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第四話 ちょっと戦った

 昔ばなしをしたせいか――夢を見た。

 ちょうど一年くらい前、コーンウォール家の館にやってきてすぐの頃の夢だ。


 夢の中のあたしは着慣れぬ女中(メイド)服に違和感を覚えながら、館の造りを覚えるためにあちこちを一人で見て回っていた。

 あの壺は高そうだ。あの燭台は模造品(イミテーション)だから安物だ。そんな風に値踏みしながらうろついていると、大きな肖像画が壁にずらりと並んだ廊下に差し掛かった。


 どうやら肖像画は歴代当主とその奥方の姿を描いたものらしい。それぞれの下には名前と生年と没年と(おぼ)しきものが書いてある。


 当主は全員が白銀(プラチナブロンド)の髪。まぁ当たり前だ。勇者の一族なのだから。

 奥方の方の髪色は様々だが、全員美人でスタイルがいい。今の当主であるエドワード老の奥方も同様だ。きっと、いいものを食べて生きてきたのだろう。


 廊下の一番奥の肖像画に描かれていたのは二本の直剣(ロングソード)を腰に帯びたイケメン。たぶんこれがこの館の最初の主であるロイス・コーンウォールとかいう男なのだろう。この島では伝説的な人物らしい。現在この館に住む一族とよく似ているが、背はそこまで高くない。

 その隣で微笑む奥方は、やはり美人。着ている高級そうなドレスはあたしの着てる女中(メイド)服のように胸を強調するようなデザインだが、スタイルがいいので実に様になっている。


