第八話、宇宙冒険者
イワシカマスは高級魚である。
“カマスの焼き食い一升飯”というのは事実なのだ。
「う~ん、一匹、買取で一万円くらいかな~」
「ああ、冷凍は二万円ね」
酒場のおやじだ。
冒険者たちの迅速な対応で、避難するときにころんだ程度の被害しか出なかった。
キバとユキノが高速移動しながら、倒していったのが大きい。
「あらっ、報酬は半々ですわよ」
「キバ様と“オマメさん”がいなければもっと被害は出たでしょう」
ユキノだ。
「いいのか?」
軽く50万くらいあるのだが
「普通は、Fランクからだが、特別にEランクに昇格な」
今回のミッションの貢献度が考慮された。
宙間活動機を操れるのも大きい。
キバは、晴れて“宇宙冒険者”に登録できたのである。
“全文代、人型宇宙人用共通語‘の習得が必須条件だ。
腕時計式の、ブレスレットコマンダーが酒場のおやじから渡される。
腕に着けた。
「宇宙冒険者か」
ふんどしっっ姿の監察官の周りが、まるでストリップ会場のようになっているのを見ながら、キバは小さくつぶやいた。
「おめでとうございます、旦那様」
酒場のカウンターの上に、和服美人のオマメさんが現れた。
「えっ」
「ブレスレットコマンダーには、ホログラフ機能があるぞ」
透明な板状の表示板が空中に出る。
「ユキノ様の母船経由で、話せていただいています」
「必要なアプリを挿入(←〇インストール)するときに、何度も(インストール率100%に)イカセテいただきました」
ポッと赤くなる。
貪欲にアプリを挿入(←〇インストール)している。
“全文代、人型宇宙人用共通語”は真っ先にイレラレタぞっ。
……誰がオマメさんをこんな淫乱な体に……
「なんかブレないな」
オマメさんは、優秀なAIなんだよっ
「キバ様っ、休暇を取りましょう」
ユキノがキバの手を取った。
「そういや、キバ、コールドスリープから目覚めてから、全然休みを取ってないじゃないか」
「休暇?、休み? ってなんだ??」
キバが、本当に分からない顔をする。
「“月、月、火、水、木、金、金”というのは、伝説じゃなかったんだね、キバ君っ」
頬を上気させ、豊かな胸を揺らしながら、監察官が走ってくる。
謎の技術で、大事な所は見えそうで見えない。
「えーと、何もしない日ですわ」
キバの手に頬をスリスリしている。
「仕事をしちゃだめだね~」
ヤマだ。
“お色直し”状態は解除されている。
「……処刑されないのか……」
「労働監視官に報告の義務があるんだが」
密告である。
あ~、このノリで最低でも300年か~
キバに、地球人類固有の種族特性、“根性”(あらゆる、バッドステータス無効)が着くわけだ~
キバが、ユキノの、“熱量奪取(強)”(←パッシブスキル)で、体温を奪われ続けても平気な理由である。
普通の人なら、低体温症で倒れているのだ。
監察官は、全身仄かに桜色に染めているユキノを、少し心配そうな目で見た。