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第27話 孤児院③

中途半端な時間ですが、本日もよろしくお願いします。

今日も昨日に引き続き、二話投稿となります。もう一話は18時頃の投稿となります。


 ひと悶着あったが、何事も無かったように二人はガイドをしてくれていた。

 大人だわー。見習わないとねー。


 役所を出ると、早速正面に見える豪華な装飾の門の説明をしてくれた。


「この門の向こう側は基本的に上流階級の人間しか立ち入れない。間違っても近付いたりするなよ? 貴族の気に障りでもしたら面倒だからな」


 おお、貴族街ってやつか。興味はあるが、忠告通り近寄らぬが吉だ。

 正面から見ると一軒の巨大な屋敷のようにしか見えないが、門の向こうには様々な施設が立ち並んでいるのだそうだ。

 鹿似の取調官さんは何で知ってるのか聞いてみたら、「ちょいと若気の至りでな……」と遠い目をしていた。

 何があったんだ……?


 それ以上は聞けないまま、外壁沿いに北へと案内された。北門は南と同じくらいに巨大だった。

 北門の近くは商業関係の建物や倉庫が溢れ、人でごった返している。

 シュリが迷子になったりすると困るので手を繋ごうと振り返ると、すでにシュリの姿は無かった。



 ……シュリーー!?



「大丈夫だよ、こっちこっち」


 声のする方を見ると、鹿似()()()()方の取調官さんがシュリを抱っこしていた。

 シュリは少し気恥ずかしそうに固まっているが、嫌がってはいないようだ。


「うちの娘もシュリちゃんぐらいだから、こういう人の多いところだと、こうした方がいいかと思ってね」


「ありがとうございます。気付くのが遅くなって、助かりました」


 この人は既婚で子供もいるようだ。子供の扱いに慣れているのか、シュリも自然に抱っこしてくれている。

 ついでに気になっていたことを聞くチャンスなので、思い切って聞いてみた。


「そういえば、お二人は何の獣人なんですか?」


「ああ、俺は狸だよ」


 た、狸!?

 イタチっぽいかな、とは思って見ていたのだが、予想外の答えだった。

 まあ、確かに()()()っぽい一面もあったが。


「俺は鹿の仲間だ。オグロジカってやつの獣人なんだが……それよりそいつ、狸に見えねーだろ? 十中八九間違われるんだよ。狸のくせに痩せすぎなんだよな」


「狸のくせにって、なんだよ? 狸は可愛いじゃないか」


「なんで可愛さアピールしてんだよ」


 ど、どんどん話が逸れていく。

 シュリは二人の漫才のような会話を聞いてケタケタと笑っていて楽しそうだ。

 しかし、こっちの人たちって自分と共通の動物のことってどう捉えているんだろう?

 自分が鹿の獣人なら、鹿にシンパシーを感じたりするのだろうか?


「ここを曲がった先が中央の区画だ。ほれ、そっち側にバカデカい建物がいくつもあるだろ? 曲がらずにそっちに行くと、さっき話してた一等地ってやつだ。一流どころの大手商会ばっかりだぞ」


 おっと、余計なことを考えてるうちに、通常のガイドに切り替わっていた。シンパシーについては聞くタイミングを逃してしまった。

 てゆーか切り替え早いな。


 俺たちは北門から城壁沿いに東へ向かい、先刻に話していた一等地の区画まで辿り着いていた。

 その手前で右折して中央へ向かうと、三つ又に分かれた岐路へと差し掛かった。


「この四叉路で、目的によって行き先が分かれるぜ。左に曲がると中央の統制区画だ。さっきの上流階級の区画と同じように、関係者しか入れないから注意しろよ?」


 俺には縁の無さそうな場所だ。心のメモ帳に、曲がるな危険と記しておこう。


「んで、反対側がギルドやらの特別な施設が集まってる区画だ。正面に真っすぐ進むと、通り抜けは出来ないが、役所の裏門に通じてっぞ。お前らの探してる孤児院も、こっちだ」


 スラスラと説明してくれているが、この町は結構複雑だ。

 恐らく全知全能の図鑑のマップ無しでは、どこをどう通ってここまで来たのかすら分からなかったと思う。

 二人が案内してくれて助かったよ、ホント。


 それで今、ギルドとかいうドキドキワクワクなワードが聞こえたのだが、まあそっちは後回しだ。

 先ずは当初の目的だった孤児院が目と鼻の先にまで近付いたので、そちらを訪問してみよう。


 だがその前に、シュリには説明しておかないとな。

 ……少し気が重い。




別れの時が近付いてきました。あと何話だろう……


この後18時頃にも投稿しますので、よろしくお願いします。

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