表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

ポストエーレ解放戦 両軍合流

――ガドライア帝国――


リーネは、頭を押さえ、その場に崩れそうになっていた。

リーネのレキシの力は歴史を新たに書き記す力だけではなかった。

ヒストリアボードに書き記されていない未来を見る能力。

だが、それは望んだ未来を選んで見れるわけではない――

今もまた苦痛に歪んだ表情――視界に、未来が流れ込んできたのだ。


ポストエーレが、解放される未来。


「……っ」


「リーネ!何が見えた!」


ファウストは、彼女の手首を掴み、問い詰める。


恐怖に震えながら、リーネは答えた。


「アルシュトーレン公国と……フラムヴァーレ王国によって……ポストエーレの街が、解放されます……」


その言葉を聞いた瞬間、

ファウストはどこか遠くを見るようにこう口にする。


「違う」


冷たく、言い放つ。


「リーネ。ポストエーレは解放されないのだ」


彼は命じた。


「フラムヴァーレは、ダヴァーラ将軍と魔竜によって退けられる――

そう、書き記せ」


アルシュトーレン公国の名は出さない。

ルートヴィヒのレキシの力によって書き記すことができないからだ。


だが、アルシュトーレン公国は歴史を操れるわけではない――

フラムヴァーレが敗走した歴史にすれば、

アルシュトーレン公国は自滅する可能性すらある。


ファウストは、そう踏んでいた。


その日。


ヒストリアボードには、

ポストエーレに関する新たな歴史が書き記された。


――アルシュトーレン公国軍――


軍をポストエーレへと進める、アルシュトーレン公国。


その陣の中には、大公であるヴァレンシアの姿もあった。


彼女は、空に浮かぶ――

書き換えられたヒストリアボードを見上げる。


そして、笑った。


歓喜のように。

挑発するように。


「――いいじゃあないか」


ヴァレンシアは、唇を歪め口にする。


「ガドライア帝国よ!

運命をかけて――戦おうじゃあないか!」


――フラムヴァーレ王国軍――


新たに歴史が書き記されたヒストリアボードをみてシャルルが口にする。


「アヴニル」


「……やってみる」

アヴニルは眼帯に指をかけ眼帯を外す。


文字が浮かぶ左眼がヒストリアボードを捉える。

アヴニルは歯を食いしばり、意識を集中するが――


何も起きない。


ヒストリアボードは、なんの反応も示さない。


アヴニルは眼帯を戻し、ゆっくりと息を吐く。

「……ごめん、やっぱりだめだ」


シャルルは首を振った。

「謝るな。まだ戦は始まってすらない」


ヒストリアボードを書き換えることは出来なかったが恐怖心を押し殺し、ポストエーレへと向かう。

鎧が擦れる音の馬の蹄の音だけが耳へと入る。


先行していたアルシュトーレン軍の旗が見える。


両軍の合流である。


フラムヴァーレ王国軍の先頭を行くシャルルは、馬を止める間もなかった。向こうから、女性を背に乗せた騎馬が一直線に迫ってくる。


「貴殿がシャルル王か!」


詰め寄ったのは、若き女性の大公――ヴァレンシア・ヴェルストレート。

微笑みを浮かべながら彼女は話しかける。


「ヴァレンシア・ヴェルストレート大公だ!期待しているぞ」


「大公自ら出撃なさるのですか?」


シャルルが思わず問うと、ヴァレンシアは肩を揺らして笑った。


「それは貴殿も同じであろう?」


言い返され、シャルルは苦笑した。確かにそうだ。王の身で前線に立つなど、理屈では狂っている。


ヴァレンシアはそのまま、シャルルの後ろにいるアヴニルに視線を向けた。


「……あの子が例のレキシか!可愛い顔をしているじゃあないか!」


ヴァレンシアは目を輝かせながら、アヴニルに対し手を振る。

アヴニルは反射的に目を伏せるも小さく手を振りかえす。


「頼むぞ」


ヴァレンシアはそれだけ告げると、馬を返し兵の列へ戻っていった。


「あれが、我が女王様だ。いい女だろ?」


どこからともなく現れたルートヴィヒが、いつもの軽口を叩く。


「ああ。」


シャルルは即答した。


「お前が命を賭けるだけのことはある。」


「惚れたか?」


「バカを言うな。あれは怖そうな女だ」


ルートヴィヒが正解だと言わんばかりに笑う。


その後、二人の“王”が、兵たちの前へ出た。


ヴァレンシアは剣を掲げ、声を張り上げる。


「明日!我がアルシュトーレン公国と同盟フラムヴァーレ王国は――大義と!正義のために!ポストエーレ解放を行う!憎きガドライア帝国に剣を突き立てよ!!」


アルシュトーレン公国軍約五千、フラムヴァーレ王国軍約二千、総勢七千人の咆哮がこだまする。


その日は夜営が行われた。

焚き火の火が揺れ動く。その周りを囲うものの中にシャルル、アヴニル、ヴァレンシア、ルートヴィヒがいた。


「怖いか?」

ヴァレンシアが酒を飲みながらアヴニルに問う。


「……怖い」

アヴニルは正直に答える。


「まだ、可愛いな。だが、お前には力がある。力がないものはもっと怖いんだ。力を持つものは力を行使しなければならない」

ヴァレンシアは笑みを浮かべた後、冷徹に口にする。


アヴニルはただ頷く。

評価していただけると大変喜びます


フラムヴァーレ防衛のとき1300人しかいなかったけど今2000人いるのは勝った時に戻ってきた兵と志願兵とかもいると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