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第146話 首島マンべ島

本日もよろしくお願いします。

今回は、一つ目の◆◇◆◇◆の後にスキル取得(読み飛ばしてOK)があります。


二つ目の◆◇◆◇◆のあとは……読んでからのお楽しみ?

意味不明な文字が並んでいると思いますが、それ自体には意味が無いので、深く考えずに読んでいただければ幸いです。



 新・異世界生活三十日目。

 朝一番で船に乗り込み、この国の首島である“マンべ島”へと渡る。

 今日で一か月経つわけだが、こちらの暦では一か月は二十八日なわけで、一昨日に一か月が経過していて……ちょっとメンドクサイ。

 まあ、とにかく一か月以上経つということだ。


 そんなこんなで、マンべ島へと無事に上陸したわけだが……。


「ここが首島かー……」


 そんな教科書通りの感想しか言えない。

 てゆーか、国の中心の島とは言っても、まだ港町。

 特段、豪華絢爛とか立派というわけでは無いし、感想だってこんなものだ。

 島の中心にある町まで行けば色々と違うのかもしれないが、そこはまあ、行ってからのお楽しみということで。


 それよりも、ここは「アクエリウス“王国”」なのだから、町には“王宮”とか“王族”とか存在しているんだろうか?

 俺、ちょっとワクワクしてきたぞ?


 王様のいるであろう中心の町は、聞いたところによると“中央都市(セントラル)”と呼ばれているそうなのだが、そこに向かうには二通りのルートがあるらしい。

 南下して村を経由するルートと、最短距離を突っ切る北の平原ルート。

 村での情報収集というのもアリだが、今回は国一番の都市にてより多くの時間を費やせるよう、最短距離で行くこととする。


 そうして選択したルートを進行すると、港町から中央都市(セントラル)に広がる平原には、ここまでとは違ってレベルも決して低くないモンスターたちが闊歩していた。

 広く生息しているゴブリンや角兎もそうなのだが、少数ながらこんなのもいた。



 ▶トロル


 名前   [なし]

 種族   [モンスター

       〔トロル〕]

 レベル  [19]

 スキル

  噛みつき、大食い、急速再生、鈍足、

  攻撃力上昇、防御力上昇、嗅覚強化、

  生命力上昇・中、土属性魔法耐性


 所属   [鑑定失敗]



 ▶プチ・トロル


 名前   [なし]

 種族   [モンスター

       〔プチ・トロル〕]

 レベル  [12]

 スキル

  噛みつき、引っ掻き、器用さ上昇、奇襲、

  攻撃力上昇、防御力上昇


 所属   [鑑定失敗]



 まるでジャ〇アンとス〇夫の如く、セットで歩いていた。

 プチの方はゴブリンとそう大差ないが、トロルの方は見上げなければならないほどに大きい。

 こんな大きいモンスターに襲われたら、一撃で潰されそうで怖いんですけど。

 だが、恐る恐る話しかけてみると、思ったよりは話が出来た。

 ならばと、思い切って仲間交渉をしてみる。

 だが……


(仲間? 一緒ニ行ク?)


「……とは言ってみたものの、その大きさじゃ一緒に旅するのは無理だよね。ごめん」


(オデ、トテモ傷付イタ。詫ビニ、オ前食ワセロ)


「いや、最初からそのつもりだったでしょ? 「一緒ニ行ク?」の辺りから、俺を見てヨダレ垂らしてたし」


 トロルの方は、とてもマイペースな感じだ。

 もし人間サイズだったなら、外套などで顔を隠せばイケたかもしれないが、そもそも人間を食べる時点で無理か。

 俺を見て切ない表情でヨダレを垂らすの、マジ止めて?


(ソウダソウダ、食ワセロー! 俺様ニモ、食ワセロー!)


 脇にいたプチが、便乗して煽ってくる。

 だが、決してトロルよりは前に出ない辺り、狡猾かもしれん。

 油断しないように気を付けよう。


「君の方はお調子者だね? てゆーか、君たちは親子とかじゃないよね? なんで一緒に行動してるの?」


(俺様ハ、兄貴ノ相棒ダカラニ決マッテ……)


(オデノ、非常食)


 その時のプチ氏の表情は、一生忘れないと思う。

 衝撃の事実に、思わず兄貴だというトロルを二度見してたし。

 いや、知らずに一緒にいたんかーい!


