ハドリニアフ大戦 終戦
ハドリニアフの王ジェラールと宰相ポートワンは、沈黙の中で思考を巡らせていた。
「ジェラール王。この講和乗る価値はあります。ですが、自らが戦争を仕掛け講和を持ちかけてきたのです。何か条件があるでしょう」
2人はルートヴィヒへと視線を向け、講和の条件を問う。
「失礼。条件を提示していませんでした」
ルートヴィヒは淡々と続ける。
「ガドライア帝国との同盟解消。期限付きの補給路の確保。期限付きの砦の貸与。そして我々とガドライア帝国の戦争に干渉しないでいただきたい」
「な、ガドライア帝国との同盟解消だと」
ジェラール王が低く口にする。
「もちろん表だって解消する必要はありませんよ。その際、ガドライア帝国に狙われた場合のケアもします」
条件の多さにジェラール王は苛立つ。だが、ここでルートヴィヒを切っても状況は好転しない。
それどころか、ルートヴィヒを切ればヴァレンシアという女が、最後まで折れることなく、狂気じみた戦争を続けるという未来が想像できた。
「……ガドライア帝国に狙われた場合の保険とは、なんだ、申してみよ」
問いかけたのは宰相ポートワンだった。
「もちろんフラムヴァーレのレキシです」
ルートヴィヒは一拍も置かず即答する。
「我々が、あのガドライア帝国に無策で戦争を仕掛けるとお思いですか? フラムヴァーレのレキシは、ヒストリアボードを"自在"に書き換えることができる。現にフラムヴァーレは滅んでいない。そしてポストエーレの街も解放された。ご存知のはずです」
宰相ポートワンは沈黙し熟考する。しかし、フラムヴァーレのレキシが"自在に"歴史を書き換える。という点には違和感を持っていた。だがそれを否定する、確証もない。
「ジェラール王。不服ではありますが……この条件、飲むべきかと」
その言葉を聞き、ルートヴィヒは心の中で少し安堵する。
ヴァレンシアのもとへ、宰相ポートワンとルートヴィヒ、そして少数の兵たちが訪れた。
五体満足で帰還するルートヴィヒを見て、ヴァレンシアは心から安堵する。
「ヴァレンシア大公。ハドリニアフ王国宰相のポートワンと申します。この度の講和条件、謹んでお受けいたします。砦の貸与期限などのすり合わせについては、書簡にてお願い申し上げます」
「ハドリニアフ王国の英断に、感謝を申し上げる」
こうしてハドリニアフ王国とアルシュトーレン公国連合軍のによる大戦は講和という形で、終戦を迎えた。
総勢一万の兵の戦死をもって。
「よく、大任を果たしてくれたな」
そう言ってヴァレンシアは、ルートヴィヒの背を強く叩いた。
「死んだら悲しんでくれたか?」
「当たり前だ! 私とて一人の女性だ!」
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