 この時――そう、この時、何かを疑問に感じた。

 かなりくだらない疑問だったと思うが、それが何だったのか思い出せない。逆説的に言えば、思い出せないのだから、くだらない疑問だったと断定もできるが。


 肖像画の廊下を抜け、館の中庭に面した通路に差し掛かる。


 中庭ではまだ十歳にもならない小さな少年が、エドワード老から戦闘訓練を受けていた。

 この時はまだ、その子の名前も知らなかった。


 少年が気合の声を上げながら、木剣で父に斬りかかる。それは軽く(さば)かれてしまい、返しに手の甲と肩を(したた)かに打たれる。


 顔を歪めて木剣を取り落とし、うずくまる少年。

 エドワード老が使っているのも木剣だが、ほとんど手加減しているようには見えない。

 少年はとても痛そうにしていたが、父親に叱咤(しった)されると、すぐに木剣を拾い上げて立ち上がった。


 自分の幼少期を思い出す。様々な技術を仕込まれながら育てられた地獄のような日々を。

 腹の底から怒りが沸き上がり、全身の毛が逆立った。これは自分でも意外だった。


 ここでも子供は同じように扱われているのか。大人にとって都合のいい道具のように。


 ――いや、違う。


 少年の横顔には、あの頃の自分にはなかった、確かな目的意識があった。

 そしてエドワード老の横顔にも息子への確かな信頼と――おそらく、たぶん、愛情のようなものがあった。


 ただ漠然と日々を生きてきたあたしには、二人が妙に(まぶ)しく見えた。

 きっとあの二人は己の中に確固たる価値観を持ち、迷うことなく生きている。


 この勇者の一族の館にいれば、ひょっとしたらあたしも、彼らのようになれるかもしれない。

 そう。その時そんなことを思ったのを、今更ながらに思い出した。


 今はまだ、その時の願いは叶っていない。

 ロイスや少年の言うキラキラとかいうやつがあたしにも見つかれば、きっと叶うと思うのだけど――。






    ☆






「おはようございます、フィアさん」


 翌朝、あたしが(まぶた)を開けると、すぐに元気な声をかけられた。


 上半身を起こす。こんな場所なのに、不覚にも熟睡してしまったようだ。

 すぐそばに少年がいたから安心したのだろうか。……いや、まさか。


 レオ少年は剣の手入れをしていたらしい。その手を止めて、朝の紅茶を淹れるために器具を準備し始める。

 しかし、あたしが何も言わずにボーっとしてるのに気が付き、慌てた様子で釈明した。


「あ、いや、フィアさんが起きてすぐ声かけられたのは、寝顔を見てたからじゃないですよ! たまたま! 本当にたまたまで!」


「別に寝顔見るくらいいいですけどぉ。早起きなんですね、レオ様。ふぁぁ……」


 まだ寝足りない感じもして、大きく欠伸(あくび)をする。

 一方レオ少年はバッチリ目が覚めてる感じだった。


「ボク、【睡眠短縮】の勇者特権(ブレイブオーダー)持ってるんで、普通の人の半分くらいの睡眠時間でいいんです」


「あー、いいなぁ、それ。便利ですね」


「その分、館だと早朝から訓練やらされてますけどね」


「うーん、(うらや)ましくなくなった。陽も登らないうちから訓練してるってほかの女中(メイド)から噂で聞いてましたけど、そういうことだったんですねー」


 少年は苦笑いをして首肯(しゅこう)する。

 嫌な真実を知ってしまったものである。


「ところで、なにかいい夢でも見たんですか、フィアさん」


「え?」


「なんだか、いい顔してますけど」


 少年はくすくす笑いながら、あたしを見ていた。

 自分の顔に手を当てる。確かに、表情筋が緩んでいた。


「いやー、別に。ただ、人生って分からないものだなと思いまして」


「というと?」


「大陸にいた頃、噂に聞いてはいたんですよ。このウィズランド島にも勇者の一族がいるって。でも、まさか自分がその館で働くことになるなんて考えてもみなかったなって、ふとしみじみと」


 寝ぼけた頭で適当に返事しただけである。

 しかし少年はずいぶんまともに受け取ったようで、真面目な顔になった。


「たしかに。ボクも混沌都市(イルファリオ)の噂は聞いてましたけど、自分とは一生関わりのない彼方(かなた)の土地だと思ってました。そこの出の女性とこんな冒険に出ることになるんて、人生って分からないものですね」


「ですよねー」


「……本当はみんな、思ったよりも劇的な人生を生きているものなのかな。自分では気づいていないだけで」


 少年は顎に手を当て、なにやら思案を始める。遠くを見つめるその表情は、顎鬚をいじりながら考え事をする彼の父によく似ている。

 まだ十歳だ。同年代の子たちよりずっとしっかりしてるし、すでにある種の人生哲学を持っているようだけど、本来なら周りから色々と影響を受けて思い悩み、変化していく時期だ。


 あたしだって、まだ二十歳(はたち)。なにか思いがけない出来事があれば、あたしも変わるかもしれない。

 未来ある少年の横顔を見ながら、そんなことを思った。




 昨日の夕飯と同じように、出先にしては割としっかりとしたのを朝ごはんとしていただいてから、ダンジョン探索を再開する。


 昨日で慣れたのか、それともあたしとのお喋りで緊張が取れたのか、少年の足取りはやや軽い。

 いくつもの分岐を潰しつつ、マッピングしながら進むこと数刻。おそらく昼前、ダンジョンの最深部にあたしたちは到達した。


「ここ……みたいですね」


 少年がそう呟いて足を止めたのは、休憩をとったあそこよりも大きな空洞(ホール)に入ったところだった。

 そこはこれまで歩いてきた道とは明らかに雰囲気が違った。


 壁面は僅かにカーブを描きながら大きな円を形成しており。そこに等間隔に配置されたいくつもの魔力の光源が、中を真昼の屋外のように明るく照らし出している。

 地面は適度な水分を含んだ土。しかし栄養はないのか、雑草はおろか(こけ)すら生えていない。

 代わりに中央に、大の男二人分ほどの(たけ)がある一輪の巨大花がたたずんでいた。青い八枚の花弁を開き、魔術の光を浴びるその姿はどこか神々しくすらある。


 レオ少年は呆気に取られた顔で、その花を見ていた。予想していた相手の姿と違ったからか、剣を握る手が(ゆる)んでいる。


「あれが父上の話していたモンスターでしょうか」


「だと思いますよ。ほら、花を囲むように地面に魔法陣が描いてあるでしょ。あれ、あそこから出られないようにするためのものですよ」


「……花が動くって言うんですか?」


「歩いて首絞めにくる(きのこ)がいるんだから、動く花だっているでしょ。たぶん近づいたら手足が生えるんじゃないかなー」


 話しながら、観察する。

 魔法陣の魔力で分かりにくいが、この空洞(ホール)自体にも妙な魔術が掛けられている。自然界に存在する微弱な万有魔力を広範囲から集めてあの花へと流し込む、そんな魔術のようである。


 確か昨日の話だと、このダンジョンのかつての所有者は『ノッポのマクダル』とかいう魔族の魔術師だった。

 この花はそいつが生み出した魔術生物なのだろう。見た感じ絞殺茸(チョークスリーパー)のような兵器ではなさそうだが。


「きれいだなー……」


 花に見惚れながら、なんとはなしに(つぶや)く。

 横で少年が意外そうにポカンと口を開けた。失敬な。


「なんです、レオ様。あたしだって女のコなんですから、花を愛でる気持ちくらいありますって」


「そ、そうですよね、ごめんなさい。ただフィアさんはそういうの興味ないと思ってたから……」


「あっはっは。正直でよろしい」


 緊張感が緩み、そこで二人でひとしきり笑いあう。

 それから少年は表情を引き締め、剣を持つ手にも力を入れた。


「フィアさんはここで待っていてください。父上の話では、ダンジョンの入口の鍵を持つ者が近づくと封印が解けるそうなので」


「かしこまりです。ご武運を、レオ様」


 少年はあたしを安心させるように微笑んでコックリと頷くと、慎重に歩きはじめた。


 緊迫の時間。少年の靴が土を踏む(かす)かな音だけが、耳に届く。


 あと数歩――少年が一足飛びで剣を振るえば届く、その寸前で花が反応した。人間の胴ほどはある(くき)から、無数の触手が(またた)く間に生え、レオ少年に向かって殺到する。


