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計測不能スキルLv0の特待生 ~底辺バイトの俺、なぜかリアル冒険者学校にトップ入学してしまった件~  作者: タック
第四章 絶対なる1%の賭け

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特待生、某RPGの一列移動でモンスターを轢き倒していく

 走る――駆ける――突き進む――

 ダンジョンの狭い景色がめまぐるしく流れ、魔力を帯びた空気が風を切って後ろへと消えていく。

 身体が熱を持ち、呼吸と心臓の音が大きくなってくる。


「副部長、次の道を右だ。そっちにモンスターはいない」


「了解です、部長」


 明志は背中側にいる大和の指示で、ダンジョン内の移動ルートを決めていた。

 そして、ひたすら走り続ける。

 これは廃部回避、パーティー編成、ダンジョン構成などの複合的観点から見て最適解なのだが、客観的に見てしまうと――


「ねぇ、田中明志……。この移動方法って、結構シュールじゃない? なんか、昔のRPGっぽいというか……」


「ゼェハァ……おれっちも思ってた……。みんなで一直線に並んで全力疾走とか……」


 後方の二人――むすびと優友が、つい口に出してしまった。


「そうなのか? 俺はRPGというものがよくわからない……」


 ちなみに優友は、魔力による身体強化を少しは修得してきたのだが、装備の重さで息を切らせている。

 気合いという名の魔力だけで、速度を維持しているようなものだ。


「むむ……副部長、大変だ」


「どうしました?」


「この先の一本道、モンスターが一体いる。感知できる範囲、どのルートでも避けられそうにない」


 大和のスキル、銀ちゃんが高速移動と広範囲感知でルートを共有してきているのだが、それでもモンスターを避けられない場合も出てくる。

 そこで、この隊列の出番なのだ。


「オーケー。全員、上下左右、飛んでくるモノには気を付けるんだ」


「やっぱり、やるのか……」


「はい、先頭の俺がモンスターを殴り倒して進みます」


 パーティーの一直線隊列の前に、一匹のモンスターが現れた。

 昨日の夕食だったローパーだ。

 全力疾走してくる明志たちに気が付き、戦闘態勢を取ろうとしたのだが――


「ソォイ!」


「ピギィッ!?」


「すげぇ、一撃だ!」


 明志のダッシュ右ストレートによって、殴り飛ばされていた。

 あわれなローパーは空中で消滅して、ドロップの生肉が出現――後方を走っていたむすびの顔面にビタンと張り付いた。


「ちょっ!? なにか飛んできたんですけど!?」


「だから、飛んでくるモノには気を付けろと」


「こ、これ……もしかして昨日焼いてた……」


「ああ、言ってなかったか。バーベキューの肉はローパーからのドロップだ」


「……」


 うら若き乙女がウネウネグログロのローパーの肉を食べていた。

 美味しい美味しいと頬ばっていた昨夜の記憶と、ヤァと触手で挨拶をしてきそうな生ローパーの姿が浮かぶ。

 むすびは現実を直視できなくて、白目を剥いて速度を落としてしまう。

 後方にいる優友が煽りを受けて、その背中を必死に支えて走る状態になっていた。


「副部長、次は前方にローパー二匹だ~ッ!」


「了解」


 こうして、暴走特急はモンスターを轢き倒して、ダンジョンの二層目を突き進み続けるのであった。

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【書籍情報】
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『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
エルムたちの海でのバカンスや、可愛いひなワイバーン、勇者の隠された過去など7万字くらい大幅加筆修正されています。
二巻、発売中です。
ガンガンONLINEで連載中のコミカライズは、単行本一巻が5月12日発売予定です。
よろしくお願いします。

【新作始めました!】
『猫かぶり魔王、聖女のフリをして世界を手中に収める ~いいえ、破滅フラグを回避しながらテイムでモフモフ王国を作りたいだけの転生ゲーマーです~』
聖女(魔王)に転生したゲーマーが、破滅フラグを回避するために仕方なく世界を手中に収めるという勘違い系物語です。
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