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第121話 キレエ村①

色々と不調です。

自覚は無いのですが、疲れが溜まっているのかな?


読み辛い点などあれば、教えてください。


 ポーンさんのカブフ車で、三人で旅すること数時間後。

 俺たちは、ヴィアーズの町の南に位置する“キレエ村”へと到着した。


 この村の南東には、“トレエ村”という村があるそうなのだが、なんとなく未来のキレートレの町は、この二つが発祥のように思う。

 だって、二つ合わせたらキレエトレエじゃん?


 キレエトレエ……キレェトレェ……キレートレー……


 ……なぁ?


 そんなことより、ポーンさんはその二つの村の両方に用があるらしく、二日間をかけて商品を運ぶのだと話していた。

 もちろん、荷下ろしのために俺も付いて行くつもりだったのだが――


「うーん……。念のため、咲也君はこの村に残っていてくれる?」


「へ?」


 ――頑張って働くと言った矢先に、何故かと不思議がる俺に、ポーンさんが説明をしてくれた。


「ちょっとばかし面倒な人がいるのよ、トレエ村には。商業ギルドの関係者なんだけど、無闇に部外者を連れて行ってもネチ・ネチ・ネチ・ネチッ……と色々と言われそうでね。バーニッツは前にも紹介してるからいいんだけど……」


 その「ネチネチ」の言い方から苦労が垣間見えたので、ここは素直に言うことを聞いておいた。

 バーンさんもうんざりした表情だったし、あの二人があそこまで嫌がるとは……君子危うきになんとやら、だな。


 そういうわけで、キレエ村での荷下ろし作業を終えた俺とポーンさんたちは、待ち合わせの時間と場所を決めてから、別行動をすることになった。

 予定外にフリーになってしまったが、何をしようか迷う。


 休息は充分に取れたし、この辺にもモンスターが生息している場所があれば、狩り……もとい交渉に向かいたいんだが。

 それが駄目なら、宿で全知全能の図鑑やポイントカードをチェックするか、魔法を試してみたいのだが……正直それは、これまでの経験上、島を渡る船の上で出来るんだよなあ。


 なので、村の役場でこの辺のモンスター出没ポイントについてさり気なく聞いてみることにした。

 ポーンさんたちに聞くことも考えたが、自分たちがいない間に危険なことをしてないかと心配させる可能性があったので、思い留まったのだ。


 そんな流れで、やって来ましたキレエ村北東の平原。

 この辺には始まりの森ような大きなスポットは無く、モンスターが出ると言えばこの平原にある沼の周辺ぐらいなんだそうだ。

 ここに出るのは、カエル型モンスター、カニ型モンスター、ウサギ型モンスターが主なんだとか。


 危険だから沼には近付くなと言われたので、その周辺でのエンカウントが目的だ。

 上手く行けば、一対一での交渉が可能になるし、今回こそ仲間ゲットのチャンスかもだぜ。


 

 ▶コハンミズイロドクガエル


 名前   [なし]

 種族   [モンスター

       〔湖畔水色毒蛙〕]

 レベル  [6]

 スキル

  舌打、跳躍、毒粘液、乾燥時衰弱


 所属   [鑑定失敗]



 あっ、はい。

 無理だねえ。


 カエルを連れて歩くだけでもハードル高いのに、毒持ちとなれば、絶対無理だねえ。

 湖畔水色……までは綺麗だったのに、なんで毒付いちゃうかねえ?

 てゆーか、ここ沼だから湖畔じゃないんですけど?


 一応交渉を試みたのだが、なんか色々な液体とか飛ばしてきたので、諦めて封印しました。ええ。

 押さえるのもちょっと怖かったけど、足でなら意外とイケた。


【《怪物種(モンスター)封印スキル》を使用しました。〔湖畔水色毒蛙〕の封印に成功しました】

【自己領域の残量は99.99%以上です】


 気を取り直して、次だ次。


 再び沼の周辺をうろついていると、何やら違和感のある動きをする生物を発見した。



 ▶ヌマガニ


 名前   [なし]

 種族   [モンスター

       〔沼蟹〕]

 レベル  [2]

 スキル  鋏撃、回復泡、乾燥時衰弱


 所属   [鑑定失敗]



 違和感の正体は、すぐに分かった。

 蟹なのに、真っ直ぐ歩いていたからだ。

 てゆーか、小型犬サイズの蟹が真っすぐ向かって来るのはちょっと怖い。


 一応、交渉を……。


(シャキン、シャキン)


 あっ、はーい。わっかりましたー。


 俺を切り刻む気満々の蟹さんは、レベルが低かったので背中を押さえ込んだらあっさりイケた。


【《怪物種(モンスター)封印スキル》を使用しました。〔沼蟹〕の封印に成功しました】

【自己領域の残量は99.99%以上です】


 つ、次だ次……。


 ……あれえ? もしかして、狩場のチョイス間違えてる?

 いや、選り好みしてられないのは分かっているんだけどね? いずれは全てのモンスターを封印して回るのが目標なわけだし。

 だがしかし、このラインナップは……ねえ?



 ▶ホーンラビット


 名前   [なし]

 種族   [モンスター

       〔角兎〕]

 レベル  [8]

 スキル  突き刺し、後ろ蹴り、脱兎、奇襲


 所属   [鑑定失敗]



 キターーーーッ!

 そうだよ、こういうの!

 いかにもモンスターっぽく、かつ可愛いビジュアル!

 毒も無く、安心して触れられそうな――



 ビュン!



