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第三話、監察官

「大体ここに何しに来てるんだ」

 キバが、ユキノたちの前に“昼の定食”を置く。


 ユキノは少し痛そうに額をさすっている。

「あら、観光ですわ」

「そろそろ“ジェーン”が来るころでしょう」


「“ジェーン”?」


「体長10Kmを超える宇宙クジラだよ」

「惑星“エリン”に水分補給に来るんだ」

「きれいな自然と、宇宙クジラで観光地化してるんだよ、ここは」

 酒場のおやじがキバに教える。


「当然、殿方との、アッバンチュ~ルですわよっ」


「とっかえひっかえですね、姫様~」

 背後でウンウンとヤマがうなづいている。


「…………」

 後ろから口を塞がれただけで、意識を飛ばすんじゃ無理なのでは

 という目で、キバはユキノを見た。


「あらあら、今はキバ様だけですわよ」

 殿方の嫉妬の目

 可愛いですわ

 頬を染めた。



「好きです。 付き合ってください」

 花束をささげた美青年が言った。


「え~と、照れるな~」


 酒場である。

 

「あなたの美しいかんばせと、男性にも劣らない高身長が好きです」

「高い母性を思わせる双丘と、細みながらも密度の高い筋肉がたまらないです」

「女性特有の美しい声で、ガハハと漢らしく笑う……」

「最高ですっ」

「ヤマさん、ボクのことは、“アンディ”と呼んでください」


「……アンドロギュヌス観察官……」

 酒場のおやじがため息をついた。 

 アンドロギュヌス観察官は、メタリッカ星系人である。

 長期コールドスリープから溶けたキバを”全文代“から、派遣され観察しに来ている。



 メタリッカ星系は科学が大変発達している。

 星系内に三つの居住惑星があったことが特徴的だ。

 しかし、遥かな昔に、第一惑星が”男性だけ“、第二惑星が”女性だけ“に分かれて戦争が起きた。


 男女に分かれて戦争をしたのだ。


 結果的には、第一惑星も第二惑星も今は、跡形も()()



 傍で見ていた第三惑星人は、こう思ったのだ。


「男も女も無くしてしまえばいいのだっ」

 “監察官”が大声を出した。

「ふふふ、ユキメ族のハーレムは知ってますよ」

「男のボクが邪魔になるのも」


「でもっ、心配ご無用っ」


 気になる。

 監察官が着ているゆったりとした白いワイシャツの下に見える、()()()()()()()()のようなものが……

 キバだ。


 ユキノは、呆然と立つキバの手を握り、太い二の腕に頬ずりをしている。 

 ”スワッピング“もいいかも

 花束を抱えて赤くなっているヤマを見た。


 監察官が、銀色の筒のようなものを出した。

 上の部分にダイヤルがついている。


「注射器? ど、どうするんだ?」


「こうするんですっっ」


 ドブシュッ

 シュコウウウウウ~


 自分の腕にブッ刺した。


「アッアッアッアッアッアンッ」

 

 だんだん声が高くハスキーに

 黒い髪が伸びてショートカットに

 白いワイシャツが前に二つふくらんだ。


 ブ、ブラジャーがブラジャーになってよかった

 キバが安心した顔を見せた。


 「ふっ」「うんっ」

 無意識にキバに頭を撫でられているユキノが、艶めかしい声を出した。


 すっかり黒髪でスレンダーな女性に変態した“監察官”が


「アニーと呼んでいいわ」


「ふふふ、性的快楽の行きつく先に、恒久的な平和があるのっっ」


 ブッフーーーー

 

 周りのゴロツキが一斉に酒を噴いた。


「ボクならっ、ノーマルもアブノーマルも、BLもユリ展開も、薄い本のようなも、感度30倍も、性奴隷も、フ〇なりだって対応できるわっっ」


 サアッ、スノウプリンセス。 ボクをハーレムメンバーにっっ

 ヤマさんを、男×女、女×女でっ、フヘへへへッ


 ユキノは、値踏みするような目で流し見る。


「……触手は……」


「イエスッ、マイッ、メイデンッ(乙女)」

 老執事の様な礼をした。


「機械〇もっ」


 ハーレムに変態が参加した。


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