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信頼という資源

アカデミーの中で、少しずつ広がっていく“繋がり”。


エーテリアルという未知の脅威に対抗するため、アレンたちは仲間を増やしながら静かに準備を進めていた。


しかし、学院の中にはまだ多くの謎が残されている。

黒い服の人物たち、説明のつかない現象、そして見えない誰かの思惑。


それぞれの思惑が交差する中、ある新たな動きが始まろうとしていた。


そしてその一歩が、やがて大きな選択へと繋がっていく――。

(小次郎)


Fクラスをどう導くべきか、考えなければならなかった。


今は最下位のクラスにいるが、リーダーとしての責任がある。クラスメート全員をまとめる必要がある。それに、アビゲイルワトソンさんと中村ひなたさんの間の緊張と対立を和らげることで、それを実現できるチャンスがあるかもしれない。


これら全てを念頭に置いて、今日中に達成すると決めた。


教室に着くと、すでにサラジョンソンさんがいた。


「おはよう!小次郎くん!」


あまりにもエネルギッシュで、彼女がこんな風だとは信じられない。できるだけ普通に挨拶を返したが、彼女はもっと別の意図があるようだった。


席に座ると、彼女は前の席にこちらを向いて座った。


「ねえ、委員長!考えすぎじゃない?」


と、腕を組んで言った。口調は気楽だが、その目には僕が彼女とどう結びつければいいのかわからない洞察力があった。


僕はまばたきをして、無意識に読むつもりだった本の位置を直した。


「ジョンソンさん。『考えすぎ』ではない。計画だ。委員長として、クラスの資源と能力を評価し、僕たちの生存と効率を最大化しなければならない」


彼女は柔らかく笑った。嘲笑ではなく、温かい笑いだった。


「わあ、まるでマニュアルみたい!『資源と能力』?あたしたち、人間だよ、小次郎くん!あんたも、あたしも、アビゲイルちゃんも、ひなたちゃんも、あの変なマルコくんだって!」


僕は軽い動揺を感じた。彼女は僕を名前で呼んだ。それは……困惑させるものだった。


「秩序と階層を維持するには形式が必要だ。それがあらゆる機能的システムの基盤だ」


と反論したが、意図したよりも硬い声になってしまった。


「階層?」


彼女は姿勢を正し、笑顔がより真剣な表情に変わった。


「ねえ、それが悪いとは言わないよ。でも、もしあんたが上から命令する『委員長小次郎さん』だけだったら、下で何が起きてるか絶対わかんないよ」


彼女は自分の胸を軽く叩いた。


「あのエーテリアルを見て怖がるんじゃなくてワクワクしたアビゲイルちゃんとか、リーダーに一番ふさわしいって思ってるのにテストで負けたひなたちゃん……それか、お父さんのためにいい兵士になりたいだけのイワンくん。もし彼らのこと知らなかったら、本当の意味でどうやって導くの?」


彼女の言葉は予想外の力で僕を打った。複雑な言葉ではないが、僕が考慮していなかった論理の欠陥を指摘していた。僕のアプローチは体系的だった――評価し、分類し、配置する。だが彼女はそれ以前のことを話していた。つながり、だ。不純で、非論理的で、人間的な変数。


「友達になれって話じゃないの」


と彼女は続けた。まるで僕の動揺を読んでいるかのように。


「委員長になるってこと。あの緑の霧が現れて全部カオスになった時、みんなが頼れる人。人はね、肩書きとかマニュアルなんかには信頼しないよ。人に信頼するの」


僕は視線を窓の方に逸らした。朝日が中庭の木々の間から差し込んでいる。信頼?僕の人生は、期待を裏切らず、外部の期待に応えることを中心に回ってきた。他者が信頼のような脆いものを僕に――結果ではなく、僕という人間に――預けるという考えは、鈍い不安を生み出した。


「それを……どうすればいいんだ?」


とつぶやくように尋ねた。無知の告白だった。僕にとって恐ろしく難しいことだ。


彼女の笑顔が戻った。明るく、励ますような笑顔だ。


「簡単だよ!シンプルなことから始めればいいの。あたしたちを名前で呼んで。『中村さん』とか『ペトロフくん』じゃなくて。『ひなた』、『イワン』って。アンヌに本当に調子どうって聞いてあげて、フォーム記入みたいじゃなくて、何もわかんなくてもさ。あんたが見てるって、彼らがあんたのレーダーに入ってるって、ただの『ユニット』じゃなくて……まあ、このゴチャゴチャに一緒に巻き込まれた変な人たちとしてね!」


