7 いざ、最終決戦の地へ!
友之助君たちに別れを告げ(橙花ちゃん「李火、友之助君をいじめたらだめだよ」李火君「善処する」友之助君「……」)、劉生君たちは最後の魔王の根城、アンプヒビアンズへと向かいます。
初めて知りましたが、ドラゴンはあまり乗り心地はよくありませんでした。翼を羽ばたかせるたびに胴体が上下左右に激しく揺れますし、たまに劉生君がぐるりと一回転させますので、乗っている人たちは中々に大変でした。
咲音ちゃんなんかは、車酔いならぬドラゴン酔いになってしまったくらいです。意外や意外、橙花ちゃんも顔が青ざめています。
「あの、劉生君……」
もう少しゆっくり運転してほしいと伝えようとしますが、劉生君は今まででみたこともないの笑顔で「どうかしたの?」と言って振り返ります。
満面の笑みの劉生君を見ていると、ついつい口をつぐんでしまいます。
そんなみんあの思いやりには気づかず、劉生君は至極楽しそうにドラゴンをとばします。
「るんるーん。るんるーん!なんだか僕たち、ヒーローになったみたいだね!ドラゴンヒーローズ!だね!」
「はいはい」
リンちゃんは相づちを打ってあげます。
「ところで、赤野君」
吉人君がふとした質問を投げ掛けます。
「アンプヒビアンズはどこらへんにあるか知っていたんですね」
劉生君は迷いなくドラゴンを操っていました。
ですので、行き先をあらかじめ教えてもらったのかな?と、吉人君は思ったわけです。
しかし、劉生君はハッと息をのみ、ドラゴンを緊急停止しました。
「わあ!」「きゃあ!」「赤野っち、危ないよ!」
やんややんやと言われますが、劉生君はそれどころではないようです。
血相の引いた顔でおそるおそる振り返ります。
「……アンプヒビアンズって、どこだっけ?」
「分からないで飛ばしていたんですか!?」
これには吉人君もビックリです。
「ふえーん。橙花ちゃん!こっちで会ってるかな?」
涙ながらにすがります。
「ごめん、ボクが先に教えておけばよかったね。けど、安心して。こっち方向で合ってるから」
橙花ちゃんがそう言うや否や、先の方に、大きなスタジアムが見えてきました。スタジアムからは七色の光が煌々と放たれ、時折花火もうち上がっています。
橙花ちゃんに説明されずとも、ここがどこだか、すぐに分かりました。
最後の魔王が鎮座する、コロシアム。
アンプヒビアンズです。