 そんな二体のモンスターも、変わらず絶好調な《麻痺攻撃》で苦戦せず動きを封じることが出来た。

 トロルが麻痺したと分かった途端に逃げ出したプチ氏には感心したが、逃がしはしないさ。

 二体とも《麻痺耐性》は持っていなかったので、麻痺も解ける気配無く安全に封印出来た。

 

【《怪物種(モンスター)封印スキル》を使用しました。〔トロル〕の封印に成功しました】

【自己領域の残量は99.96%です】


【《怪物種(モンスター)封印スキル》を使用しました。〔プチ・トロル〕の封印に成功しました】

【自己領域の残量は99.96%です】


 今更ながら、《鑑定スキル》がランクアップしたお陰で相手の所持スキルのランクも分かるようになったのは意外と助かる。

 この前のエイとミミズの一件のように、相手の耐性などを見誤る可能性も減るし。

 もちろん、それがあるからと言って油断したりはしないがな。

 もう、二度と。多分。


 今回のトロルは、《生命力上昇》だけが最下位ランクでは無かったようだ。

 普通に戦えば手強い相手だったのだろうけど……封印スキルを持ってて良かった。



 その後の道中で、ゴブリン五体、角兎二体、ウルブケア二体、トロル五体、プチ・トロル三体の計十七体を加えて封印した。

 この辺の平原は、モンスターが広範囲を歩き回っている印象だったのだが、ここ一帯全てが生息域ということなんだろうか?

 身を隠せる小さな茂みなどが所々に点在しているから、森などに引き籠る必要が無いのか、はたまた森のように十分な領域と待ち伏せしやすい地形が無いから、そうせざるを得ないのか。

 興味深い部分ではあるが、直接本人たち(モンスター)に聞いても教えてくれなそうだしなあ。


 ここら辺のモンスターを仲間に出来たなら、謎も解けるのだが……。

 そんな淡い期待は、脆くも崩れ去った。

 なんと、一体も仲間にならなかったのだ。


 え? いつも通り?

 あ、そう。


 それより、道中のプチ氏は、必ずトロルにくっ付いて行動しているようだった。

 そんなプチ氏たちが、みんな非常食という真実を知らずにいるのかと思うと、目頭が熱くなった。

 どういう経緯でその状態になっているのかは分からないが……くっ、憐れなり!


 あと、単体で遭遇したトロル、非常食を既に召し上がったとかじゃないよね?

 是非とも、違うと言って欲しい。



【〔春野咲也〕のレベルが上がりました】

【ステータスが上昇しました】

【各種補正率が修正されました】

【スキルランクの上限が上方修正されました】

【《生命力上昇・下》が《生命力上昇・中》に特殊強化されました】

【特殊スキルの解放条件は満たしていません】

【領域が拡張しました。自己領域残量が再算出されました】

【自己領域の残量は99.96%です】



【特殊封印による経験値移譲が行われました】

【〔ステムセル・スライム〕のレベルが上がりました】

【ステータスが上昇しました】

【各種補正率が修正されました】

【スキルランクの上限が上方修正されました】

【スキルランクに変化はありません】

【特殊スキルの解放条件は満たしていません】

【領域が拡張しました】



 なにはともあれ、途中でレベルも上がって18になり、無事に行程を消化した俺たちは、遂に中央都市(セントラル)へと辿り着いたのであった。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「はあ……。結局、収穫無しか……」


 中央都市(セントラル)へと到着し、意気揚々と町へ入って散策と“大魔法使い”の情報収集に勤しんだ俺を待っていたのは、成果ゼロという残念な結果だった。


 そもそも、本物の王宮や王様を見られるかもという観光気分全開だったのが間違いであったのだが。

 よく考えたら分かることだ。ゲームじゃあるまいし、いち旅人が城へ入って「おお、ゆうしゃよ! しんでしまうとはなにごと……」もとい、「よく来た旅の者よ。実はそなたに頼みたいことがあってな?」なんて展開があるわけが無い。

