第五十話、心のパンツ
行ってみたいなあ。
「まずは、ハマナ湖ですわっ」
首都、アタミの西に広がる広大な湖だ。
「地球時代から、養殖が盛んですわっ」
ユキノだ。
地球文明を勉強している。
ウナギやノリ、カキ、全長5メートルを超えるスッポンの養殖が盛んである。
ちなみに、ウナギは地球産のDNAから再生されており、スぺ―スイールとは起源が違う。
中身は変わらないが。
「名物、”うなぎパイ”を食べましょう」
”夜のお〇つ”と呼ばれる名物、”うなぎパイ”。
ウナギをぶつ切りにして塩ゆでし、パイに包んだ、スターゲイジーパイだ。
「ううっ、目が合った」
キバだ。
四方に飛び出したウナギの頭が星のように見えるらしい。
メイド~インッイングリッシュ~。
味が塩気しかなく、おいしいという記事は見つけられなかった。
「キバ様、『名物にうまいものなし』と、地球では言うのですわっ」
ユキノが人差し指を振りながら言った。
「そ、そうだな」
キバは、当たりすぎている諺に、何とも言えない声を出した。
◆
「次は、タヌマ湖ですわっ」
「ここは、水面に映る、”逆さフジ”が有名ですわ」
「確かに、きれいだな」
忠実に再現されたフジ山が上下二つに見える。
「でもなぜ、円形にえぐれてるんだい」
監察官が、キバに聞いた。
「ああ、あれはソレントが日本に侵攻してきたときに、”祖国解放砲”で削られたんだよ」
フジ山の標高が、1225メートルになった事件である。
「ふ~ん」
皆で記念写真を撮った。
◆
「さっ、次は、”フジ・ジャハリパークですわよ」
何故かパーク内には、”フレンド”と呼ばれる”獣人”しかいなかった。
”サー〇キャット”の獣人が案内してくれる。
パークをまわると夕方になった。
◆
「宿泊はアタミ温泉ですわ」
アタミの温泉旅館についた。
入口には、”コルトバ王家、御一行様”と書かれている。
「まずは温泉に入りましょう」
「おおっ」
「はいっ」
「いい湯だねえ、キバ君」
監察官だ。
「うん、いい湯だな」
キバが答える。
「…………!」
ハロクである。
”フェンリルウールヴ”内の、アタミ温泉の再現度の高さに無言で驚いていた。
監察官が、浴槽内で注射を使い大騒ぎになった。
「微妙に、(男女の体で)入浴の感覚が違うんだよ」
とは、監察官の談である。
風呂上がりに、大宴会場に移動した。
入口には、墨で、”コルトバ王家、御一行様”と書かれた大きな畳の間だ。
和服姿の仲居さんが、お膳を運んでくれる。
メイン料理は、ハマナ湖の名物料理だ。
「さっ、食後は、地球の伝統と格式高い宴会行事」
「カラオケーションですわ~」
流石アタミだ。
カラオケーション、略して”カラオケ”の設備が完備してある。
監察官が感心したように、うんうんとうなずいた。
ステージもあった。
「「いっ〇~、キ〇イに、氏のうか~」」
ミケと、R-66のデュエット、”昭〇カレス〇キ”である。
大いに盛り上がった中、宴会は終了した。
◆
旅行、二日目である。
アタミ市内観光だ。
「まずは、”カン〇チとオ〇ヤ”像ですわ」
全長50メートル。
市内のどこからでも見ることが出来る、”都市防衛用人型要塞”だ。
特に、カン〇チキックは、強烈である。
「地球の明治時代の、……実際の人物と事件を元にしているのですわっ」
ユキノは、流石に怪しくなってきたのか、ブレスレットコマンダーでこっそり検索している。
◆
”カン〇チとオ〇ヤ”
地球の明治時代に起きた史実。
DCのカン〇チとJCのオ〇ヤは、幼いころに家がかわした婚約者同士だった。
しかし、オ〇ヤが、王族の王太子に目移りした結果、寝取られてしまう。
これに怒ったカン〇チが、
「月を見るたび、思い出せっ」
とオ〇ヤに、小キックを繰り出した。
この攻撃で、超必殺技のゲージが溜まったオ〇ヤは、
「これでっ、終わりじゃっ」
と、”裏百〇式、大蛇〇ぎ”で迎撃。
カン〇チが、〇神流に目覚めるきっかけとなる。
最後には、カン〇チが、高利貸しになり、オ〇ヤに、”ざまあ”するのだ。
◆
「キバ様っ、ネトラレッですわっ」
「NTRですわよ~~~~」
モガモガ。
キバは久しぶりにユキノの口をふさいだ。
「目には、大出力ビーム砲装備かあ」
”カン〇チとオ〇ヤ”像の観光を終えた。
◆
ミユキが、そっと胸の前にパンフレットを出した。
「こ、これは」
”心の〇ンツがはじけとぶ”
”お子様向けのアトラクションのような可愛らしさを感じます”
と大きく書かれている。
アタミ秘〇館っっ
ざわざわ
新婚カップルが訪れると、必ず子宝に恵まれるという、超パワースポットだ。
コクリ
ミユキが黙ってうなずいた。
その後、一週間ほどアタミを堪能して、一行は帰路についた。
”アタミ旅行から帰って来た息子の様子がおかしい。”
のである。
とりあえず、像は要塞化しとかないとね。