僕は彼女を観察した。彼女のエネルギーは偽物ではない。激しい回復力だ。僕がFクラスを解決すべき問題と見ている間、彼女は同じ筏に乗った漂流者のグループと見ていた。彼女の目標は生き残ることだけでなく、全員が同じ方向に漕ぐことを確認することだ。そのためには、誰が水を恐れているか、誰が航海を知っているかを知る必要がある。


明晰さの波が、冷たく論理的だが、違う形で僕の心に湧き上がった。


彼女……サラは正しい。それは戦略的非効率だ。チームの動機、恐れ、忠誠を知らなければ、どんな計画も予期せぬ感情的変数で失敗する可能性がある。信頼は柔らかい感情ではない。運用上の資源だ。そしてそれを得るには、僕自身の何かを投資しなければならない。


ゆっくりと頷いた。ほとんど知覚できない動きだった。


「君の指摘は理解した……」


一瞬、間を置いた。「さん」という言葉が喉に詰まった。深く息を吸った。


「……サラ」


その名前は僕の唇で奇妙に聞こえた。あまりにも非公式で、ほとんど親密だ。だがそれを口にした瞬間、サラの姿勢がさらにリラックスしたように見えた。まるで小さな戦いに勝ったかのように。


「そうそう!」


と彼女は叫び、机を軽く叩いた。


「一歩ずつだよ、委員長。親友になる必要はないの。ただ……近づきやすくなればいい。今日、明日、違いが見えてくるから。次の襲撃が来た時、命令する見知らぬ人としてじゃなくて、名前を知ってて頼れる人として見てくれるよ!」


サラは離れていき、手を振った。


「じゃ、後で委員長会議でね、小次郎くん!あたしが言ったこと、考えといてよ!」


僕は教室に一人残され、彼女の言葉の残響が静寂の中で響いていた。机の上の自分の手を見た。常に抽象的な盤上で動きを計画してきた戦略家の手だ。


サラは僕に、その盤が人間であることを示した。そして最初の一手は大技ではなく、手を差し伸べることだと。


僕の心はもうフローチャートを描くだけではなくなった。今は、ひなたのプライドを傷つけずに近づく方法、アビゲイルの知識をどう活かすか、そしてイワンに僕をクラスメートとしてではなく指揮官として見てもらう方法……他の全員とその特性についても考えていた。


簡単ではないだろう。何年もの習慣と防御を破るのは決して容易ではない。だが初めて、『戦略家の小次郎』はこの方程式に新しい変数を見た――リーダーシップは役職としてだけではなく、橋としても存在する、と。


そして、僕はその架け方を学ぶ決意をした。


新しい任務ができた。奇妙なことに、それは純粋な論理からではなく、空の教室で陽気な水泳選手が見せてくれた、シンプルで乱雑な真実から生まれたものだった。


* * *


教室は不快な沈黙に包まれていた。時折鉛筆が紙を引っ掻く音や、ページをめくる囁きだけがそれを破っていた。オズワルド先生は「自習時間」と、あまりにも広い笑顔で告げてから扉の向こうに消えた——明らかに、いつもの昼寝の婉曲表現だ。


席から、クラスメイトたちを観察していた。クラスの感情スペクトルの両極端にいる者たちの間に張り詰めた緊張は明白で、まるで火花を散らす寸前の電線のようだった。


予想通り、その張り詰めた沈黙の糸を断ち切ったのはアビゲイルだった。声は大きくなかったが、彼女特有の陰鬱な恍惚感を帯びたその声は、静寂の中で明瞭に響いた。


「……最後のエーテリアルが空気に残した恐怖の質感……あれほど濃密で、あれほど美味なる複雑さを持っていたわ。絶望の味わいを、まるで悪夢という名の熟成されたワインのように堪能できたのよ」


集団的な戦慄が教室を走り抜けた。


磁器の彫像のように硬直して座っていたひなたが、あまりの勢いで頭を回したため、まっすぐな髪が波打った。


「またそのようなことを!」


普段はあれほど落ち着いているはずの声が、抑えきれない憤慨で震えた。


「わたくしどもが味わった苦しみに対し、少しも敬意をお持ちではないのですか? あの……あの忌まわしき存在どもが振りまく恐怖に対して! まるで見世物であるかのように語られるとは!」


