表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
9章-1 自分勝手な少年の、たった一つの願い事~フィッシュアイランド編~
211/297

8 VS友之助君アンドみおちゃん!

 

「幸路君?ゆ、幸路君ー!!!」


 劉生君は怒りの目を李火君に向けます。


「許せない、幸路君を、こんな目に遭わせるなんて!」

「いや、半分は君のせいだよ。せめてもう少し幸路君をロボットたちから離してあげてから、爆発すればよかったんじゃない?」


 劉生君の理不尽な怒りに呆れながら、李火君はたらりと冷や汗を流していました。


 実は、李火君の笛に従ってくれる魚は、そう多くはないのです。


 恐竜たち相手なら、子供の手で作られたため、李火君の指示も聞いてくれましたし、優しく接してくれました。


 けれど、魚たちは違います。


 そもそも、フィッシュアイランドにいる魚たちは、ただの魚ではありません。魔王ギョエイの下で働いていた、歴とした魔物です。


 赤黒いオーラや五角形の印はありませんが、その心は未だ魔王を心酔しています。


 ですので、李火君に操られるのをこころよしとしない魚の方が多いのです。


 そういう事情もあり、本当に弱い小魚たちしか従えることはできないのです。


 その魚たちも、爆発に巻き込まれ、倒されてしまいました。


 魚ロボも駄目になってしまいました。


 つまり、李火君は劉生君と一対一で戦わねばならなくなったのです。


 李火君は最年長で、誰よりも長くミラクルランドにいますが、魔法の力はてんで弱いです。


 そんな李火君が、魔王や魔神を倒してきた劉生君に勝てるわけがありません。


 それくらい、李火君だってわかっています。


 さて、どうしようか、逃げてしまおうかと李火君は思案します。


 そんなときです。


 李火君にとっては救いが、劉生君にとってはあまりよろしくないことが起こります。


「ん……?」


 低いエンジン音が響いています。一体なんだろうかと劉生君が辺りを見渡すと、


「わあっ!?」


 ゴーカートがドラフトしながら劉生君に突っ込んできたのです。


「うぎゃあ!?」


 ひかれる寸前で車は止まってくれました。


「ひええ……」


 劉生君は腰が砕けてしまいます。


「な、な、なに!?……ま、まさか!」


 そのまさかです。


「じゃーん!!みおだよ!」

「やっぱりみおちゃんだ!」


 ジェットコースターから、ゴーカートに乗り換えたようです。


 そして、もう一人。


「ここにいたのか、劉生」


 友之助君です。助手席から出てくると、劉生君のそばで倒れる幸路君を見て、眉を潜めます。


「……幸路が裏切ったと聞いたが、本当だったんだな」


 李火君は複雑そうに頷きます。


「うん、まあ、フレンドリーファイアーされて気絶したけど。しかし、二人が来てくれてよかった。俺一人だと絶対に勝てないからね」


 二人が来たことで、数の上で一対三になってしまいました。


 しかも、劉生君は幾度も戦って体力が削られている一方で、友之助君とみおちゃんはまだまだ元気です。


 李火君はそれなりに戦ってはいますが、そもそも彼は頭脳で戦うタイプですし、先程の戦いも自分の拳を使って戦ったわけではありませんので、足手まといになることはないでしょう。


 そんな状況です。普通だったら、少しは緊張感をもつべきですが、劉生君は呑気にぶんぶん手を振ります。


「友之助君!みおちゃん!さっきぶりー!もう戦うのやめる気になった?」


 友之助君は大きくため息をつきます。


「そんな急に変わんないわ。逆に聞くが、お前は俺らをそっとしておいて、自分は帰る気になったか?」


 もちろん、劉生君は即答します。


「ならないよ!」

「そうか、なら、やるしかないってことだ。みお!」


 友之助君の呼び掛けに応え、みおちゃんはポケットから作った金魚の折り紙を取り出します。


「金魚さん、やっちゃって!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