表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
6章 闘技場、アンプヒビアンズ!―ミラクルランドは、奇跡の世界!―
164/297

11 アンプヒビアンズの戦士、幸路君!

 無事、一匹の魔物を倒した劉生君! よかったよかった、と一息つきます。 けれど、ここは戦地。休む暇はありません。


 気が緩んだ劉生君に、大勢の魔物が押し寄せてきます。


「わわわっ、えーっと、それなら、<ファイアースプラッシュ>!!」


 火の粉をまき、魔物たちを遠ざけます。弱い魔物は怯えて近づいてこなくなりましたが、屈強な魔物は果敢に挑んできました。


 けれど、どの魔物もお互い協力して戦ったりはしません。一匹が単独で攻撃を仕掛けている間に、別の敵が割って入る。ついには敵同士で喧嘩をする有様です。


 それが、劉生君にとって功を奏しました。一匹一匹、慎重に<ファイアーバーニング>で葬れます。


「よし、これなら勝てるかも!」


 劉生君はるんるんです。


 余裕が出てきましたので、吉人君たちはどこにいるのかと、周囲を見渡しました。


 吉人君は見当たりませんでしたが、かわりに、みつる君と咲音ちゃんの後ろ姿を見つけました。


 劉生君は、戦闘中の魔物たちの間を掻い潜り(時には魔物を凪ぎ払い)、二人に近づきます。


「おーい!みつる君!咲音ちゃん!」


 劉生君の声が届いたのでしょう。二人はこちらを振り返ろうと体をねじり、


 そのまま、地面に倒れました。


「……え?ど、どうしたの!?」


 呼び掛けに応じてくれません。さらに近づくと、二人が気絶していることが分かりました。


 体は傷だらけで、血がにじんでいます。


 揺さぶっても、呻き声をもらすだけで、おきてはくれません。


「そんな……!」


 悲痛な叫びをあげる劉生君の前に、ある少年が立っていました。


「お前、その二人の知り合いか?」


 灰色の髪を一つに束ねていますが、男の子のようです。ひょろりと背が高く、手には、先端がフォークのように三つに分かれた槍を持っています。


 少年は愉快そうにニヤリと笑います。


「なかなか骨のあるやつらだったが、俺の敵じゃないな!ふっふっふ、なんだって、俺はサイキョーだからな!」


 自信満々に、槍を構えます。


「どうする?友達の敵討ちでもするか?俺は別に構わないが、痛い目に合いたくなかったら、ちゃっちゃと棄権するんだなってうお!」


 男の子は転がるように避けます。劉生君が『ドラゴンソード』を振り上げたのです。


「ちょっ!おまっ!話し中になんだよ!」

「……」


 劉生君は一言も発しません。しかし、その瞳は赤く、獰猛な光を帯びています。


 少年は楽しげな雰囲気をかき消し、眉間にシワを寄せます。


「……お前、魔物か?」

「……みつる君と咲音ちゃんに、こんなひどいことを……!」

「ひどいことって言われても、ここは戦場だぞ?参加するなら、多少傷ついても仕方ねえ……うわ!?」


 問答無用で切りかかってきました。


「……こんのっ!」


 三叉槍で弾き、劉生君を睨みます。


「お前、正気じゃないな」


 劉生君は、否定しませんでした。


 ……単に、劉生君の耳に届いていなかっただけかもしれませんが。


「どちらにせよ、ぶっ倒すまで!」


 がるると唸りながら、少年は槍を構えます、が。


『試合終了ー!』


 ピーっと笛の音が鳴りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