表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/58

信任の輪

生徒会長選挙、ついに本格始動。


仲間たちの支え。

奇抜すぎる作戦。

そして――見えない視線。


注目を集めるためのコスプレ作戦は、果たして成功なのか失敗なのか。

笑いと混乱の中で、アレンは初めて「候補者」として群衆の前に立つ。


だが、本当に問われているのは人気ではない。


信頼とは何か。

守るとは何か。

そして、生徒会長になる動機とは何か。


派手な戦いではなく――

思想と覚悟の始まり。


“信任の輪”は、どこまで広がるのか。

緊張している。


いや、緊張なんて生易しいものじゃない。全身が強張っているのが自分でも分かる。


原因は隣にいる先輩――桜井くるみ先輩だ。


彼女がそこにいるだけで、僕の体は勝手に緊張してしまう。でも、どうして?それが本当の疑問だった。


今、会長が全アカデミーに向けて演説をしている。けれど、僕は全く集中できない。桜井先輩の存在が気になりすぎて、会長の言葉が耳に入ってこない。


……ようやく会長の演説が終わった。


結局、何も聞いていなかった。後でりんや皆に、何を言っていたのか聞かないといけない。


桜井先輩は何も言わず、何もせずに立ち去っていった。


……ますます怪しい。ますます不可解だ。


教室に戻ると、皆が僕の席の周りに集まっていた。全員、やる気に満ち溢れている様子が見て取れる。助けたいという気持ちが伝わってくる。


まず、会長が何を言っていたのか聞かないと。


要約すると、会長が説明したのはルールと、票を獲得するためにやるべきことだった。


今週中、生徒会長候補者はアカデミー中を自由に回って、生徒たちの注目を集めることができる。やり方は、生徒会長として何を提案するかの演説でも、その他の活動でも構わない。


そして週の終わりには、全アカデミーの生徒と教師、さらには学園長まで出席する中で、全候補者による最終演説が行われる。


投票日は特定の日に設定されていない。代わりに、アカデミーの廊下のあちこちに投票箱が置かれていて、キャンペーン週間中に票を入れられるようになっている。


確かに独特で奇妙なシステムだ。


でも、僕が気になるのは別のことだ。


信じられない。どうしてあんなに堂々と、監視もなしに投票箱を放置しておけるんだ?誰も盗まないと、そこまで信頼しているのか?


票が入った箱を誰でも見える場所に置いておくなんて、アカデミーで見た中で最も馬鹿げたことの一つだ。この生徒会長選挙システムを考えた人間の論理が、まるで理解できない。


「戦略を考えないと!」


エリザが突然話しかけてきて、僕は思考から引き戻された。


りんが何か思いついたようで、必死に手を挙げている。


「あたし、アイデアあるよ!」


「言ってみてくださいりんさん」


「アレンくんを見に来てくれた人に、お菓子をあげるのはどうかな?」


「それは賄賂です」


「あれ?」


皆がりんの最初のアイデアに笑い出した。彼女は恥ずかしそうに頭を下げる。


エリザは実際には既に計画があるような表情をしていた。ただ、他に誰か提案しないか試していただけのようだ。


「誰もアイデアがないなら、わたしには良い案がありますわ」


エリザは誇らしげにそう言った。表情からもそれがよく分かる。


「まず、アレンさんが公の場で言うことをわたしが書きます。それから、皆の協力を得て、ある必勝の策で注目を集めましょう」


「必勝の策?どういうことですかエリザ?」


「心配しないでください、アレンさん! わたしには友達がいて、その友達にも友達がいて……そのまた友達が文化部にいるんです!」


文化部が何の関係があるのか、エリザが何をしようとしているのか分からない。


「説明してもらえますか?」


「どうしたんですかアレンさん?以前なら、わたしが何を計画しているか、言う前に推理していたでしょうに」


本当に分からない……。彼女が言ったことを整理してみる。


まず、彼女が演説を書く。次に、生徒たちの注目を集めるために何かが必要だ。そこが大きな謎だ。その「何か」が文化部にある……。そこから何かを借りて、それを使って生徒たちの注目を集める?多分そうだ。