アビゲイルはゆっくりと首を回し、謎めいた微笑みが唇に浮かんでいた。


「敬意、親愛なるひなた、それこそが私が感じているものよ。私たちに目撃する機会を授けられた超自然の壮大さへの敬意。お前の恐怖は……理解できるわ、でも限定的ね。お前の視界を奇跡へと遮っているのよ」


「奇跡ですと!?」


ひなたは立ち上がり、両脇で拳を握りしめた。


「冒涜でございます! わたくしの家が代々守り続けてきた自然の秩序への汚点! 珍しき虫けらのように『研究』されるべきものではなく、根絶されるべきものでございます!」


観察していた。思考が加速する。この対立は単なる性格の衝突ではない――存在論的パラダイムの衝突だ。アビゲイルはオカルトのレンズを通して世界を見ており、理解と同化を求めている。ひなたは義務と純粋さのレンズを通して見ており、保護と浄化を求めている。両方の立場は本質的に混沌への応答だ――一つは魅了、もう一つは封じ込め。


数列前からサラが視線を送ってきた――「今しかないわよ、委員長」と言わんばかりの視線だ。


サラの言葉を思い出した。「知らなければ、どうやって本当に導けるんだ?」


秩序を押し付けるだけでは不十分だ。橋を架けなければならない。


立ち上がった。唐突にではなく、慎重な落ち着きをもって――全ての視線を引き寄せた。デジタル黒板の前のスペースまで歩き、象徴的に二人の少女の間に位置したが、直接対峙はしなかった。


「ワトソンさん。中村さん」


まだ習慣で敬称を使って始めたが、口調は叱責ではなく、分析者のそれだった。


「君たちの論点を再構成させてもらおう。正しく理解しているか確認するためだ」


二人とも、静かで系統的な介入に驚いて僕を見た。


「ワトソンさん」


アビゲイルに向けて言った。


「君はエーテリアルを単なる脅威としてではなく、現象として認識している。観察可能なデータ、私たちが知らない宇宙の法則の顕現。君の興味は理解にある——未知を地図化すること、恐怖が分析を曇らせないようにすること。本質的には科学的立場だ、たとえ研究分野が超常現象であってもね」


アビゲイルは瞬きをした。微笑みが一瞬消え、驚愕に置き換わった。誰も彼女の執着をそのように表現したことはなかった。科学として。彼女の目が新たな興味で輝き、今度は僕に向けられた。


ひなたに向き直った。


「中村さん。君はエーテリアルを腐敗として、維持する義務のある秩序への侵入として認識している。君の優先事項は好奇心ではなく、保全だ。この空間とその中の人々の安全。君の反応は単純なパニックから生じているのではなく、深い責任感から来ている。本質的には守護者の立場だ」


ひなたは一瞬視線を落とし、硬直がわずかに和らいだ。誰かが彼女の怒りの向こうを見て、それを養う義務を認めてくれた。


続けた。今度はクラス全体に向けてだが、二人の少女を視界に保ちながら。


「問題は、これらの立場のどちらかが正しくてもう一方が間違っているということではない。問題は、現在、これらが相互に排他的だと認識されていることだ。そして、それはこのクラスが、このアカデミーで、許容できない贅沢だ」


間を置いて、言葉を浸透させた。イワンがゆっくりと頷いている。マルコが珍しく注意深く観察している。ルカイはただ微かな笑みで観察している。涼太は周囲を見回しながら物事を理解しようとしているようだ。アンヌは動揺していて、今にも教室から走り出しそうだが、僕の話に注意を払っていた。サラは唇を引き締めて微笑み、興奮を抑えている。


「ワトソンさん……」


今度の「さん」は戦略的な形式として響き、距離感ではなかった。


「君の理解への欲求は武器だ。どのように現れるのか、何が引き寄せるのか、もしかしたらパターンを予測することさえできれば、決定的な優位性を得る。しかし、知識だけでは守れない」


ひなたに向き直った。


「中村さん。君の保護本能と完全性を維持したいという欲求は、私たちの盾だ。しかし、打撃がどこから来るのか、どのような性質のものかを知らない盾は、遅かれ早かれ崩れる」


中央にもう一歩近づき、声に静かだが鋼のような確信を込めた。


「このクラスの代表として提案する——これらのリソースを無駄にしないことを。君たちの違いを欠陥として見るのではなく、補完的な機能としてコード化するんだ」


両手を開き、同じメカニズムの二つの部品を提示するように。


「アビゲイルワトソンは、僕たちの『異常現象アナリスト』となる。君の任務は、エーテリアルの出現について記録し、仮説を立て、パターンを探すことだ。どんなに些細でも、どんなに不気味でも、あらゆるデータが価値を持つ」


