1 すべて解決、だったはず……?
劉生君ははたと目を覚まします。
ここが自宅のベッドで、さっきの地獄のような光景は悪夢だと気がつくと、劉生君はベッドの上で体育座りをして、呻き声を上げます。
「まただよ……」
先日、ミラクルランドから帰った翌日、劉生君は39度の高熱を出してしまったのです。
もちろん学校はお休み。ミラクルランドにも行けませんでした。
食欲もなく、寝ても悪夢にうなされ続け、心身ともに疲労しました。
あまりにもフラフラでしたので、お母さんが心配してお仕事を休み、病院に連れていってくれました。
それでも、目をつぶるとあの夢を見せられてしまいます。
「……なんなんだろう。やっぱり、魔神のせいなのかな」
魔神を倒したときに初めてあの悪夢をみましたので、なにか因果関係がありそうです。
「んー、橙花ちゃんに聞いてみよ」
学校行って、ミラクルランドに行って、橙花ちゃんに夢の話をしたら、やっとみんなで遊べます。
劉生君はウキウキで階段をかけおります。
「お母さんー!おはよー!」
「あら劉生。元気になったの?」
「うん!学校いく!朝御飯食べる!」
「朝からすごい元気ね。もう少し静かにしてほしいわ」
そう言いながらも、劉生君のお母さんはとても嬉しそうに朝御飯の支度を始めます。
劉生君は食卓に座り、テレビを眺めながら朝御飯を待ちます。
テレビは今日も深刻そうに日本国内の事件を紹介しています。両親はこういうニュース番組が好きで毎朝みていますが、劉生君はあまり好きではありません。
お母さんにお願いして、『勇気ヒーロードラゴンファイブ』の録画を見せてもらえるようお願いしようかな、と考えていると、テレビの中のアナウンサーが焦りと緊張が入り交じった声で、「速報です」と言いました。
何かあったのかと、劉生君はテレビに集中しました。
アナウンサーは、こう告げました。
「いわゆる眠り病に罹患したと思われる子供複数人の症状が悪化、一人が心肺停止の重体になりました」
劉生君は、思わず声を上げます。
「え?な、なんで?」
眠り病の患者は、ミラクルランドで魔王に囚われていた子たちだったはずです。
「どうして……」
その問いが、
すべての始まりでした。