表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/444

第35話 シュリの行く道③

本日もよろしくお願いします。


「お世話になりました。ありがとうございました」


「いいって。それより、こっちこそ奢ってもらったりして悪かったな。楽しかったぞ」


 無事に身分証も手に入ったので、俺とシュリは晴れて自由の身となることが出来た。

 監視下とは言っても一緒に遊んだようなものなのだし、こちらとしても感謝したい。

 シュリも狸の取調官さんに懐いていたし、面倒を見てもらえたりもしたので助かった。


「あ、あとよ、アレも、本当にありがとな? 表立っては言えねーけど、いくら感謝してもし足りないぜ。その恩は絶対忘れねーよ」


 オグロジカの取調官さんが、小声で耳打ちをしてきた。狸の取調官さんは不思議そうにしているが、何か察しているのだろう、敢えて聞かないようにしてくれた。


「いえいえ。お力になれて何よりです。彼女さんとも仲良くデート、楽しんでくださいね」


 彼は少し顔を赤らめたが、「おう、ありがとうな」と素直に礼を返してくれた。

 天邪鬼は、今回は鳴りを潜めたようだっだ。不調ですか?


「お前も、人がいいのは素晴らしいことかもしれねーが、時と場合を考えて、危ない目に遭わないように気を付けろよ? この町にいる間に何か困ったら、俺たちも力になってやるから、遠慮せず相談しろな?」


 彼は、やっぱりいい人だったようだ。巡り合ったのがこの二人で本当に良かったと思う。

 二人に別れを告げ、後ろ髪を引かれつつも、俺とシュリは今夜の宿へと向かった。



 …………



「そういえばさ、シュリちゃんはまだ分かるんだけど、何で彼まで新しい身分証を発行してもらってたの?」


「はあ? そんなこと、()()()()()()()()()? 仮証を持ってるってことは、どっかに本当の身分証があるんだろ。 大体、いくら早く仕事したからって、一日で完成して交付なんてのも何かおかしかっただろ? あれだって…………あん? お前、何の話をしてるんだ?」


「えーと…………何だったっけ? おかしいな? 疲れてるのか、上手く頭が回らないな」


「俺もだ。今日は一日、()()()()()()()()()()()()なのに、なんでこんなに疲れてんだ?」


「さあ。歳のせいかな? まあ、よく分かんないけど、帰って休もうか?」



『………』




  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 異世界生活十一日目。

 折角の大きな町なので、今日ももう一日シュリと町の散策に出かけることにした。

 もう一泊した後で、明日の朝にでも港町へ向けて出発しようと計画していた。


 シュリもお腹を痛くはしなかったので、今日も食べれると意気揚々だった。女の子なのに。

 流石に食欲も落ち着いてきたのか、目に映るものあれもこれもとは言わなくなっていたので、今日は店に入って食べることにした。


「カントロー!」


 聞くまでもなく、注文は決まっていたようだ。折角の大きい町だから、普段食べられないものとか名物でもいいのに。

 カントローの包み焼きはこの島ではメジャーらしく、食べられる店はすぐに見つかった。

 かく言う俺も、こちらの世界の料理は良く知らないので、シュリと一緒にカントローの包み焼きのセットメニューを頼むことにした。

 前回のような単品再注文の嵐はなかったが、今回もシュリは「おかわり」と一度だけ注文をして満足なご様子だった。


 シュリが二皿目を味わっていると、突然アルル様の声が響いた。


『テッテレッテテーッ! 突然ですが、ここで初めてのミッションのお知らせでーす!』


 なんだ、なにごとだ!?

 ミッションって言ったけど、急に何なんだ?

 アルル様の声は俺にしか聞こえていないし、周囲に異常は見当たらない。


『最初のミッションは、これ! 「町の外で困っている商人を助けろ」だー!』


 アルル様のテンションがおかしい。どこかのバラエティー番組のような紹介になっている。

 そういえば、前に時々ミッションを出してくれるって話してたっけ。

 それにしても急だしアルル様おかしいし、展開に付いて行けてないよ、俺。


『まあ、失礼な。神に向かって「おかしいよコイツ」とか無礼です。天罰を与えます。あなたは地獄行きです』


 良かった。いつものアルル様だった。これも久々だ。

 そして、そこまで言ってないです。


『さあ、急ではありますが、このミッションに挑んでもらいます。制限時間は適当、報酬は何かしらの物です。張り切ってどうぞ!』


「張り切れない!」


 これまた久々に反応して一人で叫んでしまった。

 シュリも急なことにビクッとして、食後に口を拭いていた布を落としてしまっていた。

 てゆーか、もう食べたの? 早いな、おい。


 だが、ちょうどいい。食べ終わったのであれば、ミッションとやらの指し示す町の外へ行ってみることにしよう。

 シュリには「急用を思い出してつい叫んじゃった」と言い訳し、店を出ることを相談した。

 彼女的には十分満足した後なので、急なことでも構わないと、深くツッコまずに付いてきてくれた。


 町の外と言っても、どっちの方向なんでしょう? アルル様?


『そこまでは助けません。自分で考えてください。あ、そういえば、全く関係無いですが、今日の日本の某占いでは、咲也さんは、東()の方角が、超大吉らしいですよ?』


 なんだその分かりやす過ぎるお助けヒントは。話し方もたどたどしいし、下手くそかっ。

 いや、失礼しました。ありがとうございます。


『今回は初めてなので、特別ですよ? あとは自力で頑張ってください』


 こうして謎のミッションを受け、あまりの急転に未だ付いて行けぬまま、俺とシュリは町の東門を目指して急ぎ行くのだった。




やっと連休が終わり、ホッとしています。

ゆっくり休めた人たちには申し訳無いのですが、GWと無関係な私にとっては、道も店も混むし、病院は休みだし、仕事の連携は乱れるしで良いこと無しなんです。

GWを満喫できる職種を選ぶべきか……?


話が逸れましたが、毎日投稿チャレンジは明日で終了します。明日は午後に投稿の予定です。

今回のチャレンジについての活動報告も書きたいと思いますので、暇で興味のある方は宜しければ覗いてやってください。


それでは皆様、休み明けのボケと事故にはお気を付けください。

また明日もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