次に、もう片方の手のひらをひなたに向けた。


「ナカムラひなたは、僕たちの『セキュリティ&封じ込めコーディネーター』となる。アビゲイルが収集した情報を使って、彼女は対応を計画し、安全地点を指定し、攻撃時にクラスのリスクを最小限に抑えるプロトコルを確立する手助けをする」


教室は完全な静寂に包まれた。提案の論理は完璧だったが、それ以上に、そこには承認があった。僕はアビゲイルに病的であることをやめろとも、ひなたに厳格であることをやめろとも求めていない。彼女たちの執着と義務が共通の目的に奉仕するための枠組みを与えているのだ。


沈黙を破ったのはアビゲイルが最初だった。表情は真剣で、軽薄さは消えていた。


「……公式の称号。禁じられたものを研究するための。素敵ね……」


次に、ひなたを見た。挑戦ではなく、計算的な好奇心をもって。


「私のデータを……受け入れてくださる? ひなさん? たとえその起源がお前を嫌悪させるとしても」


ひなたはまず、突然付けられたあだ名に驚いた。それから深呼吸をした。僕を見て、その視線を静かな期待をもって受け止めた。論理を見た。怒りを有用なものに変える機会を見た。最後に、正式な仕草で頭を下げたが、それは服従ではなく、戦術的合意だった。


「その情報がこのクラスを守るのに役立つのであれば……では、お受けいたします。しかし、ワトソンさん」


アビゲイルを直接見て付け加えた。


「正確さが極めて重要でございます。扇情的な憶測は容認いたしません」


「そして私は、都合による無知を容認しないわ」


アビゲイルが応じたが、初めて、その目に敬意の閃きがあった。


対立は蒸発していない。不信と摩擦はそこに残り続けるだろう。しかし、僕はそれらを個人的な戦場から集団戦略の盤上へと移した。彼女たち自身よりも大きな共通の敵を与えた――非効率性。


サラはもう我慢できず、安堵と称賛の聞こえる溜息を漏らし、僕に向けて熱心な親指を立てた。尊厳をもって無視したが、奇妙な熱が胸に広がった。


「よろしい」


頷いて言った。


「今後、君たちの発見と計画は直接僕に報告してもらう。一緒に、このクラスFを最弱ではなく、最も準備の整ったクラスにするんだ」


席に戻りながら、クラスメイトたちの視線に気づいた。もはや単に最高点を取った変わった奴ではない。猫の喧嘩を戦争委員会に変えた奴だ。


最も鋭い武器――知性――を使った。解剖して廃棄するためではなく、繋げて強化するために。


リーダーシップはコントロールではない、と考えた。既に熱意をもってノートに書き込むアビゲイルと、新たな決意で非常口の図面を研究するひなたを見ながら。


触媒作用だ。異なる要素を取り、それらの合計よりも強いものに変換する反応を見つけることだ。


たった一日で目標を達成できたことを、誇らしく思った。


もう今日はこれ以上何も起こらないだろう……よな?


* * *


もうすぐ下校の時間だった。そういえば……まだどの部活動に入るか決めていないな。まあ、来週までに考えればいいか。それに……最近の出来事を考えると、部活動自体がほとんど機能していないようだし。


チャイムが鳴り、今日の授業は終わった。みんなが帰り支度を始めていると――突然、教室のドアが開いた。


そこに立っていたのは、息を切らせたあの先輩だった。秘密基地で会った……名前は何だったか?


彼女は僕をじっと見つめ、突然声を上げた。


「やっと見つけた、小次郎くん!」


クラスメイトたちの視線が僕に集中するのを感じた。当然だろう。先輩が僕を探しに来ているのだから。しかも、みんなは僕が革命家のような……いや、正確にどう表現すればいいのかまだわからないが、そんな先輩たちのグループに加わったことなど知らないのだから。


僕は彼女に近づき、背後でドアを閉めた。


「何か用ですか?ええと……名前は?」


「あたし、りんだよ」


苗字は言うつもりがないらしい……


「それで? 何の用ですか?」


「アレンくんが探してるの……」


彼女は教室のドアの上あたりに視線を向け、何クラスなのか確認しているようだった。


「へえ~、まさかFクラスだったなんて」


「これは一時的なものです。もっと上のクラスに上がるつもりですから……」


「Fクラスだからって落ち込む必要ないのに」


「でも……僕は最下位のクラスにいることを受け入れられません。今は、上のクラスに移る前に、彼らがこのアカデミーで生き残る方法を示すつもりです」


「そんなこと言わないでよ。誰の可能性だって、ランクやクラスで決まるわけじゃないんだから。新しい仲間たちと一緒にいて居心地がいいなら、彼らと一緒にいるべきだよ」


僕は困惑して眉をひそめた。このクラスで達成したいことは、ただ期待を裏切らないこと――だから今日、あれだけのことをしたのに……それなのに……今感じているこの奇妙な感覚は何だ?


