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その姫、“はれんち”につき。  作者: 美貴
第五章です、お嬢様 マズいかもしれません
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第十話 悪魔ベリアル

「来たれ――――〈二姫不見〉――――っっ!」

「くそッ! 一つ一つが派手な姫だッッ」


 不満を口にしながらも、己の攻撃が通用しなかったのを自覚するファウロス。


 白銀の魔力によって闇の魔法が相殺されたのだ。


 太陽が爆発したかと錯覚するほどの光量が収まると、


「――これを抜くのも久しぶりね」


 錆に塗れ、刀身が真ん中から先が欠けた刀を持ったシャルロットが佇んでいた。


「……な、なんだその剣は? 骨董品ではないかッ」


 そう。確かに見た目は破損した骨董品。


 しかしその見た目とは裏腹に、醸し出す雰囲気に底知れないものを感じ震えるファウロス。


「〈二姫不見〉――コアハード王国初代女王が振るったとされる刀。東方は火の国の初代女王とともに分け与えられた神刀よ」


 折れた刀身を目の前まで掲げるシャルロット。


「二姫不見――この刀が仕えるは一人の姫のみ。絶対的な制約を刀身自ら課すことで、存在の位階を上げし刀」

「……ゆえに〝覇連血〟――その初代女王の血を引く者のみが扱える力というわけか……」


 ファウロスが得心いった様子。


 シャルロットは不敵な笑みを浮かべ、白銀の魔力を刀身に流し込む。


 すると折れた刀身の先に魔力でできた切っ先が現れ、刀全体も白銀に輝きだす。


「さ、これでお互い準備も整ったわね――いっくわよーっ!」

「――――ッッ」


 ドンっ、と玉座から消えたかた思うと、次の瞬間にはファウロスは後方へと吹き飛ばされていた。


「あり? 剣ごと真っ二つにしたつもりだったのだけれど……いい武器もってるじゃない!」


 シャルロットの言葉で皇帝から下賜された剣に命を救われたのだと理解するファウロス。


「くッ……そ……ッ! 見えなかった!」


 瓦礫から立ち上がりながらも、すでに体力の九割を持っていかれた。それほどの威力が先ほどの攻撃にはあった。


「ほらほら! 次いっくわよ!」

「――舐めるなァァァァァァァ!!!!」


 剣気を広げるだけ広げレーダーのように拡散させるも、感知した時にはシャルロットの攻撃によって吹き飛ばされる。


 それが幾度も幾度も繰り返される。


「……んー。カンってわけじゃないのかしら? ここまでわたくしの攻撃が防がれるのはおっかしいのよねー」

「ハァ……ハァ……ハァッ」


 ――防がれる。


 そうはいっても、強力な攻撃によって何度も吹き飛ばされたファウロスの体はすでに限界を超えている。


 偶々、剣を向けたところにシャルロットの攻撃が来るだけだ。


 綱渡りのような攻防を繰り広げていると、ベヒモスと戦っていたアンテロスが叫ぶ。


「お嬢様っ! この怪物の名といい、その剣から発せられる気配といい、嫌な予感がします! さっさと倒してください!」

「気配? そんなもの感じないわよ……?」


 なにをいっているの、と言わんばかりの顔で首を傾げるシャルロット。


「このっ! 不感ポンコツロイヤルビッチがっ! それは神の私ですら知らない剣です!」

「それって――」


 シャルロットは二の句が告げなかった。


 ファウロスがその手に持った剣から黒く粘度を帯びた魔力が湧出したからである。


「「…………っっ!?」」

「――なッ!? くそッ! そういうことか! 陛下から剣の下賜など聞いたことがなかったが……! 俺ごと消し去る気か…………ッッ!!!!」


 なにか思うところがあるのだろう。


 知的で冷静な顔を憤怒に染め上げて、ファウロスは怨嗟の声を上げる。


「そこまで王国が怖いのですか――父上! 我が子を捨て駒にしてでも! そこまで大陸を統一しなければならない理由が――」


 剣から溢れる魔力がファウロスの全身を侵食していく。


 もはやこれまでと悟ったファウロスがシャルロットに告げる。


「……悪いな、ふしだらな姫よ。俺はここまでだ。せめて家臣だけでも見逃してやってくれ」

「わたくしがそんなに慈悲に満ちた女に見えて? 敵には容赦しないわ」


 ファウロスの最後の望みはあっけなく散った。


 きらり、とその目に涙を浮かべ、今際の際の悔恨の思いを叫ぶ。


「くそッ――せめて獣耳と仲良くなりたかった……!」


 その言葉を最後に、全身が闇に飲まれた。


「あなた――――っく!?」


 ガキィンッ!!


 シャルロットが言葉を発そうとした瞬間、闇に覆われしファウロスがシャルロットに切りかかった。


 それは先ほどのまでと一線を、いや二線も三線も画すほどの剣技であった。


「……あなた――盗人の第四皇子ではないわね」


 シャルロットの誰何に闇が答える。


「クカカッ! ずぅっと見てたぜェ、いやらしい姫ェ!」


 一際大きな力で鍔迫り合いから距離をとる両者。


「オレはベリアル! 魔神配下にして七王の一人――悪魔さ」

「悪魔……? 良く知らないけれど、ずいぶんと野暮なことをしてくれるじゃない」

「クカカッ! それが悪魔ってもんよ! なァ! アンテロス!」


 ベリアルと名乗った闇は、アンテロスに同意を求める言葉を投げる。


 ベヒモスと戦いながら、アンテロスが抗議する。


「一緒にしないでもらいましょうかっ。私は堕ちたといえども神! 魔神配下の悪魔とは格が違うのですよ! 格がっ!!」

「ちょっとちょっと! 悪魔ってなによ! 魔神なんて聞いたこともないんだけど! まさかのここにきて新事実なんですけどっ!?」

「――神がいるのだから魔の神もいるでしょうよ」

「あーそっか! ってなるかー!!」

「クカカ! 楽しそうで何よりだが、悪いが皇帝の命があるんでな。ここで王国は滅ぼしとかなきゃならねェ」


 ゆらり、と剣をなびかせるベリアル。顎を上げたかと思えば、次の瞬間にはシャルロットの眼前に現れ剣を下から振り上げた。


「こッ――のぉぉ!」


 瞬時に反応したシャルロットが振り下ろしの斬撃で応じる。


「クカカッ!」


 しかし膂力に差があるのか、シャルロットが力負けし打ち上げられる。


 その威力・速度は並外れたもので、玉座の屋根を貫きながら空中へと吹き飛ばされた。


「神と悪魔の戦いだァ! こんな狭いとこじゃなくて、大空で派手にヤリ合おうやァァ!」


 打ち上げられたシャルロットを追いかけるように空へ跳ぶベリアル。


 シャルロットと悪魔へと変じたファウロスことベリアルの戦いは、玉座から空中での決戦に移行した。

お読みいただき、ありがとうございます!


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