第二十五話、フィギュアマスター
愚者=アフォ。
あ○踊り期間だったのだ。
補給を終えた一行は、惑星コルトバに向け出発した。
ダイブワープで移動中である。
「あと一回補給ステーションによれば、惑星コルトバにつきますわ、キバ様」
「あと二回ワープすれば着くのか…」
「ユキノの両親に、結婚が前提のお付き合いの許可を頂きたいのだが…」
「ご両親はどんな方なのか?」
キバは、コールドスリープで眠っていた、700年前の地球人類である。
結婚、及び二人以上の子作りが前提の交際である。
「まあっ」
ユキノが全身を桜色に染めた。
「トウマ父様は穏やかな人ですわ」
「シュラかあちゃんとカーリーばあちゃんが問題かなあ」
ユキノは“取替えっ子”で、スノウオーガーから生まれてきたユキメ族。
ヤマとは実の姉妹だ。
母も祖母もスノウオーガーだ。
「キバなら、二人に勝てるよ」
「うふふ、そうですわね」
「ん? 勝てるってなんだ?」
「スノウオーガーは、略奪婚なんだよ」
ヤマに色々なものを略奪された、監察官が言った。
ボンテージ(拘束)服の女装をしている。
「略奪婚⁉︎」
「私を両親から奪ってくださいまし」
ポッ
ユキノが赤くなった。
「お、おう、頑張るぜ」
キバが、顔を少し赤くしながら言った。
◆
「海賊、“愚者と踊る人形“です」
「水と食料を置いていってください」
突然、船内放送が流れる。
無線ジャックされたようだ。
VIPルームの障子を開けて、窓ガラスから船の外を見た。
「愚者の人形っ」
海賊船には灰色に赤で、”踊り提灯を持った棒人形”が描かれていた。
「まあっ、こんなところにハロクお義兄様が」
「お義兄様?」
「ええ、ミユキお姉様の想い人です」
◆
宇宙海賊 ”愚者と踊る人形“
引きこもりで、フィギュアオタクのハロクが所有する工房船”オールフリー“だ。
ハロクは、天才的なフィギュアマイスターである。
フィギュアにAIを詰んで自力で動けるように改造すると、“海賊女王ツインリンクス”のフィギュアが暴走。
海賊行為を始める。
船内は、女性フィギュアで一杯だ。
ユキノの姉、”ミユキ“のフィギュアを作ったことで、ミユキに見染められる。
彼は、全力で彼女から逃亡中だ。
◆
「ヤマ」
「姫様」
ハロクを捕獲しましょう
「イナバたち、白兵戦用意っ」
「トラクタービーム照射」
海賊船”オールフリー“を”エクストラコールド“が引っ張り寄せる。
接舷した後、突入口が打ち込まれる。
「吶喊っですわ〜」
・
・
・
「「なぜだ~」」
女海賊の格好をした、二体のフィギュアが叫んだ。
双子という設定である。
縄でぐるぐる巻きにされていた。
「中身は、軍用アンドロイドですねえ~」
セクサロイドである、Rー66がのんびりと言った。
海賊”愚者と踊る人形”は、逆に制圧されていた。
ユキノたちは、イナバたちも含めて何気に戦闘能力は高かった。
「ユ、ユ、ユキノ君?」
金髪の前髪で目を隠した、線の細い青年が現れた。
背を丸めている。
「あら、ハロク様、お久しぶりです」
「このまま、ミユキお姉さまのところまで、連れていきますわよ~」
「い、い、いやだ~」
未来の義兄候補を捕獲した。