「でも……僕は自分の価値を証明しなければ……りん先輩だって頭が良さそうですし、きっとAクラスのような上位クラスにいるんでしょう?」


「えへへ……ごめんね、あたしFクラスなの」


「……え?」


「だから、Fクラスだってば」


「はあ――っ!?」


その事実に衝撃を受けた……


「それで、あの場所にいた他の先輩たちは?」


「ほとんどみんなFクラスだよ。あたしたち、みんな仲良しの大きなグループなんだ!」


アレン先輩さえ?もう何を考えればいいのかわからなくなった。このアカデミーで通用していないのは僕の方なのか? だからFクラスにいるのか? それとも、りん先輩が言うように……僕の本当の価値は、所属するクラスとは関係ないのか……


「忘れないでね、後で来て。アレンくんが話があるって……それと、誰にも見られないようにね……」


りん先輩は嬉しそうに走り去った。彼女の雰囲気はサラを思い出させたが、どこか違う感じがした……


突然、背後のドアが勢いよく開き、そこにいたのは――サラだった。


「小次郎くん、ちょっと中に入って」


彼女は僕が動くのを待たず、袖を引っ張って教室に引きずり込んだ。クラスの前まで連れて行かれ――


「小次郎くん、今からみんなに説明してよ……何が起こってるの? あの先輩は誰なの?」


なぜ説明しなければならないのか理解できなかったが……見逃していた重要な点に気づいた。もしクラス全員をアレン先輩の元に誘うことができれば……これは有利になるかもしれない。


みんなを見渡し、秘密基地について説明を始めた。アレン先輩がリーダーであること、エーテリアルの状況について最もよく知っている人物であることを。


みんな疑問を抱いているようだったが、誰かを説得したり強制したりするつもりはない。


教室が静まり返る中、意外にもアンヌが手を挙げた。


「あ、あの……その先輩は、黒い派手な服を着た男たちのこと知ってるか……です?」


「黒い派手な服を着た男? どういうことだ?」


「……昨日、人を見たんです……です。男の人だと思うんですけど……です。アカデミーの生徒じゃなくて、大人の男の人で……エ、エーテリアルが現れる前後に、周辺をうろついていて……です」


僕はこの数日、そのようなものは見ていない……アレン先輩はそれについて知っているのだろうか?


「情報をありがとう。だが、アレン先輩がそれについて知っているかはわからない。後でこれから会うところだからね」


再び教室は静まり返ったが、またアンヌが手を挙げた。


「え、えっと……じゃあ、あたし……私も行っていいですか……?」


これは予想外だった。少なくとも僕が見る限り、アンヌは極度に内気で、エーテリアルの存在に対して最も敏感だと言える。だからこそ、彼女が最初にアレン先輩に会いに行きたいと言い出したことに驚いた。


クラスの他のみんなを見渡した。まだ考え込んでいる。それぞれに考えること、言いたいことがあるのだろうが、迷っているようだ。軽率なことは言いたくない。何か良いことや悪いことを言えば、それがアレン先輩に対するみんなの認識に影響を与えてしまうだろう。


少しずつ、クラスのみんなが手を挙げ始めた。質問したいこと、言いたいことがあるようだ。これは、委員長として一人ひとりの話を注意深く聞かなければならない瞬間だった。

次回――


小次郎のクラスでは、アレンという存在を巡って激しい議論が起こる。

未知の人物に協力することへの疑念、不安、そして恐怖。


だが、その中である提案が提示される。

それはクラス全体の信頼を“ある人物”に委ねるという大胆な決断だった。


一方その頃、アレンの拠点ではエーテリアルに関する新たな情報が共有されていた。

その分析は、敵の正体だけでなく、アカデミーの過去に関わる驚くべき事実へと繋がっていく。


そして二つのFクラスの間に結ばれる――条件付きの同盟。


しかしその直後、アレンは次なる作戦を提示する。


学院に潜む「黒衣の男たち」を捕らえるための、

危険な共同作戦が始まろうとしていた――。

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