第四十三話、エリンステーション
R-66が、床にモップをかけている。
エリンステーションの酒場だ。
ユキノたちは、ハーレムを正式に結成し、”お披露目”も終えた。
これからは、ユキメの王族の一員として、行動していくことになる。
「これから、何をすればいいんだ」
キバだ。
「そうですわねえ、第一の目的は、”子作り”ですが」
ちらっ
ユキノがキバをチラ見する。
少し桜色になっている。
「結婚してからでないと嫌なんでしょう」
”子作り”は
まだ二人は、婚約中だ。
王族や貴族の結婚は、準備に一年くらいはかかる。
しかし、ハーレムを作るユキメ族だ。
”できちゃった婚”は武勇伝の一つだ。
全体の四割が、”できちゃった婚”だったりする。
ユキメ族の伝統、”夜這い”の結果だ。
ユキメ族が、宇宙一恋愛の苦手な種族と言われる理由の一つである。
「”できちゃった婚”は武勇伝の一つですわよ~~」
いつでも、カッモ~~ンですわよ~~
モガモガ
キバが大慌てでユキノの口を押えた。
「すまんな……」
700年前の地球は、結婚や出産は完全に軍に管理されていた。
キバにとっては一年前だ。
”婚前交渉”は、男女ともに公開処刑である。
特に、軍の許可のないものはだ。
「価値観の違いがすごいな」
酒場の親父がしみじみと言った。
「文化だねえ」
「うんうん」
新妻の、監察官とヤマだ。
「いや、ああいうのは最初に話あっといた方がいい」
「うんうん、円満な結婚生活の秘訣だね」
「子供の教育方針もな」
ごろつき達のアドバイスである。
全員、明るく楽しい家庭持ちだ。
「「「あっ、ヤマちゃん、結婚おめでとう、それと、ユキノちゃんの婚約おめでとう」」」
ユキノハーレム一行は、エリンステーションに帰ってきていた。
◆
「そうですわねえ、色々なお仕事がありますわねえ」
永久凍土装甲のメンテナンス。
シェープシフターに襲われた時の仕事ですわね。
ハーレム要員の勧誘。
優秀な人材を、ヘッドハンティングですわ。
宇宙冒険者としての活動。
”イワシモドキ”の撃退などで、ハーレムを有名にしていきましょう。
”女王様とお呼び”ミッション。
コルトバ本星から、仕事が送られてきますわ。
ハーレムの★に関わるミッションだ。
次代の女王になりたかったら、積極的に受けるべきですわ。
略して、”お呼び”ミッション。
「まあ、船の維持費やハーレム要員の人件費は、国が予算を組んでくれますわね」
ちなみに、ハーレム要員は国家公務員である。
「ふふふ、一緒にのんびり宇宙を見て回りましょう」
ユキノが言った。
「……そうだな、分かった」
キバが答えた。




