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ハーレムですわっっ。デキちゃった婚ですわっっ、どやっ。大宇宙ハーレム奇譚、キバとユキノのハーレムあれや、これや、だぜ。  作者: トウフキヌゴシ
第一章、ユキノハーレム

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第十六話、普通免許

「キバ君、普通免許を取らないかい?」

 溺愛される貴族令嬢の女装をした、監察官が言った。 

 ヤマの膝の上である。


「あ~ん」

 ヤマが、クッキーを観察官の口元に運ぶ。


 監察官が控えめに、ヤマの手からクッキーをかじる。

「……美味しい……」

 監察官が、頬を染めながら小さく言った。


 ぺろり


 ヤマが、監察官の口のはしについていたクリームを舐めとった。

「ふふ」

 ヤマが、強烈な色気を周りに振りまきながら、監察官を見つめる。


「つ~~~~」

 監察官の顔が真っ赤に染まった。


「……可愛いぜ……」

 

 がっふあ(←テルマエロマエ、参照)


「今夜も、寝かさないぜえ」


 場所は、いつもの酒場。

 勤務時間は、過ぎている。


「まあっ、溺愛されてますわあ」

「はしたないけど、うらやましいですわああ」

「婚約破棄ですわああ」

 いつものごろつき達が姦しく言った。


「ああ、うん、オマメさんをな、宇宙空間で操縦するのに免許がいるんだよ」

 ヤマに連れ去られた監察官の代わりに、酒場の親父が言った。


「免許?」 

 キバが答える。


「そうよ~、普通宇宙船運転免許状、略して普通免許」

 ユキノだ。

 監察官に対抗して、キバの膝の上である。


「まあっ溺愛さ……以下略。


「これからも、乗るんだろう?」

――九十五式宙間活動機、“豆狸”に


「あっ」

 キバだ。


「……わたくしに、“のる”だなんて……」 

 酒場のテーブルの上に、20センチくらいの和服姿の女性が現れる。

 ホログラフである。

 豆狸のAI、オマメさんだ。

 両ひざをそろえて座り、テーブルにのの字を書いている。


「……や、やさしく、たくさん、のってくださいまし……」


 チラッ


 オマメさんは、顔を伏せて真っ赤になった。


「……カオスだ……」

 ユキノが、自分の膝の上で“ヤマトナデシコ”とは何たるかを、オマメさんに聞いているのを見ながらつぶやいた。


「武装を使うには、限定解除が必要だぜ」

 酒場のお親父だ。

「普通なら教習所で、二カ月くらいかかるが、キバなら一発(試験)で行けるんじゃないか?」


「あっ」

 キバだ。


「……一発だなんて……」

「……少なすぎます……」

 オマメさんは通常運転だ。


 ヤマトナデシコッ

 ユキノが、“ヤマトナデシコは、一発では少ない”とメモ帳に書きとめた。



 キバは普通免許の一発試験を受けるために、宇宙警察の免許センターに来ていた。

 通常の操縦は、サポートAIに、最新の交通法規のアプリを挿入(←〇インストール)することで簡単である。


「さあっ挿入インサートして下さいましっ」


「!?」

 周りの警察の人が振り向いた。

 聞き間違いか?

 

 武装が使用可能な“限定解除”は、宇宙空間での模擬戦闘が必要だった。


 九十五式宙間活動機、“豆狸”

 人型と、小型の宇宙戦闘機のような高速形態に変形できる機体だ。

 製造は、600年前の地球。

 しかし、フルレストアされて新品同様である。

 ずんぐりとしたボディ。

 両腕にフレキシブルアームを介して、巨大なシールドが装備されている。

 シールドには巨大な推進器。 


 模擬戦に当たって、キバが選んだ武装は、


 着脱式のシールドガトリング。

 電磁スタンアンカー。

 発熱式実体剣。


 の、B3装備だった。(ぐふう) 


 模擬戦闘用の宇宙空域に来た。

「廃棄された、宇宙港跡のようです」

 オマメさんが付近のサーチ完了。


 模擬戦闘をする試験官は、元女王“スノ―ホワイト”の近衛部隊、“セヴンス“(女王が引退して解散された)の隊員、ドワーフの”ドワイト“だ。


「お主は、運が悪いのう」

 

 まん丸い機体に、短い脚。

 腕は丸いボディの前まで回せるくらいに長い。

 二つのカメラが特徴的な頭部は、丸いボディと一体化され必要な時だけ伸びる。

 両手には、巨大なツーハンドアックス。


 宇宙鉱山採掘用人型機、”ミスリルアックス“だ。


「わしに手加減は無理じゃ」

 ニヤリと笑う。 


「旦那様、この試験官の合格率が極端に低いです」

 オマメさんがデータを調べてくれた。


「模擬戦闘、始め」

 アナウンスが入る。

 戦闘が始まった。


 ドオオン


「爆発した?」

 ”ミスリルアックス“の背中がブースターの炎で真っ赤に染まる。

 一瞬で目の前まで来た。


「終わりじゃの」

 丸い機体全体が、縦にくるりと回る。

 両手に持ったアックスも同じだ。


「うおお」

 キバは、シールドを逆にして、ブースターを全開。

 急速に後退する。


 ガスッ


 機体胸部を、斧がかする。


「ほほ、いい反応じゃ」


 バウウウウウウウウ


 キバは、シールドガトリングを斉射。


 ボッ、ボッ、ボッ


 丸い機体のそこかしこの蓋が空いて、バーニアが吹かされる。

 飛び跳ねるように移動した。


「旦那様、丸いボディの中身は、高推力の推進器の塊です」

「ドワーフの頑強さがないと体が耐えられません」


「ぬっ」

 あっという間に懐に入られる。


「わははは、怯えろ、竦めえ」


 ガスウ


 シールドガトリングが切られた。


「パージッ」

 シールドガトリングが盾から外れる。

「ここっ」

 弾薬が詰まった樽上の弾倉に、電磁スタンアンカーを撃ち込む。


 バチイ

 通電した。


 ドパパパパパン


 四方八方に暴発した弾薬が飛び散った。


「なああっ」

 ”ミスリルアックス“が、バーニアを吹かそうとして、空いた所に暴発した弾が飛び込む。


 キバは、盾を前にして前進。

 実体剣で斬りつけた。


「参った」

 ドワイトが言った。


「試験終了」


 キバは、模擬戦で勝利を収めた。


「オマメさんは変なことを言わなければ、滅茶苦茶、優秀なのになあ」

 

「旦那様は、とても床上手です。 またむつみ会いましょう……」

 ぽっ

 

 キバは、聞こえないふりをした。


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