僕がそう言うと、エリザは嬉しそうに頷いた。


「その通りですアレンさん。生徒たちの注目を集めるための『何か』が文化部にあるんです」


「それは何ですか?」


エリザは腕を組んで、誇らしげに、何かを自慢するように微笑んだ。


「他に何があるでしょう。コスプレのことです!」


僕も皆も、言葉を失った。


エリザがコスプレを提案するなんて、誰も予想していなかっただろう。


「それで……誰がコスプレをするんですか?」


エリザは意地の悪い笑みを浮かべ、視線を自分の横に向けた。彼女の隣にいるのはアヤだ。


「Fクラスで最適なのは、間違いなく――アヤさんですわ!」


「ええええっ――!!?」


アヤはとても驚いている。コスプレをするということも、アヤがモデルになるということも、誰も予想していなかった。


本当にこれで上手くいくんだろうか?コスプレだけで注目を集めるのは少し……。


その後、自由時間のたびに、エリザが一番準備を進めていた。これはりんをイライラさせたようだ。


そして皆がまた集まって、明日何をするか話し合っていると、りんさんが突然言った。


「エリザさん!」


「びっくりした!急に話しかけないでください」


「ごめん。でも言いたいことがあって」


「何でしょう?」


「あたしもアヤさんと一緒にコスプレさせて!」


皆が驚いた。りんがコスプレを申し出るなんて、信じられなかった。


「本気ですかりんさん?」


「うん!」


「では、決まりですわね」


するとアヤが、ほとんど囁くように言った。


「でもわたし、コスプレするなんて言ってないんだけど……ふーぅ」


最後のため息は、安堵というより諦めのようだった。


明日から、全候補者が動き始める。


他人に頼りすぎてはいけない。自分でも何かを考えないと。


明日やることはこうだ。


アカデミーの裏庭で、看板を使って、コスプレで注目を集める。シンプルな計画だけれど、りんとアヤがポーズを取っている間、少なくとも僕への注目は集められるかもしれない。


その間、エリザは新しい演説と提案を考える。かんな、レン、エドワー、マリさんは、僕についての第一印象と、僕が次の生徒会長になる可能性についてのチラシを配る。


僕は、アカデミーに何を提案したり提供したりすれば、投票してもらえるか考えないといけない。


こんな風に考えなければならない立場に立ったことがないから、本当に難しい。


でも……。


何かを提供したり提案したりするよりも、僕が考えているのは、唯一の動機がFクラスを守ることだということだ。


部屋に戻ってから、また考え込んでしまった。


僕は本当に生徒会長になれるんだろうか?


この全てにおける僕の唯一で本当の動機は、友達――Fクラス全員だ。りんのためにやっている。でも、りんのためにやるということは、皆のためでもある。


それなら、それが唯一の動機では、あまりにも利己的で、最悪の候補者じゃないだろうか?


生徒会長を目指すなら、もっと別の動機を見つけないといけない。でも、その足りない動機って何だろう?


明日、他の候補者が何をするのかも気になる。特に桜井先輩のことが気になるけれど、武蔵さんが何を計画しているかも興味がある。


どうであれ、明日には分かるだろう。


* * *


教室に着くと、既にエリザとアヤがいて驚いた。アヤの手には、これから使うコスプレ衣装が握られていた。それを見て、メイド服だと気づいた。りんのはどんなのだろうと気になったが、エリザはまだカバンにしまっているようだった。


エリザが、訪ねてくる生徒たちに向けて話すスピーチ原稿を渡してくれた。目を通しながら、自分なりのアレンジを加える必要があると感じた。とりあえず、今は暗記しておこう。


そうして時間が進み、自由時間がやってきた。今週は生徒会長選挙のため、アカデミー全体に向けて自己アピールできる時間が設けられている。ありがたいことだ。選挙活動は本当に疲れる。あちこち動き回らなければならない。


中庭に到着すると、アヤはメイド服を着ていた。そしてりんは――猫耳の衣装を……?可愛くて万能な感じだけど、なんでアヤだけがメイドで……いや、これ以上考えるのはやめよう。


