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計測不能スキルLv0の特待生 ~底辺バイトの俺、なぜかリアル冒険者学校にトップ入学してしまった件~  作者: タック
第四章 絶対なる1%の賭け

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特待生パーティー、二層目ボスで修行の成果を見せる?

 無事、パーティーはボス部屋前に到着していた。

 むすびの顔に、ドロップのローパー肉が追加で三枚ほど張り付いているが、無事である。


「……」


「むすびちゃん、ローパーの怨念でも取り憑いてるの?」


「さすがのあたしも、今度ばかりは火之神院むすびに同情する……」


 その慰めの言葉を聞きながら、むすびは無言で顔面パック状態のローパー肉を引き剥がし、空中に放り投げた。


「うわ、無表情……メッチャ怖いぜ……」


「さてと、二層目のボスだ。昨日、練習した感じでいこう」


 明志は真面目にそう言った。……ちゃっかり、ローパー肉を空中でキャッチ&袋詰めしながら。

 優友はツッコミを入れず、ボス前の緊張感を維持しようとした。


「しゃあ! やっとボスだぜ! おれっちの修行の成果を見せてやるぜ!」


「よし、開けるぞ。各自、連携して最小限の消耗を意識するんだ。まだまだ先は長い」


「ああ、わかったぜ親友!」


 ボス部屋の扉を開くと、そこには巨大な存在が蠢いていた。

 サイズは三メートルくらいだろうか。

 小山のようなシルエットと、ウネウネと蠢く何かが多数見える。


「こ、こいつは――巨大なローパー!?」


「ああ、二層のボスはビッグローパーだ……って、おい、火之神院なにをやっ――」


「ローパー死すべし……【炎Lv3】上級火球ハイ・ファイアーボール!!」


 むすびの全力の上級火球が放たれる。

 今回はみっちりと練習した成果も出ていて、凄まじい威力を発揮していた。

 爆音が鳴り響き、四散した炎が渦を巻いて天井まで到達して、周囲の壁まで焼き焦がす勢いだ。

 結果的に、爆心地であるビッグローパーは消し炭になっていた。


 明志は普段なら――『残り七体のボスだけじゃなく、まだ九階層までの道中もあるというのに……なにをやっているんだ、火之神院』と注意するのだが、今回は無理だった。


「ふふふ……あははは……ッ!! ローパーなんて世界から消えちゃえばいいのよ……!」


 普通にむすびが怖いことになっていたからだ。

 食への冒涜か、顔面ローパーパックをしたことか、なにが原因かは定かではない。

 しかし、狂気度が高くなりすぎてしまったことは確かだ。


「えーっと……三層入り口にもダンジョンボックスがあるから、そこで休憩しよう……。火之神院、水分を補給すると精神が安定するぞ……?」


「焼き尽くす……ローパー、焼き尽くす……!」


 明志はバーサーカー状態のむすびに見つからないように、ボスドロップの触手を密かに回収したのであった。

 ちなみに、この触手は薬の原料などで買い取ってもらえるため、それなりのお小遣いになる。

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【書籍情報】
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『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
エルムたちの海でのバカンスや、可愛いひなワイバーン、勇者の隠された過去など7万字くらい大幅加筆修正されています。
二巻、発売中です。
ガンガンONLINEで連載中のコミカライズは、単行本一巻が5月12日発売予定です。
よろしくお願いします。

【新作始めました!】
『猫かぶり魔王、聖女のフリをして世界を手中に収める ~いいえ、破滅フラグを回避しながらテイムでモフモフ王国を作りたいだけの転生ゲーマーです~』
聖女(魔王)に転生したゲーマーが、破滅フラグを回避するために仕方なく世界を手中に収めるという勘違い系物語です。
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