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ミサキとの通信が終わった後も英麻はしばらくの間、ぼーっとしていた。

「…今回、やけにハードル高い気がするんだけど」

「タカツカからスカイジュエルウォッチを受け取った時の自信はどこ行ったのサ?そんな弱気になられちゃ困るヨ。みなみチャンへの事情説明だってまだなんダヨ?」

「わかってるわよ、それくらい」

英麻はぱっと立ち上がると、部屋の中をぐるぐる歩き回った。

「まあ、何とかなるわよ、うん。まずは事情の説明よね…うん、イケる!タイムスリップする日まで、まだ三日もあるんだし、同じ学校で教室も同じ階で部活も大体、同じ所でやってるんだし。みなみとの接触のチャンスなんてたっくさんあるわよ。十分、希望は持てるわ。うんうん!」

壁のカレンダーに目をやり、やや上ずった声で英麻は自分に言い聞かせるのだった。



希望的観測はあっさり裏切られた。

ミサキから連絡があったのが月曜日。四日後の金曜日が、タイムパトロールが指定したタイムスリップの当日であった。確かに日数に余裕はあったし、学校も学年も同じゆえ、英麻が考えたように校内でみなみと話す機会はいくらでもありそうに見えた。しかし、実際はそう簡単ではなかったのだ。

まず、みなみがなかなかつかまらない。スポーツ少女と言われるだけあって休み時間でも彼女はバスケットボール部の自主練に忙しく、部活のない日の放課後もマウンテンバイクのトレーニングや柔道の稽古へ向かうため、さっさと下校してしまう。部活動の際はいつも突然、多くの女の子のファンが現れ、英麻が近づく前にみなみを取り囲む。

そのうえ、運とタイミングもまったく味方してくれなかった。あと少しで英麻がみなみに話しかけられるという瞬間は何度かあった。だが、その度に避難訓練のサイレンが鳴る、すぐ近くにいた生徒が腹痛を訴え、英麻が保健室へ連れて行くはめになる、窓からふらりと蜂が入ってきて(それも三匹)教室や廊下が大騒ぎになる、といったアクシデントが次々と生じたのだ。

そんなわけで火曜、水曜、木曜と、あっという間に日にちは過ぎていったのである。

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