スペクタクルに引き寄せられた生徒たちの群れが、周りに集まり始めた。アヤは完璧なエプロン姿で「アレンを生徒会長に!」と書かれたプラカードを振っていた。りんは、彼女だけに聞こえる歌のリズムに合わせて猫耳を揺らしていた。


でも……こんなに多くの視線が集まって、緊張してきた……。


なんとか平静を保とうと、存在しない眼鏡を震える指で押し上げる仕草をして、視線を固定できる場所を探した。しかし、人混み、揺れるプラカード、そして自分の舞台恐怖症のせいで、目が間違った場所に……。


「うっ、あ……!」


アヤのお尻――エプロンのリボンで意図せず強調されている――を直視していることに、遅すぎるタイミングで気づいてしまった。


ち、違う! 視線を逸らせ、バカ!


しかし裏切り者の目は、数秒間従うのが遅れた。首から額まで核爆発級の赤面が這い上がってくる。アヤは何も気づかず、プラカードを持って飛び跳ねている。


お、終わった……!


脳内で見出しが浮かんだ。『生徒会長候補、選挙活動中にメイドを凝視』


だが、人生が救命ボートを投げてくれた。りんが突然プラカードを踏んで転び、アヤを巻き込んだ。群衆が笑いに包まれ、あの「事件」は混乱の中に埋もれた。


まだ震えながら、混乱に乗じて叫んだ。


「僕に投票してください! 約束します……えっと……透明性を!」


次に聞こえてきたのは――


「面白いな」

「生徒会長候補、大丈夫かよ」

「俺、あいつに投票するわ」


どういうわけか、何かを達成できたようだ。今回の目的は自己紹介だ。深呼吸して、声を張り上げた。


「皆さん、ここで僕の話を聞いてくださってありがとうございます!」


立ち止まって聞いてくれる生徒、既に集まっている生徒たちに向けて、自己紹介のスピーチをした。


しばらくして、そろそろ教室に戻る時間になった。最後のスピーチを終えようとしたとき、遠くに――桜井先輩の姿が見えた。


一瞬、体が強張った。彼女は距離を置いて、ただ僕を見ているだけだった。それ以上は何もしない……。ただ見られているだけで、強烈な不快感が込み上げてくる。


やがて彼女は何事もなく去っていった。


あの人、何なんだ……?


手が震えている。なぜ……? 自分でも理解できない。


教室に戻ると、エリザが何か伝えたくてたまらない様子だった。


「アレンさん、聞いてください!」


「どうしたんですか?それと、なんでそんなに近づくんです?」


「あっ!ごめんなさい。あなたがスピーチしている間、他の候補者たちを見に行ってきたんです」


エリザの話によると、まず桜井先輩は一番普通だったらしい。アカデミーの入口に立って、近づいてくる生徒たちに自己紹介のスピーチをしただけ。エリザによれば、彼女のところには人が一番集まらず、信じられないほど早く立ち去っていったという。エリザは彼女を最も弱い対抗馬と見ているようだが……僕はそうは思わない。


次に高遠完士。彼の場合、少なくともエリザには判断が難しかったらしい。仲間のサポートはあったが、同時に仲が悪そうにも見えたという。エリザ曰く「単純に変」だそうだ。集めた生徒の数はそこそこで、定着率もあった。それに人を引きつけるため、仲間たちが大声で叫んでいたらしい――ポイント獲得を増やす新システムを作るという公約を。


それについてどう思えばいいのか……。ポイントシステムを変える方法? 増やす? 単に注目を集めるための発言にしか聞こえない。それに、一年生と二年生には効果的かもしれないが、三年生は興味を示さないだろう。


そして最後に、エリザは武蔵さんについて語った。彼の場合、注目を集めるオーラが驚異的だったらしい。スピーチには何人かの仲間が付き添っていたが、特に何もしていなかった。武蔵さんの存在そのものが、必要なすべてを満たすのに十分だった。


