表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
7章 最終決戦、VS魔神!!―みんなのために、みんなのために!―
188/297

6 やっぱり強いね! 魔神さん!


 まずは劉生君の攻撃です。


「ていや! <ファイアーバーニング>」


 しかし、劉生君の攻撃はあっさり受け止められてしまいます。それも、片手で抑えこまれています。


『この程度で俺を倒そうと? ふん、生意気な小僧だ!』


 嘲笑し、魔神は腕を振るいます。力は込めているようには見えませんが、劉生君の身体は軽々と飛ばされてしまいます。


 もちろん、魔神はそれだけで許すほど優しくはありません。地面に落下する前に、魔神は劉生君のすぐ背後にまわります。


 そのまま勢いつけて、魔神は劉生君を踵落としにします。


「があっ……!」


 地面に叩きつけられる劉生君。あまりの衝撃に、血反吐をはきます。


 橙花ちゃんは悲鳴まじりに叫びます。


「劉生君っ! 時よ、<モドレ>!」


 どうにか劉生君を助けようと、ほとんど尽きた力を振り絞って魔神に技をかけます。しかし、彼女の技は見えない壁に阻まれてしまいました。


 魔神は橙花ちゃんを一瞥します。


「お前をやるのは後だ。暫く大人しくしとけ」


 意外や意外、劉生君も魔神と同じ意見のようです。ふらふらしながらも劉生君は立ち上がり、小さく首を横に振ります。


「とう、かちゃん。これは、僕と魔神の、戦いだから……。橙花ちゃんは、休んでて。僕、頑張るから……!」


 魔神は舌打ちをして、殺気をこめた目で劉生君を睨みます。


「頑張る、ねえ。そういう強気な発言は、俺に一撃でも当ててから言うんだな」


 すたすたと近づくと、魔神は容赦なく劉生君の腕を踏みつけます。


「あぐっ!」


 光で出来ているような見た目の魔神ですが、踏みつける力は強く、劉生君は悲鳴をあげます。剣を握ってられず、『ドラゴンソード』を落としてしまいます。


 魔神は『ドラゴンソード』を持つと、軽く振ります。


「最後はお前の剣で処分してやろう」


 腕は魔神によって固定され、身体はボロボロで動くのもやっとですが、それでも劉生君は諦めません。


「……ぐぬぬっ!」


 どうにか剣を取り戻そうと、魔神に反撃しようと、懸命に『ドラゴンソード』に手を差し伸ばします。


「相変わらず、無駄なあがきをしてからに」


 魔神は苦々しそうに舌打ちをします。


「これで止めだ」


 『ドラゴンソード』を振りかざす魔神。


 しかし、劉生君に剣が触れる前に、『ドラゴンソード』は氷が解けるように魔神の手から消えてしまったのです。


「なっ!」「わっ!」


 消えた『ドラゴンソード』は、劉生君の手元にもっていました。


 今こそ、反撃のときです。


「くらえ、魔神! <ファイアーバーニング>!!!」


 劉生君の一撃がさく裂します。魔神の力を吸収した劉生君の攻撃です。魔神の身体をまとう赤いオーラごと切りさき、魔神本体にダメージを与えます。


「ぐっ……」


 魔神は傷口をおさえ、よろめきます。


 はじめてまともに食らわせることができました。劉生君は嬉しくてガッツポーズをします。


「やった! これなら倒せる!」


 もう一度『ドラゴンソード』で攻撃してやろうと構える劉生君ですが、


「ふざけるな」


 魔神は怒りのこもった声で呻き、叫びます。


「ふざけるなっ!!」


 赤いムチが四方八方から劉生君の身体を思いきりはたき、地面に叩きつけます。悲鳴をあげる間もなく、魔神はその拳を振り上げて次々と劉生君を殴りつけます。


「ガキが、ガキが、ガキが!」


 今の魔神には、余裕も、冷静さもありません。


 劉生君の身体の一部さえも残さず、木っ端微塵にしてやろうとする破壊衝動だけが、魔神の身体を支配していました。


 劉生君はもうボロボロで、声さえ発することはできません。目をつぶって痛みに耐えることしかできません。


 もうボロボロの劉生君に、魔神はさらに追撃を仕掛けます。


 大きく一歩後ろに下がり、魔神は滑るように手をかざします。すると、魔神の周りに、赤くおどろおどろしい球がいくつも浮かびました。


 魔神は、まっすぐ劉生君を指差します。


 途端、球たちは魔神が指す先に向かって飛んでいき、劉生君に命中しました。


「……っ!」


 痛い、なんて言葉だけでは表現できません。


 四肢がバラバラになるような、全身が焼けるような苦しみに、劉生君は意識を飛ばしかけ、身体を痙攣させます。


 魔神は小ばかにするように鼻で笑い、人差し指を劉生君に向けます。指の先に、赤い球が生じました。先ほどの球よりも小さく、けれども尋常ではない力の塊です。


 その技を受けてしまうとどうなってしまうか。


 確実に、死へと追いやられてしまうことでしょう。


「……劉生君……!!」


 橙花ちゃんは叫びます。


 しかし、劉生君は動くことが出来ません。


 魔神はニンマリと微笑みます。


「これで終わりだ、ガキ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