5 友之助君たちの近況報告まるに!
「……私ね、転校、たくさんあったって話したよね」
転校して、転校して、はたまて転校して。
そのせいで、友達と疎遠になり、寂しい思いをしていました。
「……でね、私、昔の友達に連絡してみたの」
携帯を持っているご時世の子達ですので、連絡をとるのは容易でした。
「……そっけなく返事する子もいた。……けど、たくさんお話できた子もいたの」
聖奈ちゃんは嬉しそうに両手をぎゅっと握ります。
「……まだ、友達だって思ってくれる子もいる。……そう気づけた、きっかけを教えてくれたのは、みんなのおかげ」
ぺこり、と聖奈ちゃんは頭を下げます。
「……みんな、ありがとうね」
咲音ちゃんはふるふると首を横に振ります。
「そんなそんな! わたくしたちは何もしていませんよ。聖菜さんの頑張りのおかげです!」
「……」
聖菜ちゃんはにっこりと微笑みます。ありがとう、という意味の笑顔です。
「お? 近況報告合戦だな!」
幸路君は腕まくりします。
「俺はな、強い男になるために、空手を始めたぞ! どうだ! すごいだろ!」
「みおちゃんは最近どう?」
「無視!?」
リンちゃんの問いかけに、みおちゃんは元気よく答えます。
「みおはね、お父さんとお母さんと一緒にたくさん遊べるようになったよ!」
みおちゃんが眠り病にかかってから、彼女の両親は些細な喧嘩をやめました。お互いのストレスを軽減するため、給料は低いですが、時間の余裕がある仕事に転職、住居すら変えました。
今までの様にわがまま放題はできなくなったみおちゃんでしたが、前よりも幸せそうです。
スルーされた幸路君は、恨み言一つもはかず、嬉しそうにみおちゃんの頭を撫でまわします。
「よかったよかった! 俺が出ることもなかったな!」
「そうそう! つまりね、幸路はね、役立たずなの!」
「なんだって!」
二人はぎゃーぎゃーと口喧嘩をします。お互い、まるで猫がじゃれあっているかのような、和やかさがあります。
楽しむみんなを眺め、橙花ちゃんは微笑みます。
「……みんな、元気そうだね。よかった」
友之助君も、頷きました。
「そうだな」
二人は目を細め、みんなのことを見つめ続けました。