 ――いきなり角で刺しに来た。咄嗟に躱せたからいいものの……。

 せめて、もう少し妄想に浸らせてほしかったんだが。


 てゆーか、このホーンラビットってモンスター、未来世界で双子と別れた後に町の外で出会った兎さんと同じ種族のモンスターだよね?

 あの子は半分狂いながらも、俺と話し合いをしてくれたよ?



 ビュン!



 危ねッ!

 それなのにこの子は、あの子とは似ても似つかないほど好戦的なんですけど?

 てゆーか、未来のあの子の前前前世だったりしないよね?


『全く別の個体ですね。安心して封印してください』


 え!? そういうの、教えてくれるんですか!?


『まあ、あの時色々と秘密にしていたお詫びです。怪物種(モンスター)の特性上、必ずこの時代にも未来と同一の個体が存在しますので、あなたと縁のあった個体がいたらそのぐらいは教えて差し上げます』


 いいんだ……?

 ちょっと意外。



 ビュォーン!



 しつこく突き刺そうとしてくるのを、ひらりと躱す。

 とりあえず、この子は交渉決裂なら、迷わず封印しよう。危険だ。



 ……



 そして、当然ながら交渉決裂したそのモンスターを取り押さえ、封印スキルを使用する。


【《怪物種(モンスター)封印スキル》を使用しました。〔角兎〕の封印に成功しました】

【自己領域の残量は99.99%以上です】


 今回も、仲間は増えず……か。

 その後も諦め悪くうろついては、出会ったモンスターに交渉を試みるものの、一度も成功することなく目安としていた十回の封印スキル発動に至ってしまった。

 レベルが上がったせいか、それほど疲れ切ってはいないが、まあ今日のところは引き上げるとしよう。

 ちなみに今日の成果は、蛙三匹、蟹二匹、角兎五匹。


 今回で、俺もイチもレベルが上がり、イチは新たなスキルを覚えていた。


【〔春野咲也〕のレベルが上がりました】

【ステータスが上昇しました】

【各種補正率が修正されました】

【スキルランクの上限が上方修正されました】

【スキルランクに変化はありません】

【特殊スキルの解放条件は満たしていません】

【領域が拡張しました。自己領域残量が再算出されました】

【自己領域の残量は99.99%以上です】



【特殊封印による経験値移譲が行われました】

【〔ステムセル・スライム〕のレベルが上がりました】

【ステータスが上昇しました】

【各種補正率が修正されました】

【スキルランクの上限が上方修正されました】

【スキルランクに変化はありません】

【特殊スキルの解放条件を満たしました】

【領域が拡張しました】

【種族スキルが解放されました】

【《悪食》を取得しました】

【特殊スキル:《再生細胞付与》を取得しました】



 イチの特殊スキル? 実に興味深い。

 後ほど、辞書も活用して、じっくり検証せねば。


 引き上げて村の宿に入ると、先ずは恒例のスキルチェックから始める。



《跳躍》

《毒粘液》

《跳躍》

《回復泡》

《乾燥時衰弱》

《脱兎》

《後ろ蹴り》

《奇襲》

《脱兎》

《脱兎》



 今回は、《毒粘液》と《乾燥時衰弱》以外のスキルを取得。

 余ったポイントで、鑑定スキルの下位が取得可能だったので、それも取っておく。



【《跳躍・最下》を取得しました】


【《跳躍・最下》を再取得しました】

【跳躍・最下が《跳躍・最下》に統合されました】


【《回復泡・最下》を取得しました】

【回復泡・最下が《回復スキル・下》に統合されました】


【《脱兎・最下》を取得しました】

【《脱兎・最下》を再取得しました】

【《脱兎・最下》を再取得しました】

【脱兎・最下、脱兎・最下が《脱兎・最下》に統合されました】


【《後ろ蹴り・最下》を取得しました】


【《奇襲・最下》を再取得しました】

【奇襲・最下が《奇襲・下》に統合されました】



【《鑑定スキル・下》を取得しました。《鑑定スキル・最下》に上書きされました】



 次に、イチの新スキルについて調べようと思っていると、彼女が何か言いたそうに近寄って来た。

 何かなと思い、抱き上げようと手を伸ばすと、彼女が俺の手を包んだ。


「イチ? 何して……」


 次の瞬間、イチに包まれた俺の手が変色し始め、表面がボコボコと泡立ちだした。

 ブロブに包まれた時の恐怖が蘇り、青褪めて思わず手を振り払おうとする。

 未だ治りきっていないのに、さらにイチにまで溶かされるビジョンが過った。 


 だが――――


「……イ、イチが、そんなことするはずない!」


 ――――俺は、イチを信じ、事の成り行きを見守ることにした。

 きっと、彼女なりに考えがあってのことなのだ。

 決して、ブロブの時のような結果になるはずがない。


 振り払いかけた手を下げ、変化していく自分の手とそれを包むイチを見つめ続けた。

 時々声をかけてみても、イチは何も応えない。


 そして、暫く経った後、不意にイチが離れると――


「……傷が、無くなってる……?」


 ――ブロブに消化されかけて爛れ、未だ治り切らずにいた俺の手は、綺麗に元通りになっていたのだった。




 --------------------



 現在の保有ポイント:

 92+169-239=22

 (うち、Pバンク:0)


 累積ポイント:

 54326+169=54495

 (次の特典まで505P)




 名前   [春野咲也]


 レベル  [4⇒5]


 称号   [怪物種(モンスター)の友達]

       [怪物種(モンスター)を封じる者]

       [不殺の誓い]


なかなか上達しなくて申し訳ありません。


次話は、8月8日に投稿します。

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