第五十二話、ハネムーンベビー、第三部完
第三部完。
少し少ないです。
新婚旅行から帰ってきて一カ月が過ぎた。
「おめでとうございます。 妊娠一か月ですね」
酒場二号館にある、総合病院の産婦人科医が言った。
ヤマと監察官がお互いを見ながら幸せそうに笑う。
「名前は何がいい」
監察官だ。
「ふふふ、まだ気が早いですよ、旦那様」
ヤマが頬に手を当て控えめにほほ笑む。
周りに幸せのオーラを全開で垂れ流した。
「うおっ」
慣れているはずの産婦人科医が当てられて少し頬を染めた。
看護師の中には腰がぬけて座り込んでいる人もいる。
”宇宙一、恋人や妻にしたい妊婦さん”は伊達じゃないっ
のである。
ちなみに、コルトバ星の教育の主軸は、”子孫繁栄”だ。
”家庭科”が全教科の半分を占める。
ヤマもミユキも自身の懐妊を見誤ることはない、キリッ。
ヤマとミユキ、ハネムーンベビーを授かる。
コルトバ本星に連絡すると、”女王様とお呼び”に掲載された。
”ユキノハーレム、ハーレム要員が懐妊っ”
”第三王女、ミユキ様。 ”おめでた、できちゃった婚!!”
”お呼び”内で文字がおどる。
「うらやましい……」
「武勇伝です……」
「5年の熱愛の上の、”できちゃった婚”……」
「素晴らしい。 完璧ですわ……」
”宇宙一恋愛が苦……”以下略。
ミユキはユキノと同じ王族。
婚約はしているが結婚は一年後だ。
たくさんのコルトバの女性に、羨望のため息を吐かせたという。
ミユキハーレム、大量の★をゲット。
キバが婚約者とはいえ、”未婚の乙女”に手を出すことはあり得ないのだけれど。
「流石、ミユキお姉さまですわ」
「キバ様も、いつでも、どこでも、オッケ~~ですわよお」
押したおしてくださいませ、ですわっ
「ふふ」
キバがふんわりと笑いかけ、彼女の頭を優しく撫でる。
「ん~~」
ユキノが気持ちよさそうに目を閉じた。
そのころ、
「おやっ、このIFF(味方識別)信号は?」
オマメさんがつぶやく。
正体不明の”宙間活動機”がエリンステーションに近づいて来ていたのである。
ユキノの歴史がまた一ページ。




