきっと黙っていて誰にも言わないわ。
それにしてもあの純真な子があなたの手で堕落させられるかと思うと楽しいわね」というのだった。
それからアウレーリエは姿を私の前には見せなくなってしまった。
そんなある日、オイフェーミエがあわただしく私の部屋に入ってきて、
『どうやらばれたらしいわ。私とあなたの関係を男爵が感ずいたらしいのよ・
もう待てないわ、さっそく計画を実行しましょう。
男爵が、いつも散歩に森の中にある「悪魔の椅子」という断崖に行くってこと知ってるわね?
あそこであなたが待ち伏せして男爵を突き落とすのよ、
これで誰も事故死と思うでしょう?」
その悪だくみを聞くと、思わず、私はとっさに叫んでいた。
『俺に人殺しをしろって?この性悪女め。誰がするもんか、」
『何よ臆病者、私とこの世界を支配したくないの?」
「なんだって?俺を誰だとおもってるんだ?
今頃はな、お前の色男はその「悪魔の椅子」から転げおっこって
ぐちゃぐちゃになって死んでるんだぞ、さっさと出ていけ」
オイフェーミエは愕然として、よろよろと出て行った。
次の日オイフェーミエから、夜寝静まったらいつものように
私の部屋に忍んできてくれと伝言があった。
正体を知られた私が殺されるのは目に見えていた。
で、
私はその夜、父の形見のナイフを忍ばせて部屋に向かった。
もちろん殺される前に彼女を殺すつもりだったのだ。
部屋に行くと、そこには葡萄酒のグラスが二つ。
「あなたは誰なの?でもまず乾杯しましょうよ。」
その時私の胸からナイフが転がり落ちた。
それを見たオイフェーミエは震え上がったが、
平静を装い、私にワインを進めた。
しかし私にはわかっていた、
その私のワインには毒が仕込んであることが、、、。
私はさっとグラスをすり替えて飲むふりをしたのだった。
その時オイフェーミエは「誰か来たわ」といって私を追い出した。
それはつまり彼女の部屋で私が死んだら困るからだったのだろう。
部屋を出ると廊下にはアウレーリエの部屋が見えた。
そっと入るとお祈りしている声がが聞こえて
そうだこの時だ、今やるんだという見知らぬ魔力が私を駆り立てた、
その時だった後ろでヘルモーゲンの声が、
『この人殺し坊主め。』そういうと、私にとびかかってきた、。
もみ合っているうちにあのナイフがヘルモーゲンの胸に突き刺さっていた、
彼はどうと倒れる。
私はあわてて、そこから急いで逃げ去った。
後ろのほうから人々が『人殺しだ:人殺しだ」と叫んでいた。
そのうちオイフェーミエの部屋からも叫び声が聞こえてきた。。
あの、女は俺に盛ろうとした毒で死んだのだ。
その時薄気味悪い笑い声が聞こえた。
見るとそこには血まみれのヴィクトリン伯爵が立っていた。
私は恐れおののき城を一目散に逃げ出していた。
しばらく無我夢中で走り、森に出て、倒れた時だった。
そこにビクトリンの従者がいた。
『おやおや、だんな様どうしました?まずいことでも起こりましたか?
ちゃんと逃亡の用意はしてありますよ」、
といって馬と革袋を示した。
私は手綱を受け取ると馬を引き、森の中深くへ進んでいくのだった。
第2章終わり、
その5に続く(全15話の予定です)
次話は
第3章「旅の冒険」です。
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