第六十四話、ユイノウ
「ユイノウって知ってるかい?」
監察官がキバに聞いた。
「?、そりゃあ」
キバが怪訝そうな顔をする。
「地球人類が結婚するときに行う、文化らしいね」
”全宇宙文明代表評議会”から派遣されている監察官は、文化の保存や研究も重要な仕事なのだ。
「う~ん、あまり詳しくないが、確か結納品を持って相手の家に挨拶に行くんだよ」
一応、キバは既婚者だ。
700年前だけれど。
「あらっ、そういうのがありますの?」
ユキノだ。
「う~ん、どちらかというと、家同士の付き合いなんだよなあ」
当然、木場家が現在どうなっているかはわからない。
「再現してもいいかい?」
監察官が、キバとユキノに聞いた。
「俺は丁寧でいいと思うけど、コルトバ王家はどうだい」
ユキノに聞いた。
「多分、問題ないですわ。 キバ様ときずなが深まりますもの」
というわけで、ユイノウを行うことになった。
「まずは、ユイノウ品を持って、相手の家に挨拶に行くんだ」
「あ、そういや、そろそろ、ヤマさんとミユキさんが里帰りするよ」
二人とも、だいぶお腹が大きくなって来た。
子孫繁栄を歌うコルトバ星の産婦人科は、宇宙一のレベルを誇るのだ。
監察官が二人に聞いた。
「一緒に里帰りしようか?」
「そうしましょう。 旦那様」
ヤマが瀟洒に言う。
「ハロクはそれでい~い?」
ミユキがハロクに甘い声を出した。
「い、いいよ」
ハロクが照れながら言った。
「ユイノウ品は僕が用意するよ」
仲人の女装をした監察官が胸を張って言った。
「うん、お願いするよ」
この時キバは、まさかユイノウ品があのようになるとは予想もつかなかったのである。
◆
”ユイノウ品目録”
長熨斗:タイラントアワビ、全長2メートル。高級食材だ。
寿留女:皇帝大王イカを使用、全長50メートル。全宇宙でも最大級である。
子生婦:ハイパージャイアントケルプ使用。全長10メートル。これも最大級。
末広:白い扇子。20センチメートル。
勝男武士:全長、200メートル。宗田鰹・タイラント種使用。
ネコマタ星の食料装甲搭載型宇宙船をコルトバ星でエンジンだけ外したもの。
家内喜樽:酒樽、直径約1メートル。ちなみに銘柄は、”雪魔王”
◆
「どうだい、キバ君。 すえひろがりで大きいものがエンギが良いと聞いて頑張ってみたよ」
監察官が誇らしげに胸を張った。
女王、”ユキナミ”が、暮らすガルム型・王宮用ハーレム要塞、”ハティ”
その正門の前に並べられた(巨大な)ユイノウ品の数々。
キバはその前で途方に暮れた。
「……婿殿……」
”何事かっ”と飛び出してきた、女王、”ユキナミ”の視線が痛い。
「ゆ、結納品……です」
キバは、地球の文化ですと強引に押し切る。
「キバ様っ、地球の文化はすさまじいですわっ」
ユキノの驚きと尊敬の入り混じった視線が、とても、とても痛かった。
◆
ところ変わって、ガラリア帝国、サナダ少佐。
「おのれえ、何がコルトバだ、何がハーレムだあ」
フェリシアの件で、降格はされなかったが上層部にかなり怒られたのである。
「ハーレム……、そうだ、逆ハーレムだ」
「復讐してやる」
サナダはとあるところへ連絡を入れた。
「銀河系の男性の数は、35京123兆456億よ」
通信モニターの向こうでソレは言う。
BGMは、オー〇ティン・マ〇ーン、”ダー〇ィー・〇ークス”だった。
逆ハーレムもやっておこう。




