表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
みんなと合流! お久しぶりです
282/297

4 友之助君たちの近況報告まるいち!

 

 動揺から少し落ち着いた橙花ちゃんは、友之助君に尋ねます。


「それで、友之助君はどうしてここに?」


 たまたま通りがかった、なんてことはないことでしょう。友之助君もそうですが、ムラにいる子たちは、ここの地方の出身ではありません。もっと遠くに住んでいます。


 そのことを知っていましたので、橙花ちゃんは不思議に思ったのです。


「ああ、それはだな」


 友之助君が応える前に、ふくれっ面したリンちゃんがちょっぴり怒ってきました。


「もう、友之助君ったら。友之助君たちと会うのは、橙花ちゃんへのサプライズだったのに」

「へ? そんなこと聞いてないぞ」

「あたし、ちゃんとリッヒーに話したわよ」

「……本当に聞いてないんだが」

「……リッヒーめ。めんどくさがって、話さなかったわね!」


 どうやら、リンちゃんたちは橙花ちゃんを驚かせようと、友之助君たちを呼んでおいたようです。


 結局、サプライズは失敗してしまいましたが。


「本当にもう、リッヒーは……」


 ぶつくさと言うリンちゃんに苦笑しつつ、橙花ちゃんは質問します。


「なら、他の子もいるってこと?」

「そうそう!」


 呼んだのは、みおちゃんに聖菜ちゃん、それから幸路君です。


「じゃ、みんなのところに案内するわよ」


 若干テンション低めに、リンちゃんは言いました。


 アパートの中央には、滝が豪快に流れ落ちていました。ちょっとしたイベントスペースになっていまして、連休にはそれなりに有名な歌手がミニライブをしています。


 今日は平日ですので、特にイベントもしていません。ベンチに座って子供たちがお喋りしたり、高齢の方が休憩しています。


 そこに、みおちゃんたちがいました。


「蒼おねえちゃん!!」


 みおちゃんは弾けるように笑うと、橙花ちゃんに飛びつきました。


「蒼おねえちゃん、蒼おねえちゃん、あいたかったよ!!」

「みおちゃん、ふふ、私も会いたかったよ」


 橙花ちゃんは優しくみおちゃんの頭を撫でます。みおちゃんも幸せそうに頬をすりつけます。


「俺も俺も!」


 幸路君もスキップしながら抱き着こうとしました。


「いやいや、駄目だろ!」


 友之助君が止めました。懸命に止めました。


「えー、なんでだよ?」

「説明いるか!? 男だろお前!」

「男である前に、俺は蒼の好敵手だからな!」

「初耳だぞ! そうだったのか!?」


 聖菜ちゃんはほのぼのと微笑みます。


「……好敵手、と書いて、……友と呼ぶ。……つまり、幸路君は、蒼ちゃんの、友達」

「そういうこと!」


 元気よく幸路君は頷きました。


「やれやれ、みんな相変わらずだね」


 まるで自分は大人ですよという空気をまとって、理人君が偉そうに言いました。そんな彼の横腹に、リンちゃんは頭突きをしました。


「こらリッヒー! ちゃんと友之助君にサプライズだって伝えておきなさいよ!」

「え? 何のお話?」

「しらばっくれてんじゃないわよ!」


 リンちゃんはプンプン怒っています。


 久しぶりの再会ですが、そうは思えないくらい、みんな自然に、元気よくおしゃべりを始めます。


 みつる君は、まじまじと李火君を眺めます。


「なんか……。すごく大人だね」


 ミラクルランドの李火君は、背丈も小さく、幼い顔でしたが、今の李火君は背もすらりと長身で、整った顔をしています。


 蒼井陽さんが爽やかイケメン主人公だとするなら、李火君は知的参謀キャラです。


 李火君はみつる君の誉め言葉に、「まあね」と当然のように肯定しました。


「これでも、芸能界デビューしているからね」

「芸能デビュー……?え、ええ!?そうなの!?」


 みつる君だけではありません。友之助君も驚いています。


「お前、芸能人なのか!」


 リンちゃん、吉人君も驚いています。


「あんたみたいな面倒さがりが!?やっていけるの!?」

「芸能界は魑魅魍魎ですよ!?絶対やっていけませんよ!」


 リンちゃんと吉人君、思わず失礼な物言いをします。吉人君に至っては、李火君だけでなく、芸能界への誹謗中傷が込められています。


「ひどいね君たち」李火君は眉を潜めます。


「むしろ、ああいう世界は俺好みだね。自分のペースで出来るし、何よりも自由。学校で好きでもない勉強をして、ネクタイ締めて会社に行くよりは楽しいかな」

「そううまく行くものなの?」

「行かなくなったら、他の仕事をするまでだよ」


 風船のように、ふわふわとしています。


 端からみると不安でしかありませんが、そう話す李火君はずいぶん楽しそうです。


 ミラクルランドで、現実世界は退屈だ、つまらないとぼやいていた彼を思うと、彼は彼なりに自分の人生を謳歌できるようになったな、と橙花ちゃんは思いました。


「……近況報告なら、私もする」


 控え目に手をあげたのは、聖奈ちゃんです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