第三十三話、長靴をはいた、ネコ喫茶
「まあっ、可愛いっ」
ユキノが、大声を上げた。
目の前に、執事服と侍女服を着た、”長靴族”が並んで立っていた。
”長靴族”は130センチくらいの立ち上がった猫だ。
”長靴”は、民族衣装である。
「何でもお言いつけ下さいだにゃあ、ご主人さまぁ」
小さな執事服を着て、執事な礼をする、キジネコの、”キジ”だ。
「これからよろしくお願いしますだにゃあ、お嬢さまぁ」
小ぶりなエプロンドレスが可愛い、黒猫の、”クロ”である。
二匹は番だ。
”キジ”も”クロ”も、賞金稼ぎ(バウンティーハンター)の”ミケ”の部下である。
ミケは、つい最近ユキノハーレムに登録された。
しかし、エクストラコールドの高級炬燵に入り浸る為、船内で働いてもらうことにした。
「どうだい、僕の作った衣装は」
メイドの女装をした観察官が言った。
ちなみに、今までの彼の衣装は、全て自分で作っている。
ヤマが膝の上に攫う。
メイドの上にメイドが乗った。
「こ、これは確かに凄いな……」
キバは、自然とゆるんでしまう口元を手で隠した。
存外、二匹はこの格好が気にいったらしく、常にこの姿でいることになる。
◆
ユキノたちの船は、ダイブワープし補給ステーションについた。
水や燃料の補給中、ステーションの中で過ごす。
皆で、ステーション内の街を歩いた。
「次にダイブワープすると、コルトバ本星ですわ」
「にゃあ、にゃあ」
とネコ執事とネコ侍女が皆の周りを、ちょこちょこと歩く。
「可愛い~」
「まあっ」
「ほんとに可愛いわっ」
周りの人や、すれ違った人が振り向いた。
「あのっ、動画を取ってもいいですか?」
二匹の雇い主であるミケも含めた、全員がお互いの顔を見回す。
ミケが二匹にいいのかを聞いた。
「私たちは良いですにゃあ」
キジが嫁のクロを目で確認した後、言う。
二匹は、肉球の手を繋いだ。
「「「尊いっ」」」
この時の映像が、宇宙動画に流される。
全宇宙の猫好きを夢中にさせ、驚異的な再生回数を叩きだした。
これをもとに、ネコマタ本星では、”執事、侍女、ネコ喫茶”が開店し大繁盛することになる。
近い将来、これをさらに進めた、”コスプレネコ喫茶”は、星の観光の中心になるのだにゃあ。
◆
「ダイブアウト」
宇宙の、海中(四次元面)から海上(三次元面)に浮上した。
純白の惑星が、目の前に広がっている。
「これが……」
ユキノたちの母星
「コルトバですわ」
ユキノがキバの手を握る。
キバが、指を絡めるつなぎ方に変えた。
◆
”惑星、コルトバ”
平均温度、-10度の極寒の惑星。
主恒星より距離が遠いため、日差しが少ない。
幸い温泉が、惑星表面各地に出ており、その温度で生命を紡いだ。
洞窟などが多数あり、洞窟内は意外と暖かく快適である。
”永久凍土装甲”の元となったユキメ族の、”KAMAKURA”コロニーは、民族的建築物として有名。
スノウオーガーの巨大地下都市と、ユキメ族は棲み分けされていた。
◆
ユキノたちの船は、軌道上の、”コルトバ”ステーション”に入港した。
ね〇めーわく(竹〇泉、作)参照。




