ー序章ー
初投稿です。よろしくお願いします。
――《時》――
それは、絶対不可侵のもの。
人の身ならば、ただその流れに身を任せることしか出来ない。
過去から現在へ、そして未来へと歴史は紡がれていく。
その流れには逆らえない。
本来ならば。
だが、もしその流れに囚われないとしたら、どうする?
過去に行って来られるとしたら、戦国時代の武将たちに会うというのはどうだろう。
国に拘らないなら、中世ヨーロッパや四千年前の中国なんてのもいいかもしれない。
思い切って、原人やマンモス、はたまた恐竜のいる時代を見に行くというのもありだ。
反対に、未来を知って来られるなら、それを利用して金持ちやヒーローになれるかもしれない。
どちらにせよ、知識や技術を発揮して活躍するもよし、思う存分楽しむのもよし。
やり方次第ではチートな存在になるのも夢じゃないし、敢えて平坦平凡な人生を謳歌することも可能だろう。
そんな想像をし始めたら尽きないし、夢はどこまでだって広がる。
けれど、良いことばかりとは限らない。
過去の真実に絶望するかもしれない。
未来を知ってしまったがために、引き返せなくなるかもしれない。
もしそうなってしまったら、どうする?
事象は過去へ戻ってやり直せる。
未来を書き換えてしまえばいい。
いくらでも作り変えられる。
けれど、それを行った君だけは、変えられない。
君を中心に世界が回るとしたら、君はその責任を取らなければならないのだ。
もし君が途中で投げ出せば、中心を失った世界はどうなる?
だから、途中では引き返せない。
一度始めたのなら、どんな結末を迎えるとしても最後までやり通してほしい。
君が承諾するのなら、その瞬間から君という歯車を組み込まれた世界は再び動き出す。
それを、誰かが《運命》と呼んだ。
この《運命》ってやつは、《時》以上に絶対不可侵で逆らえないもの……なのかも知れない。
なんにせよ、前に進むのを止めてはいけない。
君が投げ出してしまったら、そこで終わりだ。
そのとき、この世界の終焉は確定する。
さあ、選択を。
やるもやらぬも君の自由だ。
心配ない。やらぬとしても、君という歯車無しでも終わりの時まで世界は回る。
だから……
《この世界を救うのか、見放すのか》を選んでくれ。
マカハ――――いや、今の名は……