それから、エリザが心配していることを口にした。一瞬、リリスさんのことを言うのかと思ったが――


「武蔵さんが自己紹介スピーチを終えたとき、周りにいた生徒たちが話していたことを聞いて、とても衝撃を受けました」


「何を聞いたんです?」


「……多くの生徒が、武蔵さんは銀太郎会長を思い出させると言っていたんです」


「何……?」


「それだけじゃありません。多くの生徒が、武蔵さんが銀太郎会長のようなら、アカデミーはもっと安全になるか、生徒たちに有利な大きな変化を起こせるかもしれないという印象を持ち始めているんです」


これを聞いて、エリザの懸念が何なのか理解できた。


問題はこうだ――もしアカデミーの多くの生徒が武蔵さんを銀太郎会長と同等だと見始めたら、彼らが既に慣れ親しんでいて安心感を覚えるものと結びつけるなら、武蔵さんはほぼ確実にナンバーワン候補になる力を手にする。お気に入りで、間違いなく全候補の中で最強だ。


でも、何かおかしい。武蔵さんがどんな人物か知っている。バトルイベントで戦ったから分かる。彼の性格は銀太郎会長とは違う。それなのに……なぜ? なぜ生徒たちは彼を銀太郎会長と同じ後継者のように見ているんだ?


それに、桜井先輩のことを思い出した……。エリザの話だと、彼女は努力していないようだし、特に怪しいこともしていないらしい。それなのに、なぜ? なぜ彼女を見ると、こんなに不確かな気持ちになるんだ……?


その後、また自由時間になり、明日何をするか話し合うために全員が集まった。りんはアイデアがあるようで、みんなに聞いてもらおうと素早く手を振っていた。


「エリザさんから他の候補者のこと聞いて、すっごいアイデア思いついたの!」


「どんなアイデアだ?」


「抽選会やろうよ! アレンくんに投票してくれた人、全員コンテストに参加できて……旅行が当たるの!」


エリザは額に手を当て、想像上の汗を拭った。


「それは……買収ですよ、りんさん」


「違うもん! これは『民主的インセンティブ』だよ!」


勝ち誇った様子で言い切る。


「それ、言葉を綺麗にしただけで同じことです」


「あっ! じゃあ……無料ハグはどう? それなら買収じゃないよね!」


みんなで顔を見合わせた。本気で言っているのか、冗談なのか。隠しカメラを直視する瞬間だろうか……?


結局、エリザは僕が公約を慎重に考えるべきだと提案した。それが明日のスピーチの核心になる。


* * *


授業が終わって部屋に戻ると、天井を見上げながら考え込んだ。アカデミーを変えたり、改善したりするために何を提案できるだろうか。そもそもこのアカデミー自体がちょっと……独特 だから、余計に難しい。


ポイントシステムのことを考えた。変えられるだろうか? それからデジタルバトル・システム。これがアカデミーで最も奇妙な部分だ。何のために存在しているんだ? ポイントを稼ぐため、それが一つの理由だ。今までも時々、挑んでくる人とのバトルを受けてきた。


これがアカデミーの「経済」だ。ポイント、デジタルバトル――それらはポイントを稼ぐ手段だ。


ポイントがなくなった人たちの問題を思い出した。もしかしたら、ポイントを失った生徒を助けるモデルを作るべきかもしれない。選択肢はたくさん見えるが、考えれば考えるほど疑問も湧いてくる。このアカデミーはなぜ、生徒のためにこんなシステムを用意しているんだ……?


突然、リリスさんのことを思い出した。あの日、僕とアヤの前に現れて、このアカデミーの「秘密」について奇妙なことを言っていた。


考えれば考えるほど、意図せず頭が完全に疲弊していった。そして、いつの間にか眠りに落ちていた……。


* * *


今日、僕は頭の中で漠然とスピーチの準備をしていた。生徒会長選挙に勝ちたいなら、何か革命的なものを提案しなければならない。


空き時間が来た時、まず皆に生徒への提案として発表しようとしていることを話した。皆、疑問というより驚いている様子だった。僕の提案に対して。


「どう思う、みんな?」


皆が互いに顔を見合わせ、思案している。そんな静かな沈黙の中、りんが最初に声を上げた。


「あたし、あなたのアイデアに賛成よ!」


続いてアヤも決意を固めたようだった。


「わたしも、その案、支持するってば」


突然、かんなが僕のすぐ隣に近づいてきて、囁くように言った。


「……賛成……でも、今のうちに警告しておく……誰かが監視してる……」


かんなが何も言うなという仕草をする。一体何を見たんだ?何を知っているんだ、かんな?


