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砂に紛れた指先は

私はこの小さな町で、小さな選択も出来ぬまま。

毎日に流れ込んでくる砂の中では、酸素が薄くて。

私は、市原真紀。

小さな頃から掲げていた夢は、小説家であったが、今は砂場で小さなお城をつくっている。


ここは、やまさと幼稚園。私が勤めている小さな国の様な場所だ。かつて描いていた将来像は歳を取る事と引き換えに手放してしまった。母親の職場である幼稚園に、それは紹介のような形で、逃げ込むような形で働き始めた。

昔から、どうも子供が苦手な私は、接し方なども一切分からないまま流されるままに日々を送っている。先週に会った友人は、高校卒業以来の再開だった。ずっとしたいと意気込んでいた服飾デザイナーの夢は、とうに諦めていたらしい。


幼児用の小さなスコップで、土を掘る。昨日は1日中雨が降っていた。今日まで続いていたら外遊びは中止になっていた。昨日に雨粒を吸ってぶくぶく太ったそれを幼児達は一生懸命に掘り起こした。


仕事を終え、家に帰った私はソファに倒れ込んだ。それは昼頃の幼稚園の砂場の様で、1度沈んでしまえば、抜け出すことが難しい。

私はすっかり夢を見た。小説や母親や園児たち、友人、友人に言われた「早く結婚しなよ」。

全てが沈んでいって無くなっていく。実体を手放して概念へ帰っていく。私はそれを少し遠くで見ていた。まるで言葉ひとつひとつが神様のように見えて、確かにそれは光り輝いていた。私もそこに行きたかったのに、近づくと近づくだけ離れていくそれは、決して常識などというスケールでは測れないものであった。


夢から覚めた私は、リビングに母の姿がないことを確認して安堵した。夕食を作り終えていないと、母はすぐに私をぶつ。

母の理想に私は染まって、母の用意した職場で働いて、私はこの町から出る事が許されない。すっかり母の蟻地獄に私は落ちきってしまった。自分で将来を選ぶ事が出来ない私は、意味の無い両手で物音を立てないように、そっと夕食を作り始めた。


将来設計はお早目に。

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