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計測不能スキルLv0の特待生 ~底辺バイトの俺、なぜかリアル冒険者学校にトップ入学してしまった件~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第三章 廃部阻止のため、ダンジョンを超速クリアせよ!

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特待生、焚き火で焼きマシュマロを作る

 食後、明志はバーナーを点火して温かい飲み物を作ることにした。


「コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ココアがあるけど、どれにする?」


「結構、種類があるのね……」


「こういうものは一見、必要なさそうに思えるが、ダンジョンのメンタル管理で必要なんだ」


 明志の言葉に、三人は『なるほど』と頷いた。

 今までのダンジョンのイメージはモンスターを倒して、そのまま地上に帰還するというものだった。

 しかし、泊まりで探索ともなれば、閉所でのメンタルケアとしての嗜好品が必要になるのだろう。


「それじゃあ、私は紅茶をお願いするわ」


「おれっちはコーヒーで!」


「あたしは……渋みで色々洗い流したいから濃いめの緑茶で……」


 明志はコッヘルを人数分、取りだした。

 飲み物はティーバッグやインスタントだが、慣れた手つきで作っていく姿は頼れる男という感じだった。

 最初に煎れた紅茶を、むすびに手渡した。


「熱いから気を付けろよ」


「ありがとう。……って、そういえば、砂糖を入れてないわね」


「おれっちのコーヒーはブラックでもいいぜ! なんか……こう……身体に“漆黒”を取り入れているような感じがして好きなんだぜ……」


「漆黒」


 急に世界の闇を悟ったような眼の優友に、ツッコミを入れそうになる大和だった。

 そこはスルーで、明志は砂糖を入れていない理由を告げる。


「焚き火で焼きマシュマロを作るから、飲み物は甘くない方がオススメだ」


「「焼きマシュマロ!?」」


 その有名スィーツに女子二人が反応した。

 材料や作り方は簡単でも、なかなか実際に作る機会も、食べる場所もないという焼きマシュマロである。

 お年頃の女子なら興味があって当然ともいえる。


「作り方はかなり簡単だが、念のために手本を見せる」


 明志は、真っ白い大きめのマシュマロを鉄製の串に刺して、焚き火に近づけた。


「妹……たま子が『女子がいるなら作ってあげなよ!』と言ってきてな……。たま子、今頃どうしてるかな……」


「私の方の執事とメイドを送っておいたから、心配しなくて平気じゃない?」


「その執事さんとメイドさんの料理が美味しすぎて、俺の料理を食べてくれなくなったらどうしよう……。不安で不安で仕方がない……」


「心配するポイントがおかしい……。って、焦げてる! 焦げてるわよ田中明志!」


「そう、炒め物を作るときに焦げが一ミリでもあったら、きっと舌が贅沢になってしまったたま子に食べてもらえなく……」


 明志はトリップしてしまっていたのか、まともに話を聞いていなかった。

 結果、真っ黒焦げのマシュマロが誕生していた。


「不甲斐ない兄でごめんよぉ……たま子ぉ……」


「副部長、妹が絡むとマジでダメになるな」


「「うん」」


 珍しく三人の意見が一致したのであった。




 ――その後、明志は焦げたマシュマロを口にして冷静になり、普通に焼き始めた。

 真っ白だったマシュマロに焼き目が色づき、少し膨れあがって、甘い香りを漂わせる。


「わぁ、美味しそう……」


「ほら、火之神院」


「えっ!?」


 むすびの前に差し出された焼きマシュマロ。

 それはむすびの視点からすれば、恋人である明志が真っ直ぐに見つめてきていて、ドキッとしてしまう光景だ。


(こ、これは……はい、あーん……というやつね!)


 そんな焼きマシュマロに負けず劣らずの甘い思考が走り、そのままパクッと食いついたのであった。


「なにこれ、とろふわで甘くて美味しいわ! 田中明志!」


「……自分の手で持って食べろ。危ないぞ」


「えっ、こうやって食べろってことじゃ……!?」


「いや、食べたそうだったから、手渡そうとしただけなんだが……」


「そ、そうよね~!」


 焚き火に照らされるむすびの顔は、その炎のようにボッと赤くなってしまった。

 それを見ていた優友と大和は、青春だな~という表情で焼きマシュマロを炙っていた。


「ああ、そうだ。この焼きマシュマロに一手間加えてスモアにしよう」


「スモア?」


 明志は取りだしたクラッカーの上に焼きマシュマロを置いた。

 その上に割った板チョコを載せて、もう一枚のクラッカーでサンドする。


「こんな感じにしたのをスモアというんだ、食べてみてくれ。……自分の手で取ってからな」


「わ、わかってるわよ!」


 明志が作ったスモアを、むすびはまだ照れているのか、ひったくるようにして口へ運んだ。


「んぅ~! サクサクのクラッカーと、熱で溶けたチョコ、それと焼きマシュマロが――三位一体になってるわ! ああ、もう! なんでダンジョンで食べるものってこんなに美味しいのかしら!」


「ふふ、そうだな。子どもの頃から思っていたが、ダンジョンで誰かと一緒に食事をすると美味い。何故だろうな」


 ふと見せた明志の微笑みに、三人も笑顔を見せた。


「田中明志……アナタ、実はダンジョンが嫌いじゃないでしょ?」


「おれっちも、親友は実はダンジョンが好きに見えるぜ」


「カーッカッカッカ! あたしもダンジョン部を守ってきたかいがあったというものだな!」


 そう言われた明志は、バツの悪そうな顔で少し恥ずかしそうに――


「べ、別にダンジョンなんて好きでもなんでもないぞ……」


 と、小さく呟いた。

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【書籍情報】
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『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
エルムたちの海でのバカンスや、可愛いひなワイバーン、勇者の隠された過去など7万字くらい大幅加筆修正されています。
二巻、発売中です。
ガンガンONLINEで連載中のコミカライズは、単行本一巻が5月12日発売予定です。
よろしくお願いします。

【新作始めました!】
『猫かぶり魔王、聖女のフリをして世界を手中に収める ~いいえ、破滅フラグを回避しながらテイムでモフモフ王国を作りたいだけの転生ゲーマーです~』
聖女(魔王)に転生したゲーマーが、破滅フラグを回避するために仕方なく世界を手中に収めるという勘違い系物語です。
― 新着の感想 ―
[一言] 優友→中二病 明志→ダンジョンに対してツンデレ
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