レンが勢いよく声を上げた。


「オレ、あんまり何もしてねーけど、アレンが票取れるように何か考えるぜ!」


そこでエドワーがレンの頭を叩いた。


「何で殴るんだよ!?」


「頭の中を整理してやろうと思って」


「なんだと!?」


その二人が言い争い始める中、マリさんが言った。


「あ、アレンくん……が、頑張って……と、わたし……もっと宣伝しようと思います……そ、その、今まで科学部の友達にしか言ってなかったので……」


皆の支援に感動を覚えながら、僕は中庭へと向かった。


周りには、僕の話を聞こうと多くの生徒が集まり始めていた。


皆に覚えてもらうために考えた提案は――


「皆さん、時間を取って聞きに来てくれてありがとうございます」


視線が僕を取り囲む群衆を巡る。それから緊張をほぐすため、ほとんど無意識に手を動かし始めた。


「多くの人が知っている通り、アカデミーにはポイントを全て失う可能性があります。それが起こることは、ここにいる誰にとっても最悪のリスクです……だからこそ、僕の提案の一つは……『バックアップシステム』の創設です!」


素早く周囲を見渡す。困惑している者、興味を持っている者、互いに囁き合っている者。よし!注意を引いた。ここからが重要だ。


「誰とでも話し合って、ポイントを失った人たち、またはポイントを失う危険がある人たちのための新しい支援システムを作ります。僕の案はシンプルです――毎日の出席でポイントを受け取るというのはどうでしょうか?」


素早く周囲の反応を見る。でも、視線が群衆を巡っていた瞬間、奥の方で僕を見ていたのは――ひめかだった。


彼女を見て驚いた。彼女が見ているなんて、恥ずかしいくらいだ……子供の頃、彼女が女王様で僕が王様でスピーチをしなければならないという遊びをしていた時のことを思い出した……なぜ今、それを思い出すんだ?


もう一度集中し直す。次の提案に触れなければならない。この二つ目が決定打となり、皆が僕のことを話題にするだろう。


「これが唯一の提案ではありません。もう一つ、もっと重要なものがあります。それは、皆がアカデミーを楽しむ方法を大きく変えるかもしれません……この二つ目の提案を、僕は『共有メリット・システム』と呼んでいます!」


生徒たちの群衆がざわめき、期待に満ちている。深呼吸をした。穏やかだが、しっかりとした声が、アカデミーの中庭に響いた。


「僕たちは皆、ポイントのために努力しています。バトルをして、勉強して、競争して……多くの場合、ただ生き残るためだけに。でも、もし僕たちが得る一つ一つのポイントが、自分だけでなく、周りの人たちも強くするとしたら?」


奇跡を約束するつもりはない。ライバルを攻撃するつもりもない。代わりに、シンプルな問いを投げかけた。それは下位クラスの生徒たち、日々を過ごし、わずかなポイントを追いかけている者たちの心に響いた。


間を置き、その考えを浸透させる。


「提案します。各自が得たポイントの少しだけを、自分のクラスの共通基金に回すんです。そうすれば、一人の成功が……皆の支えになる。『僕対君たち』ではなくなります。『僕たち、一緒に築いていく』になるんです」


群衆を、いつも置き去りにされてきた者たちの目を見つめた。


「君たちの個人的な努力は失われません。それは誰も切り捨てられない未来の種になります。君の勝利が……僕の勝利にもなる場所です」

次回――


祭典の裏側で、突如として消えた投票箱。

その行方を追う二人の前に立ちはだかるのは、不可解な沈黙と姿を消した一人の候補者。

一体、誰がこの平穏を壊したのか。

深まる疑念、そして暴かれる真実の破片。

物語は、一気に加速していく――。


――失われた一票の裏に、真実が隠されている。


加速する物語から、一瞬たりとも目が離せない。次なる展開に備えよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