第二十三話、古代の海
“エクストラコールド”は、惑星“コルドバ”に向けて、ダイブワープ中である。
「あ〜、この海域は“古代魚”エリアだねえ」
“サカナクン”の女装をした、観察官が言った。
「古代魚エリア?」
キバが怪訝な声を出した。
「見てごらん」
ブリッジの後ろにあるVIpルームの、コタツから立ち上がった。
「どれどれ?」
ユキノがついてくる。
勤務時間内なので、ヤマは侍女服でユキノに背後に控える。
窓の外を見た。
「あれは、メガシャークのように見えて、メガロドンだよ」
エクストラコールドの、3分の1くらいの大きさだ。
「メガロドンッ、古代のサメですね〜」
R−66が、掃除しながら言った。
全生命体殺戮用機械群は、コ○シ方も含めて生命に詳しい。
「このエリアは、観光地としても有名だよ」
「ちょっと見ていきましょうか」
エクストラコールドを停止させた。
◆
「そういや、R−66は、生体用の高性能レーダーを搭載していたよね」
観察官が聞いた。
「そうですよ〜」
あれっ、なぜそのことを知ってるんで ブツッ(←隠匿コード発動)
「おマメさん経由で、“エクストラコールド”に繋いでくれる」
「いいですよ〜」
「お呼びですか、旦那様」
こたつの上に、ホログラフのおマメさんが現れる。
「はじめましてっ、全生命体殺戮用機械群のセクサロイド、端末番号、R−66といいますっ」
きっちり正座をして頭を下げる。
「まあっ、可愛らしいお嬢様ですね」
「私は、九五式宙間活動機、“豆狸”の支援用AIです」
「おマメとお呼びください」
「私と、”繋がる“ のですね」
「はいっ、対生物用レーダーがいるそうですっ」
おマメさんがモジモジとこたつに、のの字を書いている。
”繋がる“だなんて
さすが、高性能セクサロイドですね
ためらいがありません
繋がった。
「うわああ、すごいですねっ」
「稼働時間600年の大先輩じゃないですか」
「ウイルス、打ち込んでいいですかっ」(←AI的アメリカンジョーク)
R−66が、大声で言った。
「いえいえ、R−66様も、300年近くあるじゃないですか」
「私なんて、ロートルのおばあちゃんですよ」
「いえいえいえ、私なんてまだまだヒヨッコで」
「いえいえいえいえ、」
高性能AI同士の謙遜合戦が、しばらく続いた。
◆
船外の生物が”空間表示“される。
「あれは、メガロドンの”ギドラ種“だね」
首が三つ付いている。
「あちらは、”クトゥルフー種“ですよ〜」
首が三つ、後ろ半分が蛸の足。
「あれは??」
腹ビレにミサ○ルが?
「あれは、なに」
ユキノの指さす方に頭が鎧に覆われたようなSAKANAがいた。
「タンクルオステウスですね〜」
「あれは」
「アンモナイトだね」
「人の顔がついてるんだが」
「珍しいですねっ、シー○ンですっ」
「ほら、あそこに、モササウルスがいるよ」
エクストラコールドを、ゆっくりと移動させる。
最後は、
ガチッ
二つのエビのような食碗が、エクストラコールドを掴んだ。
二つの丸い大きな目。
複雑な丸い口。
三角形のひれが横腹に並ぶ。
大きさは、エクストラコールドと変わらない。
「アノマロカリス・タイタニアですねっ」
ガチガチとかじられても、流石に装甲には傷はつかなかった。
「凄い迫力だ」
「面白かったですわね、キバ様」
「最後のは苦手かなあ」
ヤマは虫系は苦手だ。
ユキノ達は、古代の海を堪能した。




