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ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
9章-1 自分勝手な少年の、たった一つの願い事~フィッシュアイランド編~
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1 吹っ飛び劉生君、全力で!!

 

 かっこよく決めたところで、劉生君はある重大な事実に気づいてしまいました。


「あれ!?僕の『ドラゴンソード』が変形してない!?」


 いつもはカッコよくて強そうな剣に変身するのですが、劉生君が握っている『ドラゴンソード』は新聞紙のままです。


「うーん。どうしてだと思う?」


 劉生君は気軽に橙花ちゃんに尋ねます。宣戦布告した相手にとる態度ではありません。


 橙花ちゃんはそこらへんをよく心得ていました。


「降参して帰ってくれるなら、ボクは嬉しいけど」

「えー。やっ!」

「だったら、君とは戦わなくてはならないね」


 橙花ちゃんは杖をふります。


「……ん?」


 足場がグラグラと揺れました。何が起きたのかなあ、と足元を見てみると、


 なんと、雲が次々と消えていたのです。


「うわあ!お、落ちちゃう!落ちちゃうよ!!」

 ホップ、ステップ、ジャンプでどうにか普通の地面に着地しました。


「ふう、これがいわゆる、九死に一生!だね!……って、わわっ!?」


 雲の中から、モコモコと青色の巨人が出てきました。いつぞや戦った魔神の色違いです。


 巨人は劉生君を捕まえようと、大きな大きな手を急速に下ろしてきました。


「ぎゃあ!潰される!」


 逃げる場所をキョロキョロと探してみますが、全て消されて逃げ場はありませんでした。それもこれも、橙花ちゃんの策略です。劉生君が避けることができないようにして、巨人に攻撃させ、劉生君を戦闘不能にさせようとしたのです。


 さすが橙花ちゃんです。


「ぐぬぬ、『ドラゴンソード』、いける!?」


 新聞紙の剣はピカリと赤く光ります。


「よーし!燃えよ、『ドラゴンソード』!!」


 合図を境に、新聞紙の剣は勢いよく燃え上がりました。


「よし、いくぞー!<ファイアーウォール>!」


 火の壁を巨人は思いっきり殴ります。


「うぐぐぐぐぐっ!」


 火の壁が崩れかけますが、劉生君は気合いと根性で耐え抜き、


「ていやっ!」


 弾き返しました。


 巨人は揺らめくと、状態を崩しました。


「おっ!ようし、」

 

 劉生君は巨人に乗り移り、ちゃんとした地面に着地します。


「セーフセーフ!」


 まあ、当然ながらセーフではありませんが。


 劉生君がちょこまかしていてイラッときたのでしょう。巨人はくぐもったうめき声をもらすと、腕を鞭のように右から左に振りかぶりました。


「ふぇ?わっ、わーっ!」


 バットに当たったボールのように、劉生君はポーンっと飛んでいきました。


「っ!何をしている!」


 橙花ちゃんが杖を振ると、巨人は青い霧となって消えていきました。


「劉生君を捕まえるだけでよかったのに、あんな危ないことを……」


 橙花ちゃんは心配そうに劉生君が飛んでった方向を見ます。


「……あっちの方向は、フィッシュアイランドか。友之助君たちに連絡をしておくか」


 橙花ちゃんは小さくため息をつくと、ムラへと歩いていきました。

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