 少年は剣で触手を払うと、果敢に前に出た。飛び込むようにして間合いを詰め、全霊を込めた両手持ちの横薙ぎで(くき)を見事に断ち切る。


 支えを失った花の上部がぐらつく。

 しかし倒れない。切断された断面からあっという間に再生し、上下がつながる。


 凄まじい生命力だ。絞殺茸(チョークスリーパー)とは明らかにレベルが違う。


「……よし!」


 少年は通常攻撃では倒せないと判断したのか、後ろに飛び退き、剣を頭上に掲げた。その剣身が光を放ち始める。

 (きのこ)相手にも繰り出したアレだ。とっさにあたしは左手をかざして目を守った。


光斬(フラッシュ)!!」


 振り下ろされる剣。複製(コピー)された斬撃が触手ごと花をズタズタにするのが、(まばゆ)い輝きの中になんとか見えた。


 やった!


 左手をかざしたまま、あたしは右手でぐっとガッツポーズする。

 だが、それはぬか喜びだった。


 残光を裂くように奥からぶっとい触手が現れ、技後の硬直で無防備なレオ少年の胸を(したた)かに打ち付けた。

 吹っ飛ばされ、壁面に叩きつけられる少年。その顔は苦痛に歪み、口からは血を盛大に吐き出した。あばらが折れたか、内臓にダメージが入ったか。


「レオ様!」


「大丈夫です」


 少年はすぐさま立ち上がり、口元の血を手の甲でぬぐって、花に向かって駆けだす。

 その動きに今のダメージの影響は見られない。さすがは勇者、反則(チート)じみた耐久力だ。


 だが、このままではジリ貧だ。相手は物理攻撃に強い耐性を持っている。

 さっきの技で与えたダメージも、もう再生されている。少年の体力が先に尽きれば、最悪の事態だってなくはない。


 怒られるのを覚悟の上で動き出す。

 体内で魔力を練り上げ、対象を指さし、呪文を唱える。


「炎をまとえ!」


 レオ少年の剣の刃が魔力で形成された火炎で包まれる。

 驚いた顔で足を止めた少年が、あたしの方を向いた。


「フィアさん、助力は!」


 無用だと言いたいのだろう。

 真面目なのはけっこうだ。しかし時には融通だって必要なはずだ。


「言わなきゃバレませんよ! 言わなきゃね!」


「でも、ボクは一人で!」


「あーもー! ロイスは一人で戦争生き抜いたんですか!? 一人で街を復興させたんですか!? 違うでしょ! 一人でなんでもできるようになれなんて、エドワード様に言われたことありますか!? ないでしょ!」


 少年が目を見開き、押し黙る。

 だいぶ適当な説得だったが、こういうのは勢いだ。


 魔術を使ったことで敵対心(ヘイト)が移ったのか、花の触手が今度はあたしに飛んでくる。

 地を蹴り、身を捻りながら、鞭のような触手を回避する。

 そして着地と同時に太腿(ふともも)のホルダーからナイフを引き抜き、呪文の詠唱と共に投擲する。


「炎を(まと)え!」


 飛んでいく途中で炎に包まれたナイフは、花弁の一枚に突き刺さる。

 しかし花が身震いをすると簡単に外れてしまった。花弁は炎上もしていない。効いてはいそうだが、想定ほどじゃない。


 あたしが作った隙を利用して接敵した少年が、炎を纏った剣を振るう。その斬撃は再び(くき)を一刀両断するが、やはり再生されてしまう。

 先ほどまでよりは再生速度が遅い。とはいえ、決定打にはなりそうにない。


 さてはこいつ、自然系のくせに炎が弱点じゃないな?


