表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空守護士タイムアテンダント  3 海と女傑と新たな仲間  作者: 夜湖
第一章 雨の客とスカイフェアリーズ
1/41

【グレイス・オマリー】


大航海時代に活躍したアイルランドの女性の海賊。部下の海賊たちを多数従え、ヨーロッパの海を中心に勢力を誇った。


特記事項:当該歴史上人物はアイルランド時空警察の管轄対象とし、原則的に我が日本国のタイムパトロールに接触の権限はないものとする。


(タイムパトロール記録部のデータベースより抜粋)





201X年


足立英麻の部屋には天国と地獄が存在している。

天国とされる飾り棚周辺のゾーンには、英麻が愛するアイドル、聖組関連のグッズ(CDや写真集はもちろん、彼ら主演の舞台『剣聖華劇』のパンフレット、DVD等々)が美術品のごとく陳列され、毎日のお手入れが欠かさずなされていた。

対する地獄ゾーン、そこは悲惨な有り様だった。学習机と本棚から成るその場所はおもちゃ箱をぶちまけたかのよう。机には教科書やノートといった勉強道具と、漫画やファッション雑誌が見事にブレンドされて放置され、本来、それらがきちんと収まるべき本棚にはなぜかバックやポーチ、習字道具、お菓子の空き缶、うちわ、ファンシー雑貨などがぎゅうぎゅうに押し込まれていた。同じ部屋の小学二年生の妹、百果のスペースの方がはるかにきちんと片付いている。(彼女は昨日の夜から友達の家のお泊り会に行っていて留守だった)

そんな部屋の状況など頓着せぬ英麻はその日、窓に額をつけて外を眺めていた。

今日は土曜日。夕暮れ時で天気は雨。薄暗い中を小雨がしとしと降っている。庭の片隅には雨に濡れる水色の紫陽花の茂みが見える。

「はあ、こうも雨が続くとやんなっちゃう。外に出る気力も失せるし、退屈な感じだわー」

「だったら勉強しなヨ。七月の定期試験も近いんデショ?」

「やなこと思い出させないでよね。それはまた別の問題なの」

英麻は窓枠によじ登ってきた子ブタ型ロボットのニコ777をつんとつついてやった。

七月に入った今でもまだ梅雨は明けておらず、もう長いこと晴れの日から遠ざかっていた。ぐずつく天気とニコの耳の痛い忠告にさらに気分がげんなりした英麻は、とっておきの元気薬、聖組の布施くんのソロ写真集に手を伸ばしかけた。同時にチャイムの音が鳴った。母親の驚いた声も聞こえる。

「誰だろ。こんな中途半端な時間に」

英麻は部屋を出て、一階へと降りていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