4 やんちゃな男子高校生とのバトル開始!
協議のすえ、三対三で戦うこととなりました。
「よっしゃ! やったるわ!」
リンちゃんは拳法家の格好で、軽くジャンプします。
「あたしたちで勝ちましょう!!」
リンちゃんが振り返った先にいたのは、
「ううっ……。どうして僕……?」
嘆く劉生君と、
「うん、頑張るよ」
白いローブを見にまとう、橙花ちゃんでした。
本当なら、劉生君のかわりに吉人君が出たがっていましたが、リンちゃんからの指名で、劉生君になってしまいました。
リンちゃんいわく、「ここであいつらを倒して、リューリューが強いってことを証明してやって!」とのことです。
劉生君の本心では、正直いって、嫌でした。
剣を握る手も、震えています。
対する相手は、嫌みな笑みを浮かべています。
向こうは黒魔法士、戦士、戦士の攻撃主体パーティーです。
「それじゃあ、そっちから始めていいぞ」
含み笑いをしています。
橙花ちゃんは眉間にシワをよせます。
彼女は、こう考えたのです。
――何か、策があるのか、と。
様子を見ようとリンちゃんに言おうとしましたが、今回もうまくはいきませんでした。
「いくわよ!!!」
「あっ、リンちゃん、待って、」
「ていやていやていや!!!!」
正面から正々堂々と、リンちゃんは彼らに突っ込んでいきました。
「へん、猪が。いくぞ、お前ら!」
黒魔導師の二人は、魔法を唱えました。
片方は水の魔法、もう片方は雷の魔法です。
水と雷は混じりあい、リンちゃんに襲いかかりました。
「ぐぬっ!!」
ミラクルランドだったら、電気をまとって避けていたことでしょう。
ついついリンちゃんもそうしようとしましたが、残念ながらここはミラクルランドではありません。
避けられず、魔法に当たってしまいました。
すると、どうしたことでしょう。
「な、なにこれ……!」
体が動かなくなったのです。
戦士の男子高校生は、ほくそ笑みます。
「これで、止めだ!」
戦士は剣を振ります。
「リンちゃん!」
劉生君が飛び出ようとしますが、できません。ターン制ですので、向こうの攻撃が優先されてしまったのです。
そのまま、リンちゃんは剣に刺され、
ゲームの世界から、消えてしまいました。
「へっへっへ、どうだ、恐れ入ったか」
男子高校生はにやにや笑います。
なぜこれほどまでに男子高校生たちが強いのでしょうか。
経験者だったから?
いえ、違います。
彼らは、これがはじめてのプレイです。
では、なぜでしょうか。
実はこれ、男子高校生たちは裏技を使っていました。
このゲームは、魔法をかけあわせることができます。
そのなかで、とびきり最強なのが、雷技と水技の併せ技です。
雷技の、対象を一時的に麻痺させる効果、そして水技の謎の攻撃力が合わさり、最強の合体技になったのです。
ちなみに、この最強技はこちらもネットで仕入れてきました。
これも大人の悪知恵です。
「はっはっは、これで三対二だな」
「……このっ!」
次は、劉生君のターンです。
「〈ファイアーバーニング〉!」
なんて声を張り上げていますが、何度も言う通り、ここはミラクルランドではありせんので、〈ファイアーバーニング〉は出ません。
その代わりに、必殺技、炎の剣を繰り出しました、が、
「あ、あれ!?」
外れてしまいました。
「あっは!お前、ゲームやったことないだろ!」
男子高校生は笑い転げます。
「必殺技を急に出しても、外れるだけだろ!」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
ミラクルランドでは、必殺技を使うために何らかのパワーをためる必要はありませんでした。
ですので、ゲームの仕様に気づかず、ぶっぱなしてしまったのです。
「さあ、次はどうする?」
男子高校生たちはニンマリしています。
彼等には、何か腹案があるようです。
これまたネットで仕入れた裏技、チート技を出そうとしているのです。
「次はお前の番だぞ」
男子高校生たちは、橙花ちゃんを見ていました。
「……」
橙花ちゃんは、
じっと、考え込みました。