表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
6章 闘技場、アンプヒビアンズ!―ミラクルランドは、奇跡の世界!―
173/297

20 オタクの決意! 劉生君以外はみんな興味なさそうです……

 その日の放課後、劉生君たちはミラクルランドのアンプヒビアンズに来ていました。


 橙花ちゃんと合流すると、さっそく、劉生君たちに質問を投げかけます。


「幸路君をどうやって倒すか決まった?」


 みんなすぐに答えてくれると思っていましたが、意外や意外、リンちゃんたちは黙り込み、静まり返ってしまいました。


 唯一、劉生君だけは決意に目を光らせています。


「橙花ちゃん。僕、頑張るよ!」

「うん、頑張ってね」

「この一歩は、僕にとっては小さいものかもしれない。けど、『勇気ヒーロー ドラゴンファイブ』と『仮面恐竜キョウスケ』にとっては、大きな飛躍なんだ!」

「……うん?」

 劉生君は一体何を言っているのだろう、橙花ちゃんはぽかんとします。説明を求めてリンちゃんたちに視線を送りますが、黙って首を横に振るのみです。


 咲音ちゃんだけは、のほほんと説明してくれます。


「劉生さんはですね、すごい作戦を考えてきたんですって! けれど、劉生さんいわく、成功したら劉生さんは負けてしまうんですって!」

「そうなのかい?」


 劉生君は悪びれもなく頷きます。


「うん。だけどね、僕は譲れない信念があるから!!」

「……そ、そう。まあ、劉生君が負けても、リンちゃんがいるからね」


 戸惑ってはいますが、優しい橙花ちゃんは、劉生君のトンデモ意見を受け入れてくれました。


 さすが蒼さんだなあ、と吉人君は思いました。もし吉人君が彼女の立場なら、怒るか呆れるかします。


 実際に劉生君から「作戦が成功しても負ける」と聞いた時は呆れましたし、リンちゃんは軽く怒っていました。今もリンちゃんは呆れつつ若干怒っています。


「リューリュー、何をするつもりか知らないけど、あたしたちは魔王対峙をしにミラクルランドにきてるのよ。そっち優先にしなさい」


 説教するリンちゃんでしたが、劉生君は頬をぷくっと膨らませて、ぶんぶんと首を横に振ります。


「いいや! この作戦だけは、譲れない!」

「……本当にリューリューは我儘なんだから」


 こうなった劉生君は絶対に意見を変えません。リンちゃんはため息をつき、申し訳なさそうに橙花ちゃんを見ます。


「ごめんね、蒼ちゃん……」

「ボクは全然! 魔王退治に付き合ってもらってるわけだし!」

「こりゃもう、あたしたちが頑張るしかないわねー」


 わいわい話しながら競技場内を歩いていると、どこからかアナウンスが聞こえてきました。


 劉生君の名前と、幸路君の名前が呼ばれます。


「……よし。僕、行ってくるね!」

「頑張ってね、劉生君」

「うん!!」


 劉生君は一世一代の大勝負とばかりに、重々しく立ち上がり、のっしのっしと歩いていきました。


「劉生君、大丈夫かな……」


 橙花ちゃんは不安そうにしていますが、リンちゃんたちは「大丈夫じゃない?」と雑に流しました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