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ハーレムですわっっ。デキちゃった婚ですわっっ、どやっ。大宇宙ハーレム奇譚、キバとユキノのハーレムあれや、これや、だぜ。  作者: トウフキヌゴシ
第一章、ユキノハーレム

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第十五話、恋の季節

 酒場のごろつきたちの朝は早い。


 チャンチャカ、チャカチャカ

 

 軽快なリズムの元、朝のラジオ体操が始まるからだ。


『ラジオ体操第一~』

 ラジオから明るい男性の声が聞こえてきた。

 何故か、ニホンゴーである。

 キバは最初、聞いたとき大変驚いた。


「ふっ、変わらないものもあるのか」

 七百年、か

 キバがニヒルに笑う。


「カードを出しな」

「スタンプは、ここだぜ」

「二日酔いの朝はこたえるぜええ」


 ごろつきたちは、酒場の前の通りを占拠するように、列をなしている。


 キバは黙ってその列にはいった。


 第二体操が始まる。



 ラジオ体操が終わった。

 ヤマが部屋から出てくる。


「いい子にしてるんだぜ、アニー」


 チュッ


 ヤマが、アンドロギュヌス監察官に口づけした。

 監察官はヤマに、横抱き(お姫様だっこ)にされている。

 真っ白い、長めのワンピースがウエディングドレスのように見えた。


「つ~~~~」

「……はいっ……」

 全身、真っ赤に染めた監察官が、ヤマの腕の中で小さく答えた。


「はふうううう」

 観察官が、熱い息を吐いた。

 ヤマは、腰が抜けて動けない監察官を、酒場の椅子に座らせる。


 スラックスに白いワイシャツを着たヤマが、長い黒髪を片手ですくいあげる。

「浮気するんじゃねえぞ」

 離れようとしたヤマの、ワイシャツの袖をそっと監察官がつまむ。

 上目遣いにヤマを見た。


「くうっ、可愛いぜっっ」

 

 ガバア


 ヤマが、監察官に顔をよせた。


 周りが、桃色の空気に染まった。(←横溝正史著、『八つ墓村』参照) 

 

「昨夜は、お楽しみでしたね」


 酒場の親父が、服務規定に則り、決められたセリフを口にした。

 ”全宇宙、旅館業法“に決められている。

 言わなければ違法だ。

 

 監察官が、真っ赤に染まりうつむいて動けなくなった。


「うおおおおおおお」

「ち、ちくしょおおお」

 最初から全てを見ていたごろつきたちが、もやもやとした何かを発散するために、もう一度ラジオ体操を始めた。 



「恋の季節だ、キバ」

 酒場の親父が言った。


「……そうだな……」


「はふう」 

 キバは、時たま熱いため息をつきながら、頬を染める監察官を見た。


「まっっ、ふふふふふ」

 ユキノは、後ろに立つ侍女服を着たヤマと、監察官を見た。

 キバは、同じテーブルでユキノと朝食を食べている。 


「エリンの地表が、恋の季節だ」

 親父だ。


「???」


「はふうう、バグズの……ことだよ」

 監察官が小さな声を出した。



 “バグズ”

  

 宇宙クジラ“ジェーン”についてくる、生物はSAKANA(宙間魚類型生物)だけではなかった。

 クジラの体表に、防御殻を作り、引っ付いて宇宙を渡る甲殻生物。

 

 “バグズ”である。


 種族名、アラクネイド。

 大きさは、大型種で牛くらい、小型種でカニやエビくらいだ。

 特に、大型種は鋭角の巨大な咢を備え、小さな腰から六本の外骨格の足がはえていた。

 惑星“エリン”の原住生物であり、移住の時は戦いとなった。

 しかし、バグズは“大変美味しい”という事実に、人類が気付いてしまった。

 一時期は乱獲によって絶滅寸前までいったが、いまは、“全文代”によって保護されている。

 

 詳しくは、ドキュメンタリー映画、“機動宇宙の戦士、ガンガル”もしくは、“スターシップ、フィシャーズ(宇宙の漁師)”を参考されたし。



「バグズが引っ付いてくるのは、繁殖のためだよ~」

 昨夜を思い出したのか、更に真っ赤になって俯いた。

 宇宙クジラの目的地と、バグズの生息惑星はかさなっている。


「バグズたちの恋の季節だよ」

 酒場の親父が言った。


「で、この季節だけ、都市に近づくバグズを狩ることが出来るんだ」

 当然食べる。

「都市の防衛の仕事を受けてみるかい」

 バグズが危険な生物であることは変わらない。

 

「ふふ、それもありましたわねえ」

 ユキノだ、

 “エリン”の観光の一環である。


「美味しいらしいなあ」

 ヤマだ。

 うんうんとうなづいている。


「当然、報酬は出るし、バグズも売れるよ」

 はふう


「仕事受けるか?」

 酒場の親父だ。


「わかった」

 キバが答えた。 


 地上に降りたキバたちが見たものは、辺り一面を埋め尽くす、交尾するバグズたちだった。


「ら、乱交パーティーですわあああ」

――うらやましい

 ユキノが吠えた。


 キバは大慌てでユキノの口を押えた。


「は、は、は、破廉恥ですっっっっ」 

 オマメさんが、ブレスレットコマンダーから出てきた。


 パアアアアアア


 キバたちを中心に、バグズの接合部分に()()()()()()()()()()()


 上空から見ると、オー〇の瞳が赤から青く変わって行くのと同じように見えたそうだ。


 バグズは、焼いたときの香りがとてもよく美味しかった。


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