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ほうかごヒーロー!~五時までの、異世界英雄伝~  作者: カメメ
6章 闘技場、アンプヒビアンズ!―ミラクルランドは、奇跡の世界!―
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10 アンプヒビアンズ、第一回戦! 乱闘々!

そろそろ試合時間でしたので、スタンバイするよう指示された場所へと向かいます。


 劉生君がのんびりといいます。


「みんなで一緒に戦えたらいいね!」


 協力して戦えば、お互い守りながら戦えますので、第一回戦をみんなで突破できるに違いありません。


 しかし、劉生君が願う通りにはいかないようです。


 入場口近くで、カエルの魔物に呼び止められました。


『ゲココ。そこの子供たち、もしや第211回親善試合の参加者ゲコ? 腕章の番号をみせるゲコ』


 カエルはまじまじと腕章を見ると、手元の書類を確認します。


『ふむふむ。ならば、あなたはこっち、君はこっち、そこの青角の人はあっちゲコ』

 

 なんと、三つのグループに分けられてしまいました。


「ええ! 一緒に戦えないの?」

『入場口が違うだけゲコ。場所は一緒ゲコ。そこの青角は例外ゲコ。君は第二回戦から参加ゲコ』

「ボクは戦ってもいいんだけど」

『我らが族長様の命令ゲコ。族長様の命令には絶対服従ゲコ。規則1にそう書いてあるゲコ』


 カエルはきっぱりと言い切ります。譲ってはくれなさそうです。橙花ちゃんは片眉をあげて、不満そうにします。


 またもや橙花ちゃんの気持ちが読めましたので、今度はみつる君が橙花ちゃんに先んじます。


「それなら仕方ないね。俺と咲音っちと鐘沢っちはこっちだよね? 行ってくるよ!」


 三人はささっとカエルの案内で別の入口へと進みます。橙花ちゃんは心配そうに「もし危ないと思ったら、すぐにリタイアするんだよ」と一言言って、後ろ髪を引かれながら歩いていきました。


「あたしたちは同じ入場口みたいね。いこっか」


 劉生君とリンちゃん二人はすぐ近くの入場口へと向かいます。


 入場口は薄暗く、たくさんの両生類と少数の子どもたちがひしめき合っていました。それぞれ鎧を身に着け、斧や剣など、いかにも強そうな武器を持っています。目には闘志が宿り、石の門を睨んでいます。


 空気に気おされ、劉生君がぎゅっとリンちゃんの服の袖をつかみます。


「大丈夫よ」


 リンちゃんは笑ってぽんぽんと頭を撫でてくれます。


「リューリューは強いんだから。いつも通り戦えば大丈夫よ!」

「う、うん……。リンちゃんも頑張ってね」

「当然よ」


 自信満々に笑います。


 やっぱりリンちゃんはかっこいいです。劉生君もほっと一安心して、気持ちを落ち着かせることができました。


 それでもやっぱり怖かったので、こっそりとリンちゃんの手を握ります。リンちゃんも苦笑しながらも、何も言わずに握り返してくれました。


 リンちゃんの手の暖かさに自信を取り戻し、頑張るぞと気合を入れていると、地響きのような音が聞こえてきました。


 どうやら、石で出来た門がゆっくりと持ちあがっているようです。外の光がさしこみ、暗い待機所を照らします。


 魔物たちは雄たけびを上げ、武器をがちゃがちゃと鳴らし始めました。


「ようし、いくわよ、リューリュー!」


 軽く背中を叩きます。劉生君も緊張しながらもハニカみます。


「リンちゃんも、頑張ろうね。一緒に二回戦いこうね!」

「もちろん!」

 

 門が完全に開くと、両生類や子どもたちは我先にと駆けだします。劉生君たちも動物たちの波に押されて、バトルフィールドに出ました。


 石の門が勢いよく閉まると共に、歓声がわっとふってきました。続けてアナウンサーが興奮気味に大声を張り上げます。


『さあさあ始まりました! 第……。えー、第何回か親善試合! 我らが族長様への挑戦権を手にするのは誰でしょーか!』


 劉生君は目をこらしてフィールドをみます。吉人君たちがいないかと探していましたが、残念ながら見つけられません。


 吉人君たち探しは諦めて、今度は観客席を見上げました。青い角を目印にすると、すぐに見つかりました。橙花ちゃんは手を振ってくれました。劉生君も振りかえします。


「リンちゃんリンちゃん! あそこに橙花ちゃんがいるよ!」

「どこどこ?」


 リンちゃんが観客席の方を見ようとしましたが、その前に実況の動物が楽しそうに叫びます。


『それでは、第一回戦! はじめ!』


 ドラの音と共に、両生類や子供たちが武器を振るい、戦闘をはじめました。


 リンちゃんや劉生君にも、両生類の動物たちが襲って来ました。リンちゃんはニヤリと不敵に笑います。


「よーし、いくわよ!」


 雷をまとった健脚で、次から次へと魔物たちを蹴っ飛ばします。


「ん、やっぱり、そこんじょそこらの魔物よりも強そうね。けど、あたしたちの足元にも及ばないわよ?」


 電気の球を放ち、雷をまとって体当たりし、飛び膝蹴りを繰り出します。


 一撃で倒れる雑魚はいませんが、それでもリンちゃんの攻撃に耐えられず、反撃しようにも俊足にはついていけず、無残に散っていきます。


「さすがリンちゃん! かっこい! よーし、僕だって!」


 炎の剣『ドラゴンソード』をぎゅっと握ります。


 ちょうど目の前に、サンショウウオの魔物がいました。サンショウウオは地面を軽く蹴り、劉生君に突進してきました。


「くらえ! <ファイアーバーニング>!!」


 炎の一斬でサンショウウオがよろめきます。


「もう一発! いくぞー!」


 ぴょんと飛び、サンショウウオの真上に来ます。


 剣を下に向け、劉生君は叫びます。


「<ファイアーバーニング>!!」

 

 攻撃は見事命中しました。

 

 サンショウウオは悲鳴をあげ、赤い霧となり消えました。


 まずは、一匹です。


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