27 みんなで作ったお料理、いざ、実食!
みおちゃんはくるくると鍋をかき回します。ルーも溶けてきて、段々とカレーの香りになってきました。
「もう終わりなの?」みおちゃんが残念そうにしています。しかし、みつる君は「まだまだだよ。味見なくちゃいけないからね」と笑います。
「みおちゃんは甘いのと辛いのだとどっちが好き?」
「んー。どっちも好きじゃないけど、甘い方がいい」
「オッケー! なら蜂蜜とリンゴを少し入れとこっと」
みおちゃんがかき混ぜる隙をぬって、蜂蜜少々と擦ったりんごを入れて味を見ます。
「うーん。旨味がないかな?」
「でしたらチョコレートケーキなどはいかがですか!」咲音ちゃんが今こそ出番とばかりにケーキを突っ込もうとします。
「待って、待って。なんでケーキ!?」
「よく言うではありませんか。隠し味にはチョコレートって。ですのでここはグレードアップしてチョコレートケーキを入れましょう!」
「チョコレートケーキはチョコの上位互換じゃないよ!?」
「では、こちらのチーズケーキを」
「チョコですらなくなってる!? 一旦ケーキから離れよう! そ、そうだ! 咲音っちはハンバーグみててくれる?! 焼けたらうらっ返しにしてくれないかな」
「はい! 分かりました!」
元気よく返事をして、ハンバーグのフライパンの方にいってくれました。さっそくまだまっかっかのハンバーグを「もう焼けましたね!」といって裏返していましたが、まあ、あとで焼き加減をみれば良いだけです。ひとまず任せておきましょう。
ほっとみつるくんが肩をおろしていると、みおちゃんがくすりを笑います。
「あのお姉ちゃん、すっごくぶきっちょちゃんだね!」
「あ、あはは……」みつる君、笑うしかできませんでした。
劉生君たちにも味を確かめてもらい、多少手を入れて、トッピングのスクランブルエッグをちゃちゃっと作ります。
「……よし!」
みつる君は額の汗をぬぐい、満足げに頷きます。
「できあがりっ! 特製甘口カレーだよ!」
「わーい!」
白いお皿に真っ白なほかほかご飯を盛って、カレーをたっぷりよそいます。お好みでトッピングをのせて、みんなで席に座ります。
「美味しそう!」劉生君がスプーンを手にしてさっそく食べ始めようとします。
「リューリューったら、ちょっと待ちなさいって。まだいただきますの挨拶してないでしょ?」
「あ、そうだった! それじゃあ……。みおちゃんっ」
「? なに?」
小首をかしげるみおちゃんに、劉生君はにっこり微笑みます。
「いただきますの挨拶、お願いできる?」
「みおが?」
「うん! だって、一番頑張ってお料理してたもん! ねー、リンちゃん!」
リンちゃんもうんうんと頷きます。
「そうねえ。ニンジンの皮もむいてくれたし、じゃがいもも切ってくれたし。一生懸命さだと一等賞よ」
みつる君も咲音ちゃんも、橙花ちゃんだって同意してくれます。みんながほめてくれて、みおちゃんは鼻高々です。
「えへへ。みおは立派なんだもん!」
ご機嫌な様子で、みおちゃんは手を合わせます。
「それじゃあ、えっと、いただきます」
「いただきます!」
我先にと、劉生君はカレーをほおばり、満面の笑みになります。
「んー、おいしい!」
スパイスがきいていて、なおかつほどよい甘味もあります。劉生君が苦手なお野菜だって、ほろりと柔らかくて美味しいです。
甘いカレーはちょっと苦手な吉人君だって、おいしそうに食べ進めます。
「これはちょうどいい美味しさですね」
「ほんとほんと!」リンちゃんもモグモグ食べます。「うちのチビたちに食べさせてあげたいわ。スクランブルエッグもふわふわでおいしいわね。さすがミッツン! お嫁に来てほしいわ」
「お、お嫁?」
お嫁はちょっとなあとみつる君は嫌がります。その横で、劉生君はハンバーグを一切れぱくりと食べ、固まりました。