代表取締役・黒沼毒尾
私は、株式会社マインドプランニング代表の黒沼毒尾。
主に企業から、社員教育を委託される会社の代表取締役だ。
社員研修といっても種類は様々だ。管理職研修から中堅社員研修。マナー研修やコミュニケーション研修など、取り扱う内容は幅広い。無数にある研修の中でも、最も弊社が得意としている研修は「新入社員研修」である。
新入社員研修で、委託してきた企業が一番に求めているのは、新入社員達の長い鼻っ柱をへし折ることである。
会社に従順な兵隊社員を作るには、人格を否定し、自信とプライドをズタズタに傷つけ、自分は社会にとって無価値な人間なのだと思わせることである。それが一番効率的で、時間もかからず手っ取り早い。
自尊心のなくなった人間は、周りの人間に正解を求める。そこまでなれば、上司の言いなりに動く兵隊の完成だ。朝から晩まで働くロボットを沢山作らなければならない。
昔はそれぞれの企業が独自で行なっていたのだが、昨今のハラスメント社会においては、それも難しい。上司が部下に対して怒鳴り散らしたり、圧力をかけては大問題になり得る。SNSも発達し、誰でも世の中に思いを訴えることが出来る。下手なことをしてSNSに書き込まれでもすれば、会社全体の信用問題に発展してしまう。
だからこそ、我々の会社に仕事が舞い込んでくるのだ。
要は研修と言う体で、企業が我々にハラスメントの代行をお願いしてくると言うわけだ。勿論、我々は緻密に計算した上で彼ら彼女らの自尊心を傷つける。ハラスメントだとは言われないように細心の注意を払っている。今までこれが問題になったことは一度もない。
ゆっくりと、だからといって限られた時間の中で、目の輝きを確実に失わせていく。その表情を見ていると、下半身が満たされてくる。ジワジワと、全身に快楽が広がって行くのを感じる…。
今回は業界最大手、従業員数二万人の大企業からの新入社員研修の依頼だ。入社式の翌日から二週間、朝から晩までみっちりと私を満たすための研修を行う。
あ〜〜。
自信をなくした若者たちの、あの表情が堪らない。社会に対して恐怖心を覚え、右も左も分かっていない自分はどうすればいいいのか、早く答えが欲しいという、あの哀れな小動物のような顔。あれを思い出しただけで、全身にゾクゾクと快感が広がっていく…。
まずい。涎が止まらない。
さぁ。最高の研修を迎えるために、私はパソコンに向き合う。