(いかずち)(まと)え!」


 ありったけの魔力をこめて再び呪文を唱え、今度は少年の剣に電気を(まと)わせる。

 そしてもう一度目を凝らす。近づいたから、さっきよりも魔力の流れがよく分かる。敵の無尽蔵な再生力を支えているのは、周囲から流れ込んでくる万有魔力だ。

 それが(たくわ)えられているのは、花弁でもなければ、(くき)でもなかった。


「レオくん、地面! 地面を攻撃して! こいつ、根っこが弱点っぽい!」


 あ、レオくんって言っちゃった。


 少年はそれには気づかなかったらしい。あたしの方を向いて力強く頷くと、触手が横から襲ってきたのを(かわ)すついでに飛び上がる。


「たぁー!」


 高らかに叫んだ少年は両手持ちした剣に全体重をかけ、花の根本に突き刺した。

 剣からあふれ出た放電がバチバチと音を立てながら周囲を照らし、花が断末魔の叫びを上げる。花には顔に当たる部位はないが、花弁の辺りから音が出ていた。


 八枚の青い花弁がもぞもぞと動いた――かと思うと、それらはぴったりと閉じて一つの球の形になった。

 根っこに蓄積されていた魔力が(くき)を登り、その球体に集まるのを感じる。


 まさか、最後に自爆するタイプか。


「危ないっ!」


 反射的にあたしは少年を押し倒し、抱きしめるように覆いかぶさった。

 直後、背後で起こる破裂音。


 鼓膜に激痛が走る。

 しかし痛いのはそこだけだった。


 背中にパラパラと、小さくて軽い何かが大量に降り注ぐ。

 いつの間にか閉じていた(まぶた)を開け、首を(めぐ)らして、見上げる。


 頭上から雪のように降り注いでいたのは白い種。

 あたしたちが隠し部屋の宝箱から見つけたアレだった。


「はえー……」


 ものすごい量だ。

 ははぁ。つまりコイツは生命の危機を悟った時、全魔力を使って種子を生成し、辺りに巻き散らして生存を(はか)る、そういうモンスターだったのだろう。


 その妙に神秘的な光景に、あたしはしばらく見惚れてしまった。胸の下でレオ少年がもごもご言いながら両手をあたふた動かしているのに気づくのに時間がかかったのは、そのためである。

 胸で顔を押しつぶす形になってしまっていたので、呼吸もろくにできなかったらしい。少年の顔は真っ赤だった。


「ご、ごめんなさい、レオ様」


 慌てて離れる。


 少年は上半身を起こすと、しばし火照(ほて)った顔で虚空を見つめて、深呼吸を繰り返した。

 強敵を倒した興奮のためか、あるいはその強敵の最後の行動への驚きからか、その両目はキラキラと輝いている。


 やがて最低限の平静を取り戻した少年は、あたしの方を向いた。


「薄々感じてたんですけど……フィアさんって[盗賊(シーフ)]経験者だったんですね」


「あー……まー、気づくか。さすがに」


 さっき投げたナイフが近くに落ちていたので拾い上げ、くるくると手の上で回転させてから太腿(ふともも)のホルダーにしまう。

 少年はそれをじっと見ていた。すでに興奮状態にあるからか、今は生足くらいでは動揺しないらしい。


「別に隠してたわけじゃないですけどね。この島で盗みとかしたわけじゃないし」


「つまり、その……地元……大陸で?」


「そう、魔術師として育てられた時に、ついでに盗賊の技術も仕込まれて、それで盗みをやらされてたんです。ちなみにこれ、エドワード様は知ってますよ」


 少年はぽかんと口を開けたが、どこか合点がいった風でもあった。

 それから思い出したように、懐から手紙のようなものを取り出し、地面に広げた。


「モンスターを討伐できたら読むようにって、父上から渡されてたんですけど。……そういうことか」


「なんて書いてあるんです? あたし、文字が読めないんで読んでくれると助かります」


「え! あー……」


 これにもやはり少年は驚いたが、同時に何か思い当たる節があったようだ。視線を逸らして考え込んだ後、手紙を読み上げてくれた。


「『散らばった種子を回収し、封印用魔法陣の中に一粒だけ埋めて帰還せよ』だそうです。ここであの種を育てると、またさっきのモンスターが誕生するそうですが、魔法陣もまた有効になるから心配するなって」


「これ自体はごく普通の種なんですかね?」


 種子の一つを摘まみ上げ、観察する。魔力は感じないが、生成された経緯とエドワード老が回収を命じたことを考えると、ただの種とは思えない。


「ここ以外で育てた場合、普通の花になるそうです。ただ、栄養が豊富で保存も効く、いい食料になるとか」


「やっぱり食用なんですね。なーるほどなぁ」


 この空洞(ホール)にかけられている周囲から魔力を流しこむ魔術が、普通の花をモンスターへと変化させるのだろう。恐らく、三百年前のここの主『ノッポのマクダル』が、それを目的としてこのダンジョンを作ったのだ。

 つまり、ここは大がかりな園芸場だったというわけだ。


 先に立ち上がったレオ少年が、あたしに手を差し伸べる。

 少年は一仕事終えた後の晴れやかな顔をしている。


「帰りましょう、フィアさん。急げば日が暮れる前には館に戻れるでしょう」


「ですね」


 少年の手を握る。

 見上げる形だからかもしれないが、少年の姿は昨日の出発の時より一回りたくましくなったような気がした。


 かくして、あたしたちの小さな冒険は、一泊二日で幕を閉じた。

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