第四十二話、コルトバ鹿鳴館、第二部完
ユキカゼハーレムは、戦艦シリーズ。
「値踏みですねっ」
”コユキ”第二王女だ。
ハーレムの、”お披露目”のため、”コルトバ鹿鳴館”に関係者が集まりつつある。
「アルフレッド様」
隣の星の第二王子である、アルフレッドに声を掛けた。
コユキハーレムのハーレムマスターだ。
「なんだい、僕の可愛いコネコちゃ~ん」
彼の周りには華やかな女性が5人ほど群がっていた。
コユキの取り巻きであり、ハーレム要員だ。
「ユキカゼお姉さまです」
少し離れた所に第一王女である、”ユキカゼ”が立っている。
180センチの身長の男性、顔に傷がある、”ポチョムキン”、ハーレムマスターだ。
隣には背の低い女性、ドワーフ族の、”シャルンホルスト”である。
その横に、エルフ族の女性、”フッド”だ。
荷物持ちの人族女性、”レパント”
「今売り出し中の宇宙冒険者ね」
会場の端の方に、第三王女の、”ミユキ”と、180センチくらいの身長、金髪碧眼、意外と細マッチョ、”ハロク”が立っていた。
早速、軍需関係の人物と話している。
胸元のハンカチと、ドレス、宝石類はお互いの瞳の色に合わせていた。
”ミユキ”は、”ハロク”しか見ていない。
他、親族や大使館の駐在員が出席していた。
ザワザワ
入口付近が騒がしくなった。
「ユキノハーレムが来たようね」
先祖返りしたと言われるユキノの、白い髪と赤い目は、遠目でも良く目立つ。
日頃あまり着ない、少し茶色がかった白いドレスが良く似合っていた。(いつもはキモノ)
「重心の低そうな人ですね」
キバを見て少しコユキが笑う。
「あれは……」
黒いマーメイドラインのドレスの胸元に、赤い宝石が輝く。
アイスタイタンの心臓っ
スノーオーガーの秘宝中の秘宝である。
ヤマだ。
隣に、昔の華族が着ていた伝統的なドレスを着た豊満な美女、”アンドロギュヌス監察官”である。
「じゃあ、あの二人が、次期オーガーキングとクイーン?」
「おいっ、あれって」
「R-66では?」
「宇宙的な歌姫のっ」
シックなステージ衣装をまとった、”全生命体完全殺戮用機械群のR-66である。
隠れファンが会場にいたようだ。
その後ろを、ネコミミと二股の猫シッポ、猫系獣人特有のしなやかな肢体を、黒いチャイナ服に包んだ、”ミケ・ナマリブシ”が歩いてきた。
ザワザワザワ
その後に続いた、一組の夫婦で会場が大騒ぎになった。
◆
「これより、”お披露目”を始めるっ」
女王ユキナミの号令一下、”お披露目”が始まった。
立食形式で、挨拶兼、お披露目の時間がもたれる。
「グッドライフ~」
「「「グッドライフ~~」」」
「ゼンコロ~」
「「「ゼンコロ~~」」」
しばらくした後、突然R-66のゲリラライブが始まった。
ひ〇ーつの〇けーいは、狂って止〇らな-いい♪
・
・
あなたのこぼー〇たー涙のしずー〇をー♪
曲は、谷〇〇子作、”時〇館の〇人”である。
歌い終わった後、その流れでダンスの時間になった。
ファーストダンスは、ハーレムマスターからだ。
「ユキノが、普通にダンスを……」
ユキノのスキルの関係上、キバ以外、長時間手は繋げない。
トウマとシュラとカーリーが涙ぐんでいた。
ファーストダンスが終わった。
二曲目からは参加は自由だ。
ザワ
ザワザワ
ザワザワザワ
会場がざわつきだす。
皆が一組のカップルを見ていた。
「僕と踊ってくれますかニャ、奥様」
タキシード姿の、”キジ”が澄ました顔で、手を出した。
「喜んでですニャ、旦那様」
リボンの沢山ついた可愛いドレスを着た、”クロ”が完璧なカーテシーで答える。
シッポの先にも……リボンだっ。
二人の肉球が繋ぎ合わされる。
キラキラとしたシャンデリアの下、正装した、夫婦の長靴族が、ホールの中央をくるくると回る。
ホオオオ
夢のような光景に、会場のそこかしこから思わずため息が出た。
ピコン
ピココココン
「押しては駄目、押しては駄目よ、次の女王は私がなるのよお」
コユキだ。
「どうしたんだいハニー」
アルフレッドである。
ああっ、可愛いっ
あれは反則よ~~
コユキは床に跪きながら、”女王様とお呼びっ”のユキノハーレムに、”★五つ”を入れるのだった。
この日、ユキノハーレムは、★を荒稼ぎしたのである。
綾辻行人、作詞。
この日は、例外的にコルトバ国籍を持たない出席者にも、★をつける権利が貸与された。
ユキノの歴史がまた1ページ。




