第七十三話、夜這い後、祝言
キバたちが救出されて、約一週間がたっている。
エリンステーションに帰って、日常が戻りつつあった。
深夜、ユキノの部屋にキバが訪ねる。
カーテン越しの月あかりでは部屋は青白かった。
「ユキノ、……夜這いだ」
キバが言う。
「はいっ、……はい」
ベットの上に、正座していたユキノが言った。
ユキメ族が夜這いの時に着る、白い着物を着ている。
「ふつつかものですが、よろしくお願いします」
ユキノが三つ指をついて頭を下げた。
二人は今夜結ばれるのだ。
「ユキノ」
キバが優しくユキノをベットに横たえる。
白い髪がベットに広がった。
シュルリ
キバが白い着物を脱がせた。
ユキノが一糸まとわぬ姿になる。
「ん、キバ様」
キバが顔を寄せた。
ユキノの白い肌は、すでに桜色に染まっている。
つつましやかだが形の良い胸。
桜色の肌の中にある淡いピンク色の部分にキバは指を這わせる。
「あっ、あっ、キバさ……ま」
力を入れれば、折れてしまいそうな細い腰。
キバの体の下で小さく震えていた。
「んっ、あっ、キバさまああ」
ユキノがキバにしがみついた。
キバが体を動かす。
ユキノが応えた。
ユキノの甘やかな嬌声が、明け方近くまで続いたのである。
◆
「ふむ、あまりお腹は目立っていないようだな」
女王ユキナミが言った。
「はい、お義母さま」
「ついにだね」
父親の、トウマだ。
「キバ君もユキノのことをよろしく頼むよ」
「はい」
キバが答える。
白無垢に角隠しをつけたユキノがこたえる。
白無垢の帯は、お腹のことを考えてゆるくしめている。
今日は、キバとユキノの祝言の日である。
出産のための入院を考えて、少し早めに祝言を上げたのだ。
ヤマは双子の女の子を、ミユキは女の子一人を腕に抱いている。
シュラや、カーリーも参加していた。
紋付羽織はかまのキバが、白無垢姿のユキノの横に並んで座った。
三々九度のかための盃。
「ユキノ、これからも末永くよろしく頼む」
「はいっ、キバ様、ふつつかものですが、これからも末永くお付き合いください」
二人は晴れて夫婦になった。
「この手を離さない」
「この手を離しませんわ」
二人はそっと手をつなぐ。
いつの間にか指を絡めるつなぎ方に変わっていた。
キバ君はユキノさんを抱きつぶさないように。
コルトバ星人、信頼と実績の”できちゃった婚。