 頼み事は王族の親衛隊や城の者にでも頼むだろうし、それ以前に庶民で旅人の俺が城に近付けるはずもなかった。

 なので、町の中央部の奥にある王城を遠目に見ることしか出来ず、消化不良気味であった。


 更に、国の中心地ということは貴族階級の人たちがあちらこちらにいるということにもなる。

 ポーンさんやバーンさんから教わった基本や作法はあれど、何か失礼があっては一大事なのだ。

 前世のように、偉い人に失礼があっても「構わんよ。以後気を付けるように」なんて優しく言ってもらえたりはしない。

 庶民が貴族に失礼なことをするとは、その場で拘束されても文句は言えないような事態なのだ。

 運が良ければ見逃してもらえるかもしれないが、そもそも運任せになるような事態には近付かないのが一番。君子危うきに近寄らず、だ。


 なので、のんびり散策や情報収集をするのは止め、一泊の後に役所や大衆向けの食堂で話を聞いてみて、手応えが無いと分かった時点でさっさと町を離れることにした。

 これまでの旅路やここでの情報の感じから、このアクエリウス王国には目的の人物はいない気がするしな。


 ここから北東の港町を目指せば国を出ることも出来るらしいが、俺は国内を巡る方向で考えているので、次の島へと渡るために南にある港町へと進むことにした。



 南の港町までの道中ではモンスターは現れず、到着した港町で一泊した翌朝には、早くも首島を出立することとなる。


 新・異世界生活三十二日目、予想を裏切るつまらない首島の縦断を終え、十番目の島へと渡る船の上で溜息を吐くのであった。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 さて、今回の取得スキルは、十七体分でこんな感じだった。



《生命力上昇・中》

《攻撃力上昇》×4

《瞬発力上昇》

《器用さ上昇・下》

《爪撃・下》

《噛みつき》

《引っ掻き》

《後ろ蹴り・下》

《脱兎・下》

《遠吠え》


 これらは、それぞれに統合。



《大食い》


 これは、《身体強化スキル》に統合された。



《土属性魔法耐性》


 これは《魔法耐性》へと。



《急速再生》×2


 これは《回復スキル》に統合され、その名の通り傷やケガが急速に治るようになった。

 道中のトロルたちが所持していたスキルで、つまりはあのモンスターたちもそうだったのだろう。

 封印スキルの前には無意味だったわけだが。


 続いて、手持ちのポイントでスキルのランクアップを行う。



【《防御力上昇・中》を取得しました。《防御力上昇・下》に上書きされました】


【《爪撃・下》を取得しました。《爪撃・最下》に上書きされました】


【《遠吠え・下》を取得しました。《遠吠え・最下》に上書きされました】


【《脱力スキル・中》を取得しました。《脱力スキル・下》に上書きされました】



 こんなところか。

 今回はいつもよりポイントが余ったので、ポイントバンクに預けておこう。



 自身の成長に限れば順調と言えるのだが、仲間は増えず、“大魔法使い”の情報も未だ皆無。

 旅の先行きが不安になるのを、イチに癒してもらいながら旅を続けるのであった。




  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「なんだコイツ?」


「変なの。うりゃうりゃ!」


「HD%HGDTHDTR! DTYBVS$VHTH! BGYTNB#FBVSE!」


「なんか喋ってるけど、意味分かんねーな?」


「モンスターみたいだし、俺らで殺しちゃえばいいんじゃない?」


「そうしようぜ!」


「IVEB¥RT!? IDV&BTYFDSD!? H$THTBRHNJ&MNUEE!!」


「コレコレ、生き物を虐めてはいけないよ?」


「は? 何だお前? モンスターを庇うのか?」


「えーっと……珍しい種類のモンスターだし、「モンスターテイマーの助手」である俺には貴重な存在なのですよ! どうか、このアクア銀貨三枚で、譲ってはくれませんかね?」


「マジっすか!? 是非とも!」



 ……



「ふう、行ったみたいだな……。 ありがとう、《役者(アクター)スキル》。今日も絶好調だったぜ!」


「IBRTI⋆NTR、MENRBJE#TBTDBF、EBRYEVFMCT%RACKI……?」


「え? いや、虐めないよ?」


「NKSVY、NUBYVNM%UOYUYTCV……ERTYNU?」


「うん?」


「MVBN&WCE……CTWTNMSZ&GVTB、UIYTDF$SWERTR……?」


「ああ、うん。特殊なスキルを持っていてね。ちゃんと翻訳されてるから、分かるよ?」


「HES、HENTAI¥¥BNFJMNB……?」


「酷くね!?」


「HONSHF&BG$BNU#BERE+G……」




 --------------------



 現在の保有ポイント:

 121+477-196=402

 (うち、Pバンク:300)


 累積ポイント:

 57937+477=58414

 (次の特典まで586P)




 名前   [春野咲也]


 レベル  [17⇒18]


 称号   [怪物種(モンスター)の友達]

       [怪物種(モンスター)を封じる者]

       [不殺の誓い]

       [忍び寄る者]



終盤の会話は、次話に翻訳バージョンが入ります。


それで申し訳無いのですが、本日の投稿は作者の体調(精神面?)の都合により、一本だけとさせていただきます。

代わりに、次話は明日中に投稿しますので、お許しいただきたく思います。


恐らくこのサイトを見るどころでは無いでしょうが、北海道の地震に被災された方々が一日でも早く平穏な日常を取り戻せるよう、心よりお祈り申し上げます。



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