第七十一話、吶喊
R-66が歌いだす。
”愛し〇くれないまま”
”私を殺さ〇いで”
宇宙あしながバチの群れが、一面の雲のようになっている。
黒と黄色の洪水だ。
”彼女を思い〇がら”
”〇を殺さないで”
「吶喊しなさいっ」
ユキノが泣きながら叫ぶ。
”真っ白い雪風”
”舞〇散る夜の部屋で”
エクストラコールドが蜂の群れの中に飛び込んだ。
”永久凍土装甲”は熱量兵器には強いが、蜂の噛みつきや針には物理的にダメージを受ける。
蜂は、装甲に触れるたびに真っ白く凍り付いた。
ダメージを受けた装甲を、ユキノの熱量奪取で即座に直す。
凍り付いた蜂と、装甲から出る雪の結晶で、エクストラコールドの後ろに白い線を描いた。
”私〇呼吸は”
”ほと〇ど消えか〇てる”
「前進を全力でフォロー」
エクストラコールドの前を、ケットシー・マークツーでミケが飛ぶ。
左右のシールドビットはミケとクロのまかせた。
”ナマリブシ流、多重分身の術”
スキル、”シュレディンガー”を用いた、質量を持った量子化だ。
七体のケットシー・マークツーが名刀”鰹鉋”で切り裂いた。
”あなたが触れ〇ば”
”それだ〇できっと”
R-66が歌う。
エクストラコールドのレーダーに数えきれない蜂を表示させた。
ヴウウウウ
「あううう」
R-66が無数の蜂たちに群がられ、かまれ、刺され、バラバラにされた。
「でも、全生命体殺戮機械群の活動を止めるには、恒星くらいに落としてくださいね~」
”止まってし〇うほど”
”危〇い、かす〇な、吐息”
[全生命体殺戮機械群、存在保存モードに入ります]
女性のマシンボイスが響いた。
両手足はバラバラ、お腹には針で開けられた大穴が空いている。
「もけけ、もけけけけ」
全リミッター、解除。
殺戮モードに入った。
目からビーム、ロケットパンチ、オッ〇イミサイル、対昆虫用ナノマシン(バルサン)。
髪の毛一本ですら生物を殺す。
一方的な殺戮が始まった。
”愛してく〇ないまま”
”私〇殺さないで”
”……あいして……”(私を殺さな〇で、 歌、谷〇〇子)
エクストラコールが、アルラウネの大木にたどり着いた。
そのまま、勢いを殺さず体当たり(ラムアタック)。
船体を大木にめり込ませる。
「行ってきます」
「イナバたちは船を護りなさい」
船の周りには、全長3メートルくらいのトレント型、”ガーディアン・アルラウネ”が集まりつつある。
イナバたちは、なんと六聖拳の使い手だ。
「一時間して帰らなければ、離脱しなさい」
ユキノが涙を流しながら、船から大木内に入った。
落ちた涙が、白く広がり凍りついていく。
ユキノは吹雪とともに移動した。
「キバさまあああああ」
ユキノが叫んだ。




