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第52話 双子

本日二回目の投稿です。

短いですが、よろしくお願いします。


 港町の宿屋に一泊し、翌朝。

 早速ではあるが、次の町へ向かうために乗合馬車を探す。

 ぶっちゃけ、小さい港町だし寄りたい店も見当たらなかった。つまり飽きた。

 現代では観光なんて珍しくもないが、この時代では町側も人々の側もそんな余裕は無いみたいだ。

 屋台や露店はあるけど、町を挙げての観光地化なんて光景は、高望みし過ぎだった。

 観光が望みなら、立ち寄った町に手軽に求めるよりも素直に大きい町を目指すのが近道っぽい。


 というわけで、全知全能の図鑑のマップで、キノト島の全様を見てみる。

 この町と島の名前ぐらいしか分かっていないので、マップにはぼんやりと島の外形が現れ、南西の端に“ノンレッテ”という町名が表示されるのみだ。ノンレッテはココのことね。

 この時代には未だ地図は普及していないのか、探してみても見付からなかった。

 諦めて、一つずつ手探りに進んで行くのが無難なようだ。


「はーい! こちら、隣町の“サホイ”行きの乗合馬車だよーん!」


 おあつらえ向きに、町の名前を叫んでいる乗合馬車の係員がいた。

 マップで確認すると、ここからやや北東にサホイという町が表示されている。

 進路的に、そこを中継して進むのが良さそうだ。


「すみません」


「どうしたのだよーん?」


 この人、喋り方の癖が強いが、気にせずこの島の中心都市について聞いてみる。


「中心都市は、サホイのさらに北東に行くとあるよーん。“グラベンダミト”という町だよーん」


 おお、町の名前まで教えてもらうことが出来た。なんて幸先の良い。

 お礼を言ってチップに銅貨を二枚渡すと、ダ〇ーンの人はそれを受け取って、頭を下げた。


「これはこれは、わざわざありがとうございます。感謝いたします」


 普通に喋れるのかよ! そんで無駄にダンディだな!?

 この人、ただのお〇松〇んファンじゃなかろうか。いや、こちらにあるわけないのだが。


「それで、旦那様……いえ、若様はサホイに向かわれるのでございますか?」


 良い声だな! さっきまでのキャラはどこ行った?

 ともかく、そうですと伝え、客として手続きしてもらうことにした。


「かしこまりました。それでは、よい旅を……なんだよーん!」


 あ、戻った。

 この人、チップを渡すとダンディになるの?

 もしかして金額でダンディタイムが長くなるのか? ちょっと試してみたい気もするが……


 ……ダンディタイムって何だよ!


「もう少しで出発だよーん。乗り込んで待っててほしいよーん」


 段々とこの人の顔、特に口回りが横長に見える錯覚を覚えたので、目を擦って現実に戻り、馬車へと乗り込んだ。

 いきなりキャラの濃い人に遭ったせいで胸やけ気味だが、気を取り直して心を落ち着かせる。


「間もなく出発なんだよーーん! ご利用の方は、お急ぎくださいよーーん!」


 落ち着けるかー!

 いや、呼び込みなんだから大声も当たり前なんだけど、他の人たちは気にならないのか?

 そう思って馬車の中の人を見回すと、皆、顔を伏せて必死に笑いを堪えていた。

 やっぱりおかしいんだよね!? そうだよね!

 俺だけじゃなかった! 良かったー。


 その時、馬車の端の方にいる二人の男性が目に留まった。

 彼らは、その背後に武器を携えていた。だが、それよりも目を引いたのは、彼らの顔だったのだ。


「双……子?」


 思わず漏れた声に、その双子がハッと反応を見せた。

 いかん、失礼だったと思い、ペコリと頭を下げて会釈し、顔を逸らした。

 何か言われるかな、と心配はしたのだが……


「そーれでーは、出発だよーーーーん!!」


 これまで以上の珍妙な掛け声に、俺も双子も、他の客たちも一斉に吹き出してしまった。

 残念ながら呼び込みの彼は町に残るらしいのだが、暫くは思い出し笑いをしそうな光景だった。

 間違いなく、この島で一番の思い出になりそうだなと思いながら、揺れる馬車に身を任せて町を出るのだった。




ごめんなさい(笑)

悪ふざけが過ぎるとお叱りを受けるようなら直しますので、お楽しみいただけたら幸いです。

面白かったなあ、お〇松さ〇。


次話は、5月31日の20~22時頃に投稿予定です。

よろしくお願いします。



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