第六十八話、大樹の中
〇ドンとサムソ〇が鮮やかなクロールでダイブアウトした。
その先には、巨大な大木が宇宙空間に浮かんでいる。
”宇宙樹アルラウネ”だ。
大きく左右にひろげた大木の枝と広葉樹の葉。
根元には小惑星。
枝の所々に発光虫を住まわせ、白い光がピカピカと点滅している。
彼らは見張りだ。
外敵が来たら、光で周りにしらせるのだ。
ブブブ
樹に巣を作った、”宇宙あしながバチ”が見えた。
大きさは中型犬くらい。
アド〇とサ〇ソンが、木の幹にあるうろから中に入る。
二人は蜂たちには味方と思われていた。
「「つれてきました、ブルーメ・アルラウネ」」
大広間だ。
ドサッ
キバが麻袋から放り出された。
「いたたた、ここは?」
「私の(逆、マッチョ)ハーレムへようこそ」
「うふふ、銀河系の男性の数は、35京123兆456億よ」
「一人くらい、かどわかしても良いでしょう」
アド〇とサム〇ンの膝に座る。
フウウウ
アルラウネが、小さな口からキバに息を吹きかけた。
小さな粒子が金色輝く。
”アルラウネの魅了”である。
しかし、キバには、種族特性、根性がある。
あらゆる、状態異常は無効だ。
「あら、地球人類なのですね」
「なら、”花の間”へ連れて行きなさい」
パチン
と指を鳴らすと、マッチョ、ブーメランパンツの男性が沢山出てきた。
「は、離せえ」
逆ハーレム要員が、キバを連れ去った。
◆
コルトバ本星。
「なん……だと……」
コルトバ女王、ユキナミだ。
「キバ殿がアルラウネにさらわれただと」
「ユキノの婚約者の」
「ユキメ族のハーレムマスターの」
「コルトバ星人から、オトコを奪った……と」
元々、コルトバ星人のハーレムは、他のハーレムから男を奪われないように保護し確保するためのものだ。
「国防長官をよべっ」
「戦時体制をとらせろっ」
この日、コルトバ星に非常事態宣言が発令される。
「防衛艦隊を除く全艦隊、出撃」
コルトバ王家所有、女王ユキナミ座上の、ガルム級ハーレム要塞”ハティ”を先頭にコルトバ艦隊数千が出撃した。
◆
「エクストラコールド、ダイブアウト」
「あれです」
「キバさんはあの木の中ですよう」
船の前には、大木が浮かんでいる。
「吶喊しなさいっ」
大木の発光虫が吶喊してくるエクストラコールドを見つけた。
即座に外敵と判断。
攻撃色の赤色を発光する。
これに対応して、アルラウネが、宇宙あしながバチを興奮させるフェロモンを放出。
ブウウウウウウウ
宇宙あしながバチ数万が戦闘体制に入った。
大木の周りを黒い雲のように舞う。
◆
「はあ、出させてもらうよ」
「やばくなったら逃げるからね」
ミケが、ケットシー・マークツーで出撃する。
フェリシアのかわりに、クロが乗り込んだ。
「私たち(長靴族)の方が本家ですにゃ」
ケットシー・マークツーは、シュレディンガー装備型宙間活動機だ。
ネコヒゲを持つクロ用にチューンナップされている。
今のフェリシアの本職は小学生だ。
「人型じゃないから遠慮はいらないですねえ」
R-66も船外に出た。
宇宙用バルサン装備である。




