3 VS幸路君! 今度は本気の勝負です!
「二度目えええええ!」
二度あることは三度あると言います。またもう一回あるのかな、と思いながら、劉生君は落ちていきます。
今度も今度で、着地で痛い思いはしませんでした。ちょうど落ちた場所に、大きなバルーンの遊具があったのです。
ぼよんぼよんとバウンドして、地面にぺたりと叩きつけられました。
「あぶっ! うー、ここどこだろう……」
息を吐くと泡が出てきますので、まだフィッシュアイランドのようです。見覚えがないエリアですので、劉生君たちがフィッシュアイランドに来た後に新設した場所なのでしょう。魔王が作るわけもありませんので、子供たちが色々考えて作ったに違いありません。
その証拠に、このエリアは子供らしいアトラクションがたくさんあります。
よく遊園地のキッズエリアに、百円コインを入れたら動く謎の乗り物がありますよね? ああいう乗り物もいくつかあります。
現実世界のああいう乗り物はパンダモチーフが主ですが、フィッシュアイランドの乗り物たちは金魚やメダカなどの魚がモチーフになっています。
その他、同じところをぐるぐる回るだけのよく分からないアトラクション(潜水艦モチーフ)や、上下に軽く動くだけのアトラクション(トビウオモチーフ)があります。
「わあ、ちょっと乗ってみたいなあ。けど、そんな暇はないもんねえ……」
当然です。ここは敵地。遊んでる暇はありせんし、そもそもそんなことを思うこと自体が、あまり誉められたものではありません。
ひそかに劉生君の様子を伺っていた彼、幸路君も思わず劉生君に突っ込みをいれます。
「お前、急に飛んできたと思ったら、遊びたがるって、どうかしてるぞ。緊張感もて緊張感」
「ん? あっ、幸路君!やっほー!」
「ええい、緊張感!!しかし、どこから飛んできたんだ、お前…」
「えっとね、あっち!みおちゃんのジェットコースターに飛ばされたの」
「あー、なるほどなあ。……しかし、お前もよりによって俺の前に来るなよ。……余計、悩むじゃねえかよ」
後半の言葉は、劉生君の耳にうまく届きませんでした。「なんて言ったの?」と聞いてみますが、幸路君は繰り返さず、代わりに小さくため息をつきます。
「……やるしかねえか」
「えー、幸路君とも戦わないといけないの?嫌だよー、戦わないで帰ろーよー」
「……それはできない。こんな形でお前と戦いたくなかったが、仕方ない。剣を持て。戦おうじゃないか」
「むう……」
不満げに唇を尖らせつつ、劉生君は新聞紙の剣をぎゅっと握ります。