4 本気の勝負に、ロボロボな横やり?
「んじゃ、俺からいくぞっ」
幸路君はぶんぶんと槍を回すと、劉生君に飛びかかります。
さすがアンプヒビアンズで鍛えただけあります。攻撃の切れがそこんじょそこらの子供たちとは大違いです。
劉生君でさえ、幸路君の攻撃を流すことしかできません。
「うぐぐっ……!幸路君強すぎ!もう少し手加減して!」
「お前には言われたくない……!」
幸路君は叫ぶようにいうと、槍を下から上へ切りつけました。
劉生君の体も宙に舞います。
「うぎゃあ!」
「これで、とどめだ!」
ふわりと浮く劉生君に、槍を突き刺そうとします。
「うー、やられないぞ!ていやっ!<ファイアースプラッシュ>!」
火の粉を顔面に散らします。幸路君は顔をかばい、動きを止めます。
「おりゃあ!」
幸路君の手を狙い、新聞紙で叩きます。
「っ!」
幸路君は槍を落としてしまいます。
「今だ!えいっ!<ファイアー>」
幸路君に攻撃を与えようとした、そのときです。
劉生君に何かが体当たりしてきました。結構な重量です。
「うぎゃあ!な、なに!?」
飛んできたのは、デフォルメ化したお魚の乗り物でした。
よく百円コインをいれたら、ちんたらちんたら進む、あの乗り物です。
普段はのんびり牛歩の歩みをする乗り物たちですが、なんということでしょう!俊敏にかつ凶暴なメカへと変化しました!
「な、なにこれ……!めっちゃこわい!」
驚いていたのは劉生君だけではありません。幸路君もです。ロボットをギロリと睨み付けます。
「なんだお前ら!手を出すなよ!これは男と男の戦いなんだ!」
そんなこと言われても、ロボットたちは「真剣勝負に割って入るのは〝漢〟ではない……!」と逡巡しません。
容赦なくロボットは劉生君に突撃します。
「よーし、倒しちゃうぞ!えい、<ファイアーバーニング>!」
渾身の力を込めて叩ききると、意外や意外、簡単にまっ二つになりました。よし、と内心ガッツポーズした劉生君でしたが、マシーンは突如赤く輝くと、爆発しました。
「わあ!」
反射的に腕で顔をかばい、後ろに飛び退きます。あまり爆発力はなかっのでそれほどのダメージにはなりませんでしたが、ビックリして引っくり返ります。
「な、なにこれ……!爆発した!」
驚く劉生君に、幸路君ではない、誰かが声をかけました。
「危ないから、攻撃しない方がいいよ。機械たちは炎で攻撃したら爆発するからね」
幸路君はびくりと肩を跳ねて後ろを振り向き、唸るように彼の名を呟きます。
「……李火……!」